見出し画像

積水化学とTWOLAPS


2位ってめっちゃ悔しいですよね。たくさんこの順位とってきたけど、「詰めが甘かったよね」。誰かにこう言われてる気にしかならないのです。

卜部が区間賞、新谷が区間新を出しても悔しいと思えるのは、チーム積水でいろんな準備をしてきたという思いがあるからです。あんまり聞かれることもないのでTWOLAPSと積水化学の関係について書きたいと思います。

野口監督との約束


TWOLAPSの前身であるNIKE TOKYO TCは2017年4月に発足し2018年には2019年末の廃部が決まるというジェットコースターな運営をかましていました(笑)発足して翌年に廃部確定って、、、そんなことある!?っていうスピード感(笑) それはさておき、ぼくはチームの経営者として新たな所属先orスポンサーを探すという重要なミッションがありました。なかなか見つからずにタイムリミットが近づく中、新谷と卜部が出場するアジア選手権に、日本代表のコーチとして帯同することになりました。そこで同部屋になったのが陸連の女子長距離ブロックの強化部長で積水化学の監督である野口監督でした。野口監督は富士通の先輩ですがあまりお話したことはありませんでした。とりあえず見た目的に怖そうだなと思っていました(笑)けれど、アジア選手権でコミュニケーションをとるうちに、
「この人はめちゃめちゃ熱くて信用できる方だな(あと面白い)」
と思うようになり、チームがなくなることを相談させてもらうようになりました。そうしたら「youきちゃいなよ」的なノリでトントン拍子に話が進み(嘘です。もっと親身になってお話を聞いてくださいました。)、TWOLAPSの活動、目指す世界やTWOLAPSと積水化学が一緒になることでの相乗効果についてご理解いただけ、僕らの「結果以上の価値」を評価してくださいました。そこから、新谷、卜部が積水に入ったらどのような形になるのかを二人でシミュレーションさせてもらうようになりました。その中で野口さんと決めたことは、

①新谷と卜部をオリンピックに出すこと
②活動拠点が違っても一つのチームとして戦うこと
③クイーンズ駅伝で優勝を目指すチームをつくること

の3つでした。

3つ目のクイーンズ駅伝の優勝はどちらかというと僕の想いが強かったです。当時の新谷は実業団登録ができない可能性があった(つまり駅伝を走れない可能性があった)だけでなく、身寄りのない僕らの「オリンピックをガチンコで目指したい」と言うわがままを聞いてもらった会社への最上級のお返しはクイーンズ駅伝の初優勝だと思ったからです。もうチームがなくなるなんて経験したくない。だから、「与えてもらった役割で、相手の期待以上の価値を提供する」と僕らは強く誓いました。

⬆︎野口さんと同部屋だったアジア選手権。ここで館澤とも出会う。

やることとやらないことを明確化

上記の目標で①はTWOLAPS内のことですが②③はチーム全体の話です。積水本体は柏、TWOLAPSは世田谷で別々でトレーニングをしている中で、②と③を目指すにはなにをすべきかを野口さんと話し合いました。コーチも選手も別の拠点でやっていると、一般的には、別々のチームが同じ看板を背負って出場するだけになりかねません。それは一つのチームとは言えないでしょう。一方で野口さんはオリンピックに向けて納得のいく環境でトレーニングすることを優先するようにと言います。そこで出てきたのが野口さんが評価してくださった、TWOLAPSの「結果以上の価値」でした。TWOLAPSでは競技力の向上だけでなく、選手の競技外での活躍もサポートします。アスリートの競技の先にあるものを一緒につくるお手伝いも大事にしています。積水の本体のメンバーにも同じようなサポートを行いました。もちろん距離の壁があるので、多くはできないのですが、

・one to oneミーティング 
・合同zoom勉強会
・チームビルディングや目標設定のミーティングへの参加
・キャプテンとの定期的な対話

を行いました。積水本体の選手の走るメニューについては、一切口は出さずに、「チーム作り」についてコミットをして一つのチームをつくりあげる方向を野口監督と目指しました。TWOLAPSを足し算だけで終わらせず、どう相乗効果を生むか。それを考えてマネジメントしてくださるのが野口監督です。ボスと呼ばせていただいております。

画像1

⬆︎一時間集合を間違えた佐藤とボス

まだまだ日本郵政と戦えるチームではなかった

優勝を目指していたとはいえ、今は、郵政と戦えるようなチームではなかったというのが僕の本音です。それは戦力的な問題というよりは「優勝する」と全員が公言できるチームをつくれなかったからです。「自分たちはまだそんなこと言ってはいけないのではないか」。そんな空気がチームにありました。みんなが言いたいことはとてもよくわかりました。キャプテンの宇田川を中心に少しずつチームとして成長しているのを日々感じましたが、半年で優勝を公言できるチームになるまでの変貌は遂げられませんでした。

目標を公言するメリット・デメリットはいろんなところで議論されていますが、TWOLAPSでは目標の公言は入る時に必ず行う儀式になっています。そこを選手とコーチできちんと決める。そしてお互いに責任をもつ。戦う集団になるには必ず必要な作業だと思っています。公言することが責任に繋がる。責任がある目標を本気で目指す過程で見えるものがあるのです。

画像2

過去最高順位のその先


今大会前の積水化学の過去最高順位は3位で、今大会ではそれを上回る2位でゴールしました。個人的にはくそ悔しかったけど今回は2位で良かったと思っています。みんなが本気で優勝を狙って勝てた時に本当の意味で「勝ち続けられるチーム」になれると思っています。新谷も卜部も何年も区間賞や区間記録を出せるわけではありません。いつかこの二人の記録が衰えた時には今の若い選手がカバーする。早いやつがきたから強いチームではなく持続的に強いチームを目指すにはこの2位という結果をどう受け止められるかだと思っていました。2位でゴールした時に多くの選手が悔しさを口にしていました。3位とか5位とかを目標にしていたチームには見えませんでした。それは心のどこかで「勝ちたい」と思っていたからでしょう。その心のどこかにある「勝ちたい」を表に出せるチームにしていかなければいけません。いまのみんなは過去最高順位でも悔しさを口にできる。まだまだ強くなれるし一緒に強くなりたいと思える大会でした。リベンジに向けての準備は大会が終わった瞬間から始まっています。

画像3

感謝

新谷や卜部が会社への感謝をなによりも先に口にするのは本当に積水化学という会社に感謝しているからです。前のチームでは僕らの結果に喜んでもらえることはほとんどありませんでした。でも、今は一つ一つの結果に一緒に喜んでくださる社員の方々が大勢いらっしゃいます。このような社会情勢でも応援をしてくださいます。そんな会社を一番にするというのは僕らの使命だと思っています。

画像4


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?