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M-1グランプリ2021の感想・考察

M-1グランプリ2021に出場した10組の感想・考察を書いてみました。

①モグライダー(8位)

「美川憲一さんの『さそり座の女』が〈いいえ私はさそり座の女〉で始まるのは、歌い出しの前に美川さんの星座と性別を当てようとする輩がいたから」

こんな斬新なフリを思いつくセンスだけで高得点間違いなしと思った。それに加え、どこかアホッぽさを醸し出すボケ・ともしげと、明瞭でセンスのあるツッコミを繰り出す芝さんの掛け合いは、さながら珍馬を巧みに操る敏腕ジョッキーの関係を想起させ、多くの人がガッチリと心をつかまれたことだろう。トップバッターとして過去最高点であることからも分かるように、今回のM-1の最高の雰囲気はモグライダーなくして醸成されなかったはず。出番がもう少し後だったら決勝に残ってたのでは、とタラレバを想像してしまう。

少し引っかかったのは、終盤ともしげがネタを間違えたのか、「この掛け合いいるかな?」と冗長に感じる部分があった。調べてみると普段からネタ間違いが多いらしいのでまんざらでもなさそう。まあ、それもモグライダーの良さであり、危うさを秘めたともしげの魅力でもあるのかもしれない。


②ランジャタイ(10位)

奇天烈漫才、とはまさにランジャタイのためにある言葉だ。
「風の強い日に外出しようと思った矢先、顔面に猫が飛んできたとき、その猫を飼うか?」というシュールなフリは、まさに奇天烈。個人的には好きなタイプの漫才なのだが、大衆には受け入れられないだろうと思っていたため、まさかあんなに爆笑をかっさらうとは思っていなかった。モグライダーが素晴らしい雰囲気を作ったこと、そして近年、マヂカルラブリーやジャルジャル、トム・ブラウンといった尖った漫才も受け入れられるようになってきたことが大きいかもしれない。オチの「アァー!ダブル将棋ロボだァー!」の後、終了の音楽が鳴らなかったのもある意味最高のオチだった。それに気づいた二人が「終わりましたけど……?」と、言いたげに後ろを振り返る姿や、敗退コメントの際の等身大巨人師匠パネルなど魅力全開だった。最下位とはいえ、今大会一番爪痕を残したコンビであることは間違いない。巷では「最下位を守り抜いた」との声も。個人的準優勝コンビ。


③ゆにばーす(6位)

今大会の掴みで一番面白かったのはゆにばーす。去年の敗者復活も個人的にはゆにばーす推しだったので、今年戻ってきてくれてよかった。ディベート漫才というべきか、掛け合いが進化してたし、一転攻勢に出るハラちゃんの新たな一面が見れてよかった。ただ下ネタの割合が多く若干笑いづらいところではあった。
「M1を獲ったら芸人をやめる」という川瀬名人がどんな進化を遂げるのか楽しみ。


④ハライチ(9位)

ラストイヤーで新しいことに挑戦し、やりたいことをやったハライチは本当にカッコよかった。否定されると急にブチぎれる岩井さんの新たな一面が見れてめちゃくちゃ面白かった。後半もっと展開があれば点数が伸びたと思うが、何よりもハライチがやりたかったことができたこと、新たな一面を見せてくれただけで十分。15年間お疲れさまでした!
あと、名前をつけてやるTを着ていたのも印象的。


⑤真空ジェシカ(6位)

まさにセンスある漫才を見せつけられた。ボケ・川北さんの一個一個のワードセンスが抜群で、全てがお客さんにハマっていた。ガクさんのツッコミも的確で、なよなよした感じが異世界に放り込まれた子羊のようで、ネタ全体に漂うシュールな雰囲気にとてもマッチしていた。5秒秘書や駒澤大学のタスキなどの伏線回収は見事。ちなみに今年の箱根、駒澤は3位。

一方、点数が伸びなかったのは、若い人に刺さりやすいボケが多かったことがあげられる。島人(しまんちゅ)から罪人(つみんちゅ)へと発展させる言葉遊びや、「(5秒秘書の)貴重な5秒を罪人(つみんちゅ)の説明に使ってしまった…」というひねりの利いたツッコミなどはやはり新しい笑いなのだろう。やや点数の低かった上沼恵美子さんが「もっと笑いたかった」とコメントしたのも、才能を認めつつもその笑いについていけないもどかしさがあったからではないだろうか。いずれもにしても、今回で真空ジェシカのファンになった視聴者は多いはず。もちろん僕もその一人。個人的優勝コンビ。


⑥オズワルド(2位)

「今年のチャンピオンはオズワルドだろう」と誰もが確信したといっても過言ではないほど圧巻の漫才だった。2019年初出場時からボケ・畠中さんの狂気的なキャラ、そしてツッコミ・伊藤さんの知的なツッコミで審査員も一目を置いていた実力派。オズワルドのツッコミは知的だけど、それを感じさせないスッと入ってくる分かりやすさがある不思議な感じで大好き。昨年、松本さんと巨人師匠から相反するコメントを受けたことに葛藤しつつも、声のトーンの自然さなどを追及した結果、巨人師匠に「直すところがないんちゃう?」と絶賛されるほどの完成度を見せた。

ただ、2本目はインディアンス、錦鯉という勢いのあるコンビの作った雰囲気に飲まれたのか、色々上手くいかなかった。2019年はミルクボーイ、2020年はマヂカルラブリー、2021年は錦鯉の後にネタを披露し敗れ、通称「おくりびと漫才」の呪縛を背負うオズワルド。果たして来年は優勝できるのか、それとも無冠の帝王・和牛と同じルートをたどるのか。大好きなコンビだから優勝してほしいところではあるが。


⑦ ロングコートダディ(4位)

「ワニに生まれ変わりたいのに転生先が肉うどん」というシュールな世界観を前面に出し、手数よりも一発のボケの質で勝負するネタ。一つでもお客さんにハマらないとダメージが大きい構成ではあるが、そのすべてがウケていてめちゃくちゃカッコよかった。ネタ自体も肉うどんに終始せず、ラコステや2文字タイムなど遊び心ある後半の展開・ノビがあって素晴らしかった。45万キロ走るワゴンRの天寿をまっとうする頃にはM1チャンピオンに輝いていてほしい推しコンビ。


⑧錦鯉(優勝)

あのキャラの50代おじさんに「どうせみんな、こうなるんだよ!」なんて言われたら笑わざるを得ない。正直あのキャラはチート。おじさんの醸し出す悲壮感や時代遅れ感の中に、突き抜けたおバカさや明るさがあるからなんか笑っちゃう。こういう笑いは類を見ないし、まさにオンリーワン。2本目の巧みな伏線回収や、最後の「Life is beautiful !」も相まってネタの最中に「あ、優勝かも」と思った。賞金で奥歯入れるのかな。何はともあれ、おめでとう!


⑨インディアンス(2位)

審査員のナイツ・塙さんをして「漫才が一番うまい」と言わしめたコンビ。NON STYLEのような豊富なボケ数に加え、ボケ・田渕さんのテンションの高さや、きむの的確なツッコミを武器にしたテンポのいい漫才はまさに圧巻だった。毎年進化しているし、誰が見ても面白いと分かる漫才として、インディアンスの右に出る者はいなかった。3年連続の決勝進出でこぎつけた2位という結果。来年どういう進化を見せてくれるのか楽しみ。


⑩もも(5位)

「お前〇〇顔やないか!」と、顔と趣味とのギャップをお互いに指摘していく漫才。ずっと聞いていたいと思わせるワードセンスとテンポの良さが最高だった。前半、掛け合いがゆったりだったのは初見の人に配慮したためか。後半にかけてギアチェンジした言葉の浴びせ合いをもっと聞きたかったが、それでも十分面白かった。松本さんに「3年後優勝する顔」と言わしめた期待の4年目。一番面白かったのは「そんなんいうたらあかん顔」。


敗者復活で気になったコンビ

マユリカ

コンビ名の由来がカワイイと噂のコンビ。ボケやワードセンス、ツッコミのテンションが最高。INUIの車のカギ、終わってるのめっちゃ好き。

ヨネダ2000

結成2年目とは思えない天才的なネタ。シュールな世界観がクセになる。でも来年決勝残ったらクセ者好きの志らくさんが100点付けちゃうやろー。はーい、デフテックサンシェラm(ry

男性ブランコ

個人的敗者復活コンビ。伏線回収が面白すぎた。「ルンバのペースでやらせてあげて」と「全治癒」は日常生活で使っていきたい。


……と、ここまでただのお笑い好きの僕が偉そうに書きました。
来年も楽しみです。

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