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あなたはわたし(13)【ナツキの記憶】

呆然としながら、僕とメイは歩き出しました。

飲んだハイボールの酔いもあり、頭はクラクラしていました。

歩きながら、僕らはポツポツと話をしました。
でも、僕は受け答えしながらも、ツインの話が頭をぐるぐるしていました。

途中、メイはある公園を見つけ、そこに行きたがりました。

整えられたイングリッシュガーデン。


こんなところがあるんだ。

僕は驚きとともに、足を運びました。

残念ながら、フェンスには鍵がかかり、入る術はありませんでした。

フェンス前に立ちながら、そのイングリッシュガーデンを見つめがら、お互いの旅の話をしました。


その公園がきっかけで、お互い、イギリス好きだったことを、初めて知りました。

お互いの若きころの旅の武勇伝。

並んでフェンスにもたれながら語り合う中、僕の目はあるものに釘付けでした。

それは、


フェンスにかけられたメイの手でした・・・。


さっきのあの感覚はなに?

僕の目は、自分の意思を無視して、メイの手から離れようとしません。

もう一度、触れてみたい・・・。


でも、でも、メイさんは、

友達。

なにより人妻だぞ! 人妻!!!!


必死でアラートをあげる、僕の常識。

頭は悲鳴をあげていました。

でも、
心は、そのアラートを無視しようとするのです。

一瞬で、でも永遠のような葛藤の後。
僕は、決死の覚悟で、手を伸ばしました。

メイの手に触れようと・・・。

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