はじまるふたり⑩【メイの視点】
帰りの車の中で
ナツキはとっても嬉しそうでした。
こうやって、普通に笑いあってお話できるのが嬉しい
そう彼は笑顔で私に伝えました。
私もとってもそのことが嬉しかったのですが
同時に
ナツキの今までの苦労、寂しさ、
その思いも感じていました。
そのナツキの様々な想い
それもすべて受け止めていきたいな
私はその時に感じていました。
普通の恋愛なり、結婚なり、
誰かお相手と一緒になるとき
私は多少の妥協を自分に許していました。
どうしても共感できない部分は
相手に委ねて
私は感じないようにしていたんだと思います。
諦め、とも言うかもしれません。
でも、ナツキには
その一切を感じていませんでした。
全てを受け止めていきたいと思っていました。
そのすべてを受け入れる覚悟。
それが私たちだと思っていたのです。
それはナツキでもありますが
私自身の反映でもあります。
彼は、私を受け止める覚悟を、決断をしてくれました。
この三日間で
どれほど彼は悩んでいた事でしょう。
私は彼のその決意の言葉を聞いて
自分がやってしまったことに動揺をしました。
感覚だけで動いてきたので
それが
確実に現実を動かすものであることが
わかってはいたけれど
認識できていない部分もあったんだと思います。
それは自分自身、そしてナツキの人生にも
物凄く大きな影響を与える出来事でした。
これから起こること、そのすべてを
受け入れていこう。
そんなことを思いながら
私はナツキとの時間を惜しむように
車の中で手を繋いでいました。
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