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人生最大の失恋をした話 3.囚われる

意を決して

私たちの関係を
どう思っているのか聞いてみた


すると彼は

「前に、すごく仲良かった人と付き合った
でも別れてしまって
結局その人を失ってしまった

お前のこと大切に思ってる
だからこそ
付き合って、もしだめになったら
人としての関係も失ってしまうから
それが怖いんだ」

と言っていた



そんな風に思ってたなんて
すごくびっくりした


前に付き合った人‥。

そりゃいるよね、と頭でわかってても
ズキンとする


風の噂で聞いた話によると
その彼女は、留学しているらしい

それって本当に別れたのかな
好きだけど仕方なく別れたのかな

今でも好きなのかな‥。

真実を知るのが怖くて
聞くことはできなかった

そんな風に考えている彼に対して
なんて言えばいいのかもわからなかった



ある日
彼と彼の地元近くを歩いている時に
彼の高校からの友人と遭遇した


私はその友人から
「マリ!? 久しぶりじゃん!」
と声をかけられた


私の名前はマリではない

「あれ、違うか、ごめん!
女の子と歩いてるならマリっていう
イメージしかなかったわ〜」

と言われた



要は彼の元カノと間違えられたのだった


関係を失ってしまったことが悲しい、と
彼が言っていた人だ



マリさんっていう名前なんだ‥。
ずっと一緒にいたんだろうな
ていうか私、マリさん、に似てるの?
似てるから私と一緒にいるようになった??

名前を知ったことで元カノが一気にリアルになった

たくさんの疑問と不安が押し寄せて
心がどんどん支配されていく
顔が曇っていくのが自分でもわかる


もうすっごく、ショックだった

こんなことって、ある?


彼にも謝られたけど
別に彼が悪いわけじゃない
でもこの出来事より前に戻ることができない


おそるおそる、
だけどなるべく努めて明るく、
私って元カノさんに似てるの〜?とだけ、聞いた
彼は静かに笑って
全然似てないよ、と言った



あ、今、マリさんのこと考えてる‥


そりゃそうだ私が質問ふったんだから

さっきから圧倒的な強さで
この空間に元カノさんが存在している
私はどんどん小さくなって消えてしまいそう


そのあと彼とご飯を食べたけど
もうなんの味もしなかった




結局、その帰り道
私は涙が止まらなくなってしまって
彼に好きだと伝えた

元カノに間違われたショックがあまりに大きくて
もう自分の気持ちに
観念したような告白だった


考える時間がほしい、
それが彼の返事だった


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