はじまるふたり⑦【メイの視点】
ナツキと何か話をしていましたが
ふと
ナツキに抱き寄せられ
私たちは唇を重ねました。
そしてナツキは震える声で
私に伝えてきました。
「好きだって
言っていいかすごく悩んでいたんだよ
好きだって言ったら
始まっちゃうんだよ。いいの?
動き出しちゃうよ」
ナツキの声は
小さく震え、涙声のようにも聞こえました。
私たちは肝心なことを抜かしていました。
お互いの気持ち、心の内側
本当の想い
普通の恋愛なら通るべき道を
全く通過せずにここまで来てしまっていました。
ただ、見えない確信だけで
前に進んできていたものですから
人として、人間として
大切なことを
私は忘れていたのかもしれません。
ナツキのその
真っ直ぐな想い、
そして、真剣に受け止めようとしてくれている
その心に
私は心を打たれました。
そして、はっとさせられました。
でも
私の中では
すでに動き出していること、であったので
逆に
私の家庭を持っている現状や
子供も存在していること。
そのことが
ナツキを苦しめているんじゃないか。
これがナツキにとって
幸せの道なのか
私にはそれが分からず、
確信とは裏腹に
申し訳ない気持ちと
有り難い気持ちでいっぱいになっていました。
でも、後戻りするつもりもありませんでした。
わたしはナツキのそのことばに、頷いて答えました。
するとナツキは
伝えてくれました。
「好きだよ、メイ」
私は、そのナツキの気持ちに
答えるべく
私の心からの想いを
声を振り絞って伝えました。
「何億年分の時間を取り戻したい」
・・・・・・・
私なりの
精いっぱいの心を込めたつもりでしたが
ナツキは
「意味が分からない」
との一言。
わ、わからないって・・・・・・・(がーん)
伝わらなかったことに
やっぱり私って、変なのかな、、おかしいのかな、、と
ショックを受けましたが・・・
それはそれでしょうがありません。。。
その理由は後々わかることになるんですが
そのときは
私の言葉が伝わらなかったショック、よりも
ナツキの真摯な想い、に感動しており
お互い、3日前の行動を
確かめるかのように
ハグをしたりキスをしたり
あの日の出来事を
繰り返しているかのようでした。
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