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脚本「小さな星の王子さま」

以下、冒頭部分を掲載(※ト書きは省略しています)

■ 脚本「小さな星の王子さま」

作・羽野だい豆(ごっタメ!) 原作・あのときの王子くん(青空文庫)

【 出演者 】
N(トニオ)
王子さま
バラ
王さま
みえっぱり
のんだくれ
仕事人間
点灯夫
地理博士
ヘビ
やまびこ
地球のバラたち
キツネ
トニオ(飛行士)

N 「ある日、小さな王子さまの住む小さな星に、どこからか、花のタネがひとつ飛んできて、見たこともないキレイな花を咲かせました」

バラ 「ふわあ~。もう、髪がくしゃくしゃ。まあ!なんて小さな星なの」

王子さま 「 なんてキレイな花だろう・・」

バラ 「あたし、バラって言うのよ。あたしほどキレイな花は、宇宙にふたつとないわ。ウフフ」

N 「それからの王子さまの毎日は、本当にキラキラしていました。王子さまは、星の掃除をしたあと、バラの世話もするようになリました」

バラ 「コホン!・・コホンコホン!」

王子さま 「ん?」

バラ 「もう朝のお食事の時間じゃなくって?」

王子さま 「ごめんよ!すぐ、水をあげるから」

バラ 「ラ~ラ~ラララ~♪ ねえ見て、あたしのこの4つのトゲ。これがあれば、獰猛なトラが来たって全然平気よ」

王子さま 「安心して。ぼくの星には、トラは一匹もいないよ」

バラ 「・・・そんなの、わからないじゃない!」

王子さま 「それに、トラは、草を食べないからーー」

バラ 「あたし、草じゃないんですけど!」

王子さま 「あっ・・・ごめん」

バラ 「フン!」

王子さま 「・・・(また掃除をはじめる)」

N「何日たっても、どれだけバラに尽くしても、バラは、とても疑い深く、とても見えっ張りでした」

バラ 「コホン!コホンコホン!ついたてとかないのかしら!あたし、風にあたるの大っきらい!」

王子さま 「(わざと無視をする)」

バラ 「コホンコホン!」

王子さま 「わかったよ!いま、持ってくるよ」

バラ 「夜には、ガラスの覆いもかけてちょうだいね。あなたの星、すっごく寒いの」

王子さま 「毎日毎日うんざりだよ!よし!明日、わたり鳥にのって、この星をでてやるんだ・・・。もう二度と、ここには帰らないぞ!」

N 「次の日の朝、王子さまは、星の片付けをしました。
火のついた二つの火山のススを払い、念のため、火の消えた火山のススも払いました。いつもよりも、丁寧に、丁寧に」

王子さま 「しっかり・・ススを・・払ってっと!そうすれば・・ずっと・・ドカンとならずに・・済むぞっと!もうこれで、最後かあ・・・」

バラ 「コホン!朝のお食事はまだなの?コホンコホン!」

王子さま 「今、あげるよ。さ、どうぞ」

バラ 「ラ~ラ~ラララ~♪」

王子さま 「ぼくね、この星を出ることにしたんだ」

バラ 「!?コッホン!あら、そうなの!」

王子さま 「うん。だから・・・これで、君とは、さよならだ」

バラ 「コホン・・・」

王子さま 「お元気で」

バラ 「あたし・・バカね・・・」

王子さま 「え?」

バラ 「あたし・・君が好きよ。・・でも、きっとわからなかったわよね。それは・・あたしのせい。でも!君もバカだわ!あたしと同じで・・バカ・・・。コホン!ガラスの覆いはもういいわ!」

王子さま 「でも、風が・・・」

バラ 「そんなにひどい病気じゃないの。夜、ひんやりした空気にあたれば、きっとよくなるわ」

王子さま 「でも、虫は?」

バラ 「毛虫の1匹や2匹はがまんしなくちゃ。ここには、もうだれもいないんだから。・・・コホン!大丈夫よ!大きな虫がきても、あたしには、この4つのトゲがあるんだから!」

王子さま 「・・でも・・でも・・!!」

バラ 「もう!いらいらしちゃう!!行くって、決めたんでしょ?・・・コホン・・コホン」

王子さま 「・・・うん」

 ♪わたり鳥が飛ぶ羽音 ・・・

N 「このときの王子さまは、今よりもずっと子どもで、“愛する”ってことが、まだ、わからなかったのです。バラは、星じゅうに良いにおいをさせて、いつも王子さまの心を晴れやかにしてくれていたのに・・・」

【王さまの星】

王子さま 「ふわぁ~。ずいぶん飛んできたなあ。・・・もうぼくの星が、あんなに遠いや・・・」

王さま 「おお!おお〜! おい!命令だ!降りてこ〜い!」

王子さま 「(王さまの星に降りる)」

 ♪わたり鳥が飛ぶ羽音 止まる

王さま 「さ!家来!ちこうよれ!よう見たい!ほれ!ほれ〜!」

王子さま 「あの〜ぼく、あなたの家来じゃありません」

王さま 「何を言う!ワガハイはこの星の王さま!だから、み〜んなワシの家来だ!」

王子さま 「ふわぁ~〜」

王さま 「むむ!王の前であくびとは!!」

王子さま 「ぼく、長旅で寝てないんだ」

王さま 「ん〜・・ならば・・ゔ!ゔん!『命令をする!あくびをせよ!!』じつはワガハイ、あくびを見るのはごぶさたなのだ。ほれ!ほれ〜!あくびをせよ〜!」

王子さま 「そんなこと言われたって・・いまは出ないよ・・・」

王さま 「ん〜・・ならば・・ゔ!ゔん!『命令をする!あくびをしたいときは、し!したくないときは、するな!』ん〜〜」

王子さま 「わかりました。・・・あの、王さま。王さまはーー」

王さま 「ま、まて!ゔ!ゔん!『命令をする!質問せよ!!』」

王子さま 「王さまは、この小さな星で、なにを治めてるんですか?」

王さま 「すべてである!」

王子さま 「じゃあ、ぼくの星も?」

王さま 「むろん!お前の星も、すべてである!」

王子さま 「じゃあ、星はみんな、王さまの言う通りってこと?」

王さま 「むろん!言う通りである!」

王子さま 「すごいや!・・・ねえ・・王さま。夕ぐれを見せてくれませんか?いますぐお日さまに『しずめ!』って命令してください!」

王さま 「ん〜よかろう!」

王子さま 「ありがとう!!」

王さま 「・・・」

王子さま 「・・・」

王さま 「・・・」

王子さま 「あの・・王さ(ま?)ーー」

王さま 「ゔ!ゔん!『命令をする!質問せよ!』」

王子さま 「早くお日さまに『しずめ!』って命令をーー」

王さま 「待つのだ!うまく星を治めるには、良いタイミングがある!」

王子さま 「・・・いつまで待てばいい(の?)ーー」

王さま 「ゔ!ゔん!『命令をする!そこの本をとれ!』」



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