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宇宙人、ネコ説。

■はじめに
この短編小説は、まだ文章を書きだしたばかりの時のものになります。
当時、ぽてとドライブ中にふとネコについてのブレインストーミングを始め、そこから文章にしてみたと言う経緯です。

こう言った、何かにつけての「共通点探し」と言うモノはこの文章を書くことで知った面白さであり、これらを自分の中で良く練り上げる切っ掛けにもなりました。
良ければ読んで頂ければ幸いです。

■宇宙人、ネコ説。
 思い出したかの様に、度々メディアに取り上げられる「未確認飛行物体」そして「宇宙人」。私はこの正体がネコではないかと、ふと思う事がある。そう、猫である。哺乳類食肉目ネコ化ネコ目に分類される彼らである。
 
 彼らは、我々が思う以上に人間社会に深く順応しており、そして誰からも愛されている。これこそが彼らの生存戦略と考える者もいるが、これは大きな間違いである。悪く言い換えてみれば、誰からも愛される行動を取る事で、ネコの無害性を強調し、一見、弱々しく見せる事で母性をくすぐり、保護の名の元に人間の領域に入り込む。それにより種の繁栄を安定化させ、その数を拡大する事に成功したとも取れる。

 そう考えると、非常に知性が高く、実に狡猾な生物であることが伺える。人間との共存を彼らは選択したかのようにも見えるが、では逆に、知らず知らずのうちに我々がそう仕向けられたとしたらどうだろうか?

 この話は、断じて陰謀論などではない。可能性を深く掘り下げた、思考実験の延長の様なものだ。
 
 昨今、SNSや動画サイト、テレビの番組ですら動物コンテンツが非常に人気である。が、これらは本当に人気コンテンツなのだろうか? 作られたコンテンツでは無いと言えるのか? 作られたものとしたら、誰がこのブームを仕掛けたのか?

 これは、コンテンツの頂点にある映像に注目してもらいたい。その殆どが「ネコ動画」である。あの登録者トップクラスの、有名動画投稿者ですらネコ動画を配信、投稿している。
 
 では何故、彼らがトップの座に君臨しているのかを考えてみる。ネコは非常に知能の高い生物だと言われる。比較に上がるイヌは賢く、ネコは頭が良いと言う話を諸賢等もご存じだと思う。彼らは、人間とある程度のコミュニケーションが取れる程、我々の言葉を学習する事が出来る。

 ここで考えてみて欲しい。前提として宇宙人とは、我々地球人よりも優れた文明、化学力を持つと言われる。当然知能も高く、学習能力も比喩を絶するというのは明白である。
 
 この点に置いて、ネコとの類似性が早くも見えてくる。能ある鷹は爪を隠すと言うが、真に能力のある者は、その正体すらも晒すことは愚かであると考える。当然である、能力、正体などは武器でもあり同時に弱点になりうるからだ。
 
 例えば、トランプで勝負をする時、鬼札、切り札となるものは大抵、エースかジョーカーと相場が決まっている。エースならば四枚、ジョーカーなら一枚ないし二枚までしかデックには入っていない。そんな限られた最大の武器を早々に使おうものなら、「私にはこれ以上の手はもうありません」と宣言しているのと同じなのである。

 その心理を逆手に利用した戦術も勿論あるが、今回はその話は考えないものとする。当然の話ではあるが、自らの手札をワザワザ公開するなどと言う事も、何も考えずとも悪手であると分かるはずだ。とにかく、必殺技は「必ず殺す」から必殺技なのである。

 知性が高いのであれば、勿論この理論も持ち合わせているはずだ。彼らネコは、その真なる能力と正体を我々には未だ見せてはいないと考えるのは妥当だと考えられる。

 では我々にはまだ見せない能力と正体は、どういったもので、如何なる場面で使われるのかを考えてみる。

 彼らは人間とのコミュニケーションが可能な知能を備えている。これは誰しもが知る情報である。そのコミュニケーションは、本当にある程度のものであるのか? ここに疑問が生じる。

 良く考えてみて欲しい。彼らが人類と上手く共存し、その数を繁栄させられたのは、本当に多少のコミュニケーション能力と愛嬌だけなのか? これは、我々人間社会にも当てはまる事であるが、他者と殆ど会話をせず、付き合い程度の関係だけで、集団に協調する事は果たして可能であるか?答えは残念ながらノーである。かく言う私も人間関係は苦手である。そこに焦点を置くと、ネコはそれを可能としたのだ。それも他種族間で成し遂げており、その水準は非常に高いものと評価せざるを得ない。

 この事から、彼らが自身の能力と正体を要所で使い分けている事が見え隠れしているのが分かるはずだ。その要所とは一体、何で、何処なのか?それは、各国の有力者や要人、そして世界規模の秘密組織が関わっていると考えるのが妥当と思われる。
 
 エジプトには、未だ謎の解明されぬ遺跡ピラミッドが存在する。これらは、一部では宇宙人との関りが示唆されているが、これはまさにその通りであるのではないかと私は考えた。

 かつて、ネコの姿をした神、バステト神が崇められていた事、未知の遺跡の側に座するは、ネコの体を持つスフィンクス。これらが雄弁にその関連性を示している。そしてピラミッドは「時代の新しい秩序」と言う文字と共に、アメリカ合衆国の1ドル紙幣に描かれており、そのピラミッドの頂にはプロビデンスの目が刻まれている。このプロビデンスの目と深く繋がりがある秘密組織と言えば……勘の良い諸賢等ならもうお分かり頂けたであろう。この繋がりを鑑みれば、ネコは遥かなる古代より、明確に、疑う余地なく、言語を介して、我々人間と交流してきたと考えられる。そして彼らは、優れた文明と化学力を太古の人類に示す事で、神性すらも備えていたのである。
 
 次に、世界で最も信頼される国際通貨、基軸通貨とも言われる米ドルにその関連性を見せるネコと「時代の新しい秩序」という言葉。この新しい秩序というものにフォーカスしてみる。

 まず0と1の関係性について、少しばかり認識を改めて貰いたい。ここでは、0と言うものは無であり、基準点と考えるものとする。1とは有であり移行する事を意味し、0より進んだ状態、又は進んだ点とする。0が1へ移行するには当然1を足せば良いのであるが、ではその1は何処から来たものであるのかを考えねばならない。

 無しかない場所には、無しかないのは当然である。しかしその無、所謂、基準点が大量に、全く同じ基準点に存在した場合は、ただ無が増え続けるという事になる。これを延々と繰り返す事で、このオーバーフローした状態を1と定義した場合、初めて無は有となり、基準点から進んだ状態に移行する。

 この移行すると言う酷く難解で、繁雑的な、価値ある1という数字を記した、紙幣と言う最も我々の生活に直結したものに、新しい秩序と刻まれている。これは何かしらの記念としたものへの祝辞でもあり、そしてこれから起こりえる事への暗示なのである。

 この考えを基にするならば、外部的要因があれば、0は、いともたやすく1へと移行が出来るということになる。その外部的要因こそが、彼らネコがもたらした「新しい秩序」なのである。これまで彼らと対話し続けた人類の代表者たちは、ネコたちの確固たる地位の確立を約束し、彼らの革新的な技術の提供を受けてきた。

 世の権力者の膝元には必ずと言っていい程、彼らネコが抱えられ、寵愛され、自由に行脚する事を許されている。最早、権力者はネコの傀儡になり果てていた可能性すら感じさせる。今日の人類とネコの共存こそが、この新しい秩序なのである。これこそが、昨今の動物コンテンツブームの頂点、ネコ動画の真実なのである。しかしこれは彼らネコにとっては、まだまだ始まりの一歩なのだ。
 
 彼らの真の目的。真の秩序とは、この地球の進化を成熟させたのちに、その全てを自らに還元させる事ではないかと私は考える。つまり、人類はやがて全てのネコに反旗を翻され、侵略戦争を挑まれる事になるだろう。

 彼らとの戦いが始まってしまった場合、人類にはまず勝ち目は無いと思われる。

 まず陸上戦。彼らはその小さな体躯を俊敏に、縦横無尽に、意のままに操る術を持っている。どんなに小さな隙間もスルリと抜け去り、自身の間合いを熟知し、一瞬の隙も見逃さず、勇猛果敢に鋭い爪と牙とで襲い掛かる。一度狙った獲物は、仕留めるまで何処までも追いかけ、そしてジリジリと詰め寄る。彼らは陸戦のプロなのである。

 どこかの諜報員が、近接戦闘では、銃よりもナイフファイトが有利な場合もあると言っていたが、彼らはその近接戦闘の達人。猛毒の蛇も恐れず、グリズリーですら一撃で撃退する程の力を、一匹一匹が有している。

 同時に対空戦にも通じている。彼らが空飛ぶ野鳥を仕留める姿をご覧になった事はあるだろうか? 気配を消し去り、息を潜め、まるで熟達の狙撃手の様に狙いすますのだ。無駄な動きなど一切ない。考えてもみれば、何とも恐ろしいプレデターだ。

 そんな彼らがゲリラ的に挟撃を仕掛けてくる。当然、統率も取れている。銃などでは叶うはずもあるまい。しかし、海戦だけは勝機があるかもしれない。彼らの習性上、水には近づこうとはしない。いや、もしかするとそれすらもフェイク情報かもしれない。

 どこまでも知的で、恐ろしく狡猾なインベーダーである。

 普段、自由気ままに一日を過ごしている様にも見える彼らではある。が、ネコの一日と言うものは案外と忙しいものであると推察する。なわばりの巡回に、他所への顔見せ。この辺りは我々の知る行動ではある。しかし、最も謎深いと言われるネコ会議。この所在を詳しく知る者も少ないのではないだろうか? それもそのはずである。この会議は、諜報活動の報告、そのなわばり……所謂、部隊員の点呼など、人に知られては不味い情報で溢れている。

 会議や集会の場所が特定されないのは、情報漏洩を徹底的に防止するために秘密裏に、そして何度も場所を変えて行われるからである。この様子から、彼らは有事の際には、統率の取れた優秀な戦士に変わる事が容易に想像する事が出来る。そして恐らくは、この集いで「未確認飛行物体」の整備予定、航路の調査、搬入方法などの計画が練られ、彼らの秘密基地へと情報発信をしていると思われる。

 ネコ科の動物の中でも、ネコしか行わないとされる、未だ解明されていない謎の行動「チャタリング」と言われるものがある。これは、歯を打ち鳴らすような音を断続的に鳴らすもので、その音域は多岐に渡る。察するに、これまでの経緯から暗号通信であると言える。

 これにより、未確認飛行物体を呼び寄せたり、秘密基地との交信を行っていると考えられる。彼らの聴力は非常に優れており、異なる方向の音を聞き分ける事が可能。指向性に優れ、音の発生源などを正確に捉える事が出来ると言われている。

 彼らの暗号通信はこの能力もあり、非常に正確で、信頼性の高いものであると言えよう。これだけの活動を一日で行うのであるから、如何に戦士として鍛えられていようとも、彼らの体力は当然尽きる事もある。彼らが気持ち良さげに眠るのも、良く働き、良く活動するからなのである。狭い場所や、段ボール、果ては土鍋に潜り込んで眠るのは、彼らが駆る、飛行物体のコクピットを感じさせ、戦士として安心して眠れるからに相違ない。
 
 彼らの決起する戦いは、この先いつ起こるかは分からない。もしかすると、我々の世代では起こらないかもしれない。それはさほど重要な事ではない。我々が真に重要視せねばならないのは、あらゆる可能性を想定し、情報をしっかりと理解し、何を成していくかなのである。自身が知りえるものは、果たして真実と言えるものなのだろうか?

 日常に潜むインベーダーは、狡猾に、したたかに、こちらを覗き込んでいる。

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