マッチレビュー J1第1節 G大阪vs鹿島

 ホームでの開幕戦は1-3で敗北。ぴえん。

 残念な退場もあって試合の半分以上を10人で過ごすことになりました。ただ、この試合、11人対11人の状態でもモメンタムはそこまで変わらなかったのではないかと思う。

 鹿島とガンバの間に感じた差は「深さ」を取るために無理してるかしてないか、という点。

 「カタノサッカー」の代名詞として語られる「疑似カウンター」。自陣深くまで相手を引き込んで「深さ」を取ることで縦に生まれた広いスペースを使って一気に相手ゴールまで強襲——といきたかったのかもしれないが、こと今日の試合に関してはそこまで自陣に相手を引き込んでいるとは感じられず。むしろ結構蹴っちゃってる印象でした。一番おやと思ったのはゴールキックがほとんどパト狙いのロングキックだったこと。もっと偏執的に自陣から繋いでいくのかと思いきやそうでもなかった。

 ただ、そういう判断をしていた割にボールを持つための後ろの変換は割とカタノサッカーのセオリー通りというか、ボランチが落ちて髙尾柳澤が広がるという変化を勤勉にやっていた印象。陣形は変化する。でも人数に余裕ができたはずのバックラインでじっくり持つわけではなく、結構頻繁に蹴っちゃう。すると中盤に人がいないのでセカンドボールを拾われる。

 何で頻繁に蹴っちゃうのかなというと、GKがそこまでビルドアップに関与することができていなかったから、と思います。本当にカタノサッカーのセオリー通りにやるなら、ゴールキーパーがもう少しビルドアップに関与しないといけなかった気がする。ここが関与できないと、鹿島はプレッシングの人数が足りるので、ガンガン前からいけちゃう。

 なので、何かちぐはぐ感が否めないのがガンバの保持でした。メンバーがそろってない、練度が足りない、というのは確かにそうなんだろうけど、練度を上げていった先の答えがちょっと見えにくいなぁと思ったのも確か。本当にGKを関与させていくのだろうか……?

 こと鹿島、鈴木優磨と上田あやせ(ひらがなで書くんだ、俺は)の2トップはズルです。コンディションの影響か、3バックの両脇を担当するのが柳澤と髙尾。楔を受ける鹿島の2トップにぶつからなきゃいけないのは彼らなんですがちょっと荷が重かった気がする。落としを受けるために内側に入ってくるのも荒木に土居などバカうまい連中ばかりなので取ったスペースでしっかり前向いて来やがる。

 というわけで、前からいけば蹴らせて回収できちゃう、んで前線に当てればあんまりリスクなく深さを取れてしまう鹿島と、なんか深さを取るために色々頑張るガンバという対比。前半のガンバの失点がどちらもビルドアップミスからというのは、ロジカルな帰結だと思う。

 パトが退場してからについては、あんまり書くつもりがないというか、結構うまくいってない感がありありとした前半だったからこそ、片野坂監督がどういった修正をチームにもたらすのかが気になっていたんですが、見たいのは、10対11の時の修正ではなく、11対11の時の修正なのです。その機会をまるっと奪ってしまったのがあのレッドカードなのだなと思うと、やっぱり残念な気持ちになります。

 後半、片野坂監督は4-3-2の形で、かつ途中から宇佐美IHで山見ペレイラの2トップとかいうとんでもないファイヤーフォーメーションを採用。まあ死ぬほどシュート打たれたけど、守って1点を取って勝ち点1をもぎ取るというよりは、失点のリスクはええからとにかく前を向くメンタルを見せろと、そういう気概を感じました。

 結果としては、1点も取れず追加点を奪われ1ー3という結果に終わりましたが、多分バックラインの枚数を揃えて引きこもっても1ー2か1ー3で負けていただろうし、少なくとも、試合が終わった後のメンバーのメンタリティには何某かのプラスの影響があったんじゃなかろうか。

 ただ、1-5とか1-6とかだと分かんなかった。というわけで、片野坂監督、敗戦後のメンタルコントロール、という意味では、賭け金分は取り戻せなかったけど賭けは外れなかったんじゃないだろうか。最後までゲームを成立させてくれた石川にはマジ感謝です。

 片野坂監督は所謂カタノサッカーしかできないわけではないはずだし、当然ながら、上手くいかなかったときのリスクヘッジができる監督だからこそ苦しみながらも大分で長く続けてこられたはず。ここから何にこだわって、何を修正していくのか、注目して観ていきたいと思います!

 

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