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はじまりの日⑩【メイの記憶】

わたしは
再度、そっとナツキの手の上に、自分の手のひらを重ねました。

優しくあたたかい
ナツキの手をただ感じていました。

ナツキに


何かわかる?


とかそんな質問をしたような気がします。

そうしたら


うん、わかる。


と返事が返ってきました。

私はすでにナツキがツインレイじゃないかと
気が付いていたからかもしれませんが

手を繋いだからといって
そのとき衝撃が走る、ということはありませんでした。

ただ、その手をずっと繋ぎ続けている時間が
永遠のようにも一瞬のようにも感じられて
ナツキといると、時間が存在していないかのように思えました。

そして、誰かと手を繋いでいる、というよりも
自分の手と繋がっているような

あるようで、ない

そんな印象をナツキの手から感じていました。


手をただ繋いでいる。
私はその時間だけで、もう十分に幸せでした。

どれくらい時間が経っていたか、わからないのですが

重ねていた右手をそのままに
ナツキの左手は
私をそっと後ろから抱き寄せてくれました。


私は思わず
そのあたたかさに身を任せ
ナツキに寄りかかりました。


そのとき、ナツキの口から
一言、言葉が出てきました。

「おかえり」


その言葉は
時空を超えて
私たちがついに出逢えたということを
証明するような
不思議感覚の、
でも。
ものすごく自然に聞こえてしまう言葉でした。


その日は新月でした。

実は、新月時間に入ってすぐ、の出来事で
わたしたちは
完璧なタイミングの中
お互いに気づきはじめていました。


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