認識とはなにか その12

対象と自分との関係を認識する方法を、人間はどのようにして手に入れるのだろうか。

赤ん坊は追視をし、大きな物音にびっくりし、くすぐられると笑う。
周囲の環境の変化に対しての反応がみられることから、赤ん坊は内容と場所の情報の組み合わせを受け取っているということがわかる。
しかし、赤ん坊は言葉を理解し、物事を考えることはできない。
人間は、内容と場所の情報の組み合わせを受け取る方法を基盤として、言葉や物事を考える方法を後天的に積み上げていくものと考えられる。

赤ん坊は誰かに育てられることによって成長していく。
赤ん坊一人では移動することも食事をすることも安全を確保することもできない。
他者からの関わりの中で、赤ん坊の中に情報が蓄積されていく。

そのうちに、赤ん坊は相手の音声をまねるようになる。1歳で単語を話すようになる。相手がそれに反応することで、相互作用に似たやりとりが赤ん坊と相手との間に生まれる。

やがて1歳半頃になると、意味のある単語を自ら発するようになる。幼児は特定の音声を特定の物事に対応させる。単語を使って相手に対して主体的なかかわりを持つことができるようになる。

2歳頃には、単語と単語を組み合わせて、2語文を話せるようになる。
2つの単語の間には向きが生じる。意味の付加や状態の説明のように、一方がもう一方の単語を修飾する。2つの単語は一つのかたまりとして意味をもつことになる。単語が部分として組み合わさり、特定の出来事や物事を新たに指し示す新たな一つの認識となる。

新たな認識は情報として蓄積され、体験や行動の記憶として想起されるようになる。物事と物事を、認識と認識を新たに結びつけることがさらに可能になっていく。

自分と他者との関係を把握するためには、新たな認識を得る方法をこれに応用する必要がある。他者と自分との関係を把握することで、自分という認識に、他者と自分との関係の認識を意味づけすることができると考えられる。

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