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フォレストガンプ批評会 #映画研究サークル活動の記録 前編

映画を観てただ面白かったと一言で終わらすのではなく、鑑賞者として疑問やそれぞれの解釈などを共有する活動の記録です。

以下、活動の文字起こし。あくまで批評会なので不快にさせる表現があるかもしれませんが一つの見解として暖かく見守って下さればと思います。また、フォレストガンプのネタバレが飛び交うので鑑賞してからお読みください。

個人情報漏洩を防ぐため若干改変してお送りしています。

雑談 お母さんの言うことを素直に聞いているのは知能指数が低いから?

B 批評するにはなかなか題材が難しかったですね…!

F ね~!上手く言語化できなくて色々な感想サイト漁ったけど上手く言葉で表せられなかった。批評って視点で見ると息苦しいよね。

D 主人公だけじゃなくて周りの人とか取り巻く環境とか。それぐらい密度が濃い作りこめられた作品だからいい意味でほとんどの感想が同じ流れに乗っちゃう。

A わかる、要素が色々ありすぎて批評するにしてもどこから手をつけていいのかわからなくなる。みててなんとなくひっかかったんだけどお母さんの言うことを素直に聞いているのは知能指数が低いからなのか気になる。ただの性格なのかな。

B 実際に関わったことがないから自分からはなんとも。でもフォレストガンプの個性ってずっと一人称で語ってくれているのに知能指数が低いという前提によって内から秘める内面がちょっと読みにくいかも。

C 身近にそういった方と関わる人がいるんだけど、やっぱり知能指数が低い方って言われたことはちゃんとやるというか、いい方は悪いけど裏を返せばそれしかできない人が多いみたいで、大きくくくるわけじゃないけど。人から言われたことをまっすぐに信じてしまうってことを考えるとフォレストが最初から素直だったのは知能指数が低かったのはなくはないんじゃないかなあ。

A その印象はあるよね。ある種の映画あるあるがあるというか。障がい者を汚れの無いものに見せて、なんかちょっと感動話にしようという匂いがしちゃって一歩引いちゃったところはある。あるあるの匂いがしてしまったというか。

A でも、そもそも私この映画をお涙頂戴映画だとは思ってなくて。フィルムワークス(映画の感想サイト)を読んでて思ったのが、凄い人間ドラマ~、運命は~、とか書かれてたけどそもそもこれってコメディじゃないの?

B 原作はもっとコメディ調らしいしね。エリックロスの脚本(色んな原作を感動名作映画にする天才)だから…。コメディとしてみた人も感動作品として受け取った人も、そのほかの視点も色々踏まえてそろそろ個人個人の意見交流を始めてみましょうか。

一人目「なぜフォレストが純粋に見えるのか」

A そもそもの前提として語りの部分はフォレストの妄言であるという考察が多いのですがそれは排除して考えます。冒頭のフォレストを信用できない語り手とした見方でなく純粋に見たうえで私はこの映画をこの映画は「純粋であることの正当性の押し付けの映画」であると定義します。


鳥になって虐待おやじから逃れたいとジェニーが神様に祈ると、逃れられたり(意味深な実家投石シーンがあるけど、幼少期はいったん逃れられたと反断)、神にエビの大漁を祈ると、ハリケーンがライバルの船を壊し大漁に。純粋に生きて神に願うと叶ってしまうという世界に生きるフォレスト。そのフォレスト自身も幼少期に独特のダンスをミュージシャンにテレビで真似されたり、三年間走っていると信者ができ真似してきたり、ステッカーのアイデアを与えたり、Tシャツのアイデアを与えたり、神がかっているともいえるカリスマ性を発揮。そもそも戦火で友人数名を救出、兵役中に始めたピンポンで全米代表に、エビ会社が成功、アップルに投資で億万長者など……枚挙に暇がない程に奇跡を起こしている。観客は純粋な生き方、運命に身を任せたり時には運命を自らの手で決めてしまうことの大切さをフォレストから学ぶ。映画サイトで散見する高評価の感想を読むとそんな構図が見えてくる。


ここで考えたいのは「なぜフォレストが純粋に見えるのか」という点です。成功や奇跡が純粋さからくるものだと我々に印象付けた要因を考察したい。知能指数が75だからでしょうか。母親をはじめとする大人の言うことを素直に聞いていたからしょうか。親友の約束を、利益よりも優先したからでしょうか。どんなに弄ばれようとも一人の女ジェニーを愛し続けたでしょうか。
新年に尻軽女を突き飛ばしたから? 最後の仮定はその女がタバコ臭かった、バカ、障碍者と罵倒されたからという正当な理由があるので排除。

ここからただの感想タイムです。私は純粋には生きられないので言います。フォレストを違和感を抱くほどに愚直にすることで、純粋に見せて有り得ない奇跡を起こして、ね、素直な生き方良いでしょと言う映画に見えてしまった。
だが、ちょっと私がほかの作品と違うな、一筋縄ではいかないなと思ったところはフォレストが全然幸せに見えないところ。親友にも母親にも最愛の妻にも先立たれ、その妻だって散々姿を消したくせにお金を持っていると知った瞬間手紙をよこす。子どもだって本当に自分の子どもかわからないのに「押し付けられてしまった」(これは客観的視点でフォレストは気づいていない)個人的にはこのリトルフォレストはフォレストの子どもじゃないと思うんですけど似てないし、賢いし…。たぶんジェニーが死んだのもHIVとか性病な気がしちゃいますしウイルスってねえ、うん。全然幸せじゃないよね、って思ってしまうのになぜか見習いたいと思ってしまうのは経済的成功がわかりやすいからか、とひねくれた私はさらに考察してしまいました。

皆さんはどうですか。なんで素直で不幸な成功者フォレストに憧れる感想が多くみられると思いますか? 皆さんの意見が聞きたいです。
私はこれは感動人間ドラマより巣頓狂なコメディの印象を強く抱きました。以上です。

一期一会の解釈

B おお~!ありがとうございます。感想とかここはどういう意味だったの~?とかありますか?

D 確かにフォレストガンプ自身は成功者だけど幸せだったとはなんとも言い難いよね…。ジェニーもなかなかな女性だし…。フォレスト自身がそれに気が付いてないのもなんとなく違和感。

A しかもそれをあんまり重要視してない。フォレスト自身が。そこ(盲目的なところ)も(フォレストを羨ましがる感想を書いた人は)いいなーって感じなのか。

B んーでも成功とか利益じゃなくて、そういった出会いというか、邦題に一期一会ってあるけど、お母さんだとかジェニーだとかそういう一度であった人を最後まで大事にする、そんなフォレストの信念というかまっすぐが綺麗で羨ましいと思うんじゃないかな。事実とかじゃなくて生き様。

A なるほど。今聞いて思ったのが私、邦題の一期一会をバス停でフォレストがあった人達との出会いの形だと思っていて、一期一会はただ単に聞いてくれる人とその場限りでさようならみたいな表面的な一期一会だと思ってた。なるほどね。ジェニーとかババとかを一回出会った人を大事にするって意味の一期一会って解釈もあるのか。

雑談に飛んだので閑話休題

素直で不幸な成功者フォレストに憧れる感想が多くみられると思うかについては全員の批評を聞いてからまた後で時間を取ることに。

雑談 冒頭の羽の意味

A 話変わるんだけど冒頭と最後に印象的に描かれるあの羽、どういう意味だと思う?意味深過ぎない?無理やりにでも受け取るならどう考える?

F 確かに印象的な演出だったよね

B んー、頑張って意味を付けるなら私は、劇中で使用されてた「風に吹かれて」っていうボブディランの名曲とかけているのかなと思ったよ。

How many roads must a man walk down
(男はどれほどの道筋を歩いていかなければならないのか)

Before you call him a man?
(人ととして認めてもらうまでに)

How many seas must a white dove sail
(白い鳩はいくつの海を渡らなければいけないのか)

Before she sleeps in the sand?
(砂浜で眠るまでに)

Yes, and how many times must the cannonballs fly
(砲弾はどれほど飛ばし合わなくてはいけないのか)

Before they’re forever banned?
(永遠になくなるまでに)

The answer, my friend, is blowing in the wind
(友よ、その答えは風に吹かれているのだ)

The answer is blowing in the wind
(そう、答えは風に吹かれている)

みたいな感じで答えは風に吹かれているっていう歌詞なの。そう考えると風に吹かれていた羽は答えであって、周りにふわふわと振り回されたフォレストの数奇な人生を表してるのかと解釈したよ。答えは風に吹かれている、それにひとり一人が気づかなくてはいけないと歌っているからフォレストのように生きる生き方をみんな気が付いてもいいんだよともいえるけど………。

さっき上がった「素直で不幸な成功者フォレストに憧れる感想が多くみられる」という話にもつながりそうだね。

A なるほど。意味深に出てくる羽を良い感じに考察しようと思ったけど結局よくわかんなかったんだよねあの羽…笑ありがとう。

最初と最後の映す奴がただのメッセージなのか疑問に思っちゃって、メッセージだけにとどまらない根幹的な設定…うーんなんていうんだろう、最初に妄想説を出さないって言っちゃったんだけど、ちょっとお話の最初から最後までが妄想だったのかなと言うか警告のようなそんな危うさに見えてしまったところはあるよ。…。うーん難しい。

B そもそものその妄想説ってどういうやつなの?

A ずっとベンチで喋ってたじゃん?最後こそ今になってジェニーに会いに行くけど、そこまでは素っ頓狂な話ばっかりでベンチで聞いてたおじさんも信じてなかったじゃん?そんなおじさんの立場が実は私達だったという話。でもその節はあまりに…と思ったから批評では書かなかったけど…。でもメルヘンな雰囲気は出てたよね。あの羽は結局なんだったんだろう…。

次回 2人目&3人目「バス停の人」

ここまでお読みいただきありがとうございました。なんとなく私たちの活動の雰囲気が伝わればと思いみんなの発言をメモをしていましたが、元々文字に起こそうと思っていた音声データが吹っ飛んでいてほとんど記憶を頼りに文章を制作しています。文章として分かりやすいように一部改変してあることをご了承ください。

長くなってしまったので前編と後編で分けて公開することになりましたが、後半はもっと鋭い考察やエピソードなどがてんこもりですのでどうぞたのしみにしていてください。

最後に

映画を観た後にただ「面白かったね!」と言うだけでなくどこがどう面白かったのか、自分の知ってる知識だったり見解だったりを気を使うことなくまっすぐに受け止めあえるのが映画研究サークルの魅力だと思っています。みんなの感想を聞いているだけでもその映画を新しい視点で受け取ることができゾクゾクすること間違えなしです。

次回の活動は「アクション映画」縛りで、スピーチ紹介。各々アクション映画を紹介していきます。ビブリオバトルをイメージして貰えると分かりやすいですね。皆さんにとっての紹介したいアクション映画はなんですか?次の活動もnoteにまとめる予定ですので、アクション映画がみたいけど、何をみればいいのか迷っている方の手助けができるものとなればいいなと思います。

これからも映画研究サークルを暖かく見守っていただければ幸いです。


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