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子どもの貧困大国日本

私たちが住む日本でも子どもの貧困が問題になっているをご存知ですか?
このタイトルを見て、「エッ??」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事を読んでいる皆様はパソコンやスマートフォン等を使って見ている方が大半だと思うので、ピンと来ない方も多くいらっしゃるのではないかと思います。

実は今、日本では7人に1人の子どもが貧困状態にあると言われています。
一言で貧困と言っても、大きく「絶対的貧困」と「相対的貧困」の2種類に分けられます。


①「絶対的貧困」とは、着るものが無い・食べるものが無い・住む場所が無いと言った、人間として最低限の生活を営む事が出来ない状態の事を指します。
②「相対的貧困」とは、国民の年間所得の中央値50%に満たない所得水準の人達の事を指します。

このような違いがあるため、一言で貧困と言ってもどちらの貧困かによって、意味合いが大きく異なるという点を理解しなければなりません。


子どもの貧困問題とは「相対的貧困」を指しています。
この相対的貧困に伴う、子どもの貧困は子どもの将来に与える影響はもちろん、経済的な損失に繋がるという点でも大きな問題となっております。その為、解決に向けて取り組んでいく必要がある状態と言えるのです。

ひとり親世帯の増加

厚生労働省が発表したデータ「平成28年国民生活基礎調査」(上記グラフ)によると、日本の相対的貧困率は15.7%となり、7人に1人が貧困状態にあると言われています。
また、相対的貧困率15.7%の約半数はひとり親世帯であるという事も大きな問題です。
イメージ出来るかと思いますが、ひとり親の場合、家事と仕事・育児を一人の親が全て行わなければなりません。
(想像しただけでも大変な事です・・・・)

コミュニケーション能力の欠如

家事や育児の比重が大きいほど、仕事をする事が難しくなりますよね。
そうすると収入が減ってしまい、その結果、生活が更に苦しくなります。
また、金銭的な問題はもちろんですが、日々のストレスや疲労が蓄積されていくと、心身両方の健康にも影響を及ぼし、親が病気になってしまう等の更なる問題が起きる事にも繋がります。


一日子どもの面倒を見ていただけでも、叱ったりするストレスや無尽蔵なのか?と思う子どもの体力に付き合って遊んだ日にの夜には・・・
親の方がグッタリしているのを考えると大変な事だというのは容易に想像がつきます(汗)

このように、ひとり親世帯は子どもにも影響を及ぼしかねない環境にあると言えます。
また、親は稼がないといけないという点で、仕事の比重が大きくなった場合、深夜まで仕事をし、家に帰ることが出来ないという事が起こります。
そうなった場合、子どもは1人で過ごさないといけなくなり、人とのコミュニケーションを取る機会が減ってしまいます。
コミュニケーション能力というのは、大人になってからも必要なスキルの為、小さいころから醸成する必要があると思います。
昔は家の前の道で遊んでいるだけでも、近所のおじさん、おばさんが話しかけてきて色々と話したりしていましたよね?
今思うと、そういう風に子どもが大人や多くの人と関わる環境って大切なんですよね。

子どもの貧困から来る教育格差

また、勉強でわからないことがあっても誰にも聞けず、宿題をする習慣も身につかない等、学力低下に繋がる要因が多いのが実状のようです。
さらに貧困が原因で学習塾や習い事など、学校以外で学習する機会が少ない点も、学力低下はもちろん、教育格差にも繋がります。
この教育格差についても貧困層と富裕層の間で生まれてしまいます。
今の日本の風潮では、教育格差はそのまま経済格差へと繋がっていきます。
この差が広がる事で、後々取り返しのつかない格差へと広がり一層の貧困層と富裕層の二極化へと繋がります。
この教育格差についても、幼少の頃から差が出始めると、大人になった際に、経済・能力格差へと変わっていってしまいます。

出典元 : 内閣府『子供の貧困に関する新たな指標の開発に向けた調査研究 報告書』https://www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/chousa/h28_kaihatsu/3_02_2_2.html

なぜ子どもの貧困率が高い?

原因は大きく2つに分けられます。

①親の収入の問題
親が仕事をしていない、またはアルバイト等の非正規雇用の為給与が少ない等が貧困の根本的な原因です。
昨年からのコロナウィルスの影響はこういったところへも影響を与えています。

②ひとり親世帯の増加
未婚の母や離婚によるひとり親家庭が増えており、貧困家庭の多くがひとり親家庭であることは、2018年に内閣府が公表した「国における子どもの貧困対策の取り組みについて」を見るとわかります。
同じく、内閣府の「ひとり親家庭の離婚後の収入」によると離婚後の養育費の支払いについて、8割の父親が養育費を払っていないとのこと。
これも、ひとり親世帯の貧困の原因の1つに挙げられます。

出典元 : 厚生労働省『平成28年国民生活基礎調査の概況』https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/16.pdf

子どもの貧困が起こす問題

子どもの貧困がもたらす社会的損失は42.9兆円に及ぶと言われてます。
なぜ、これほどの大きな金額になるのか?
それは、貧困家庭の子どもは一般的な家庭と比べて学習環境が悪く、能力も低くなる傾向にあります。このことが社会的損失に直接繋がるのです。
学力が低いと大学への進学はおろか、高校の進学も危ぶまれます。
進学が出来ないと言う事は、非正規雇用や低い給与で働く可能性が高くなるという事です。
このような悪循環が日本全国の多くの人の間で起こってしまうと、こういった人たちが納める税金よりも、生活保護等による支出が大きくなり、損失へとつながっていくという事です。
つまり、子どもの貧困は本人達の問題だけではなく、私たちの問題でもあるという事です。

問題解決の為に

①子どもが安心して過ごせる居場所づくり
貧困家庭の子どもは学校から帰っても親が仕事でおらず、遅くまで一人で過ごさないといけないケースが多くあります。
そんな子どもの為に、安心して楽しく過ごせる居場所を作ってあげる事が重要です。
そこで活用できる場所が児童館です。
児童館という施設は児童に健全な遊びを与え、健康を促進し、情操を豊かにすることを目的とした児童福祉施設です。
設備には遊戯室や図書館がある為、遊びと学習どちらも行えます。
また、児童厚生員が配置されているので、安心して過ごすことが出来ます。

その児童館でも実際にあるものとして「放課後児童クラブ」というものがあります。
これは、共働き家庭などの留守家庭の10歳未満の子どもに対して放課後の児童に適切な遊びや生活の場を与えて、健全な育成を図る事を目的とした取り組みです。
放課後の児童に室内にて、学習支援や実験・工作等の体験プログラムの提供をしており、13時から利用することが可能で、学習だけではなく、おやつの時間や遊びの時間も設けられております。
児童館は貧困家庭の子どもでも、友達や大人とのコミュニケーションをとる事ができ、子どもだけではなく親にとっても心強い施設です。

②あたたかい食事
温かい食事は心身の発育にとても重要です。
貧困家庭の子どもには、親が夜遅くまで働き朝早く仕事に出かける事が多い為、ご飯を満足に食べる事が出来ない現状にあります。
そんな子どもたちに救いの手を差し伸べているのが「子ども食堂」です。

近年、急激に増えているので、見聞きした方も多くいらっしゃるのではないかと思います。
個人や企業・NPO法人等が支援しており、今後も増え続けると予想されております。
利用料金は安価、もしくは無償で貧困家庭でも問題なく利用できることから多くの子どもが利用しています。

③学習サポート
貧困家庭の子どもは、家に帰っても勉強を教えてくれる親がいないため、学習を定着させることが困難です。
また、朝食をとっていないケースもあるため、授業に集中できない子どもが多くいます。
そんな子どもたちを対象にしたサポートとして、「放課後子ども教室」というものがあります。
安全安心な子どもの活動拠点を設け、地域の方々の参画を得て、学習やスポーツ・文化芸術活動の機会を提供する事を目的とした取り組みです。
全国の小学校を中心に実施されています。

出典元 : 蕨市ホームページ より
https://www.city.warabi.saitama.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/002/154/paneru-houkagokodomo.pdf

実施内容は先述の「放課後児童クラブ」とほぼ同じですが、放課後児童補助員が放課後の児童の様子を教員や親に情報共有してくれます。
親も子どもがどのように過ごしているのか?わかるという点でも親としては安心です。
また、子どもも自分の学校生活についても親に知ってもらえるという事は嬉しい事です。
そういった意味でも、放課後児童補助員の存在は大きいものだと思います。

私たちに出来ること

①ボランティア活動
ボランティア活動については、子ども食堂や炊き出し、貧困について考えるセミナーや講演会の手伝い等。
炊き出しといっても、ほんの少しの料理のスキルがあればできますし、講演会やセミナーのお手伝いについても、少しでも出来る事はあります。

②寄付活動
とはいっても、自身の仕事等の関係で手伝いに行くことが難しいといった事もあると思います。
そういった場合、着られなくなった服の寄付や募金、子ども食堂でのチケット購入での寄付等、間接的でも出来る事はあります。

こういった物質的・精神的な支援について、ひとりひとりの思いやりの気持ちが少しずつ重なっていくことで大きな成果や結果に繋がっていきます。

そして忘れてはいけないのは災害・病気・失業・離婚・家族の死去など様々な原因で、いつでも、誰でも、このような貧困に陥る可能性はあるということです。
他人事ではないのです。

未来を生きる子どもたちの未来の為に、今私たちができることはまだまだ沢山あります。
先ずは知ることから始めましょう!

記事作成:中田

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