川崎に勝つ方法について本気出して考えてみた(J1第13節 ガンバ大阪vs川崎フロンターレ プレビュー)


 こんにちはちくわ(@ckwisb)ですお元気ですか!

 今回は新たな取り組みとして「プレビュー」をやってみようと思います。とはいえいきなりですが今回限りで多分続きません。笑 最後にネタばらししますが、とある企画向けにこのプレビューを書いています。

 プレビューの題材は第13節の川崎フロンターレ戦。直近の川崎は、名古屋との首位決戦を2連勝で寄り切り絶好調。現在リーグテーブルの先頭を快調に走っています。正直言って勝ち点を計算するのは難しい相手だと思いますが、今回のプレビューではその盤石に見える川崎の強さとガンバのこれまでの取り組みについて自分なりの言語化をしつつ、真面目に「川崎を倒す方法」について考察してみよう!と思います。


知彼

 「敵を知り己を知れば百戦危うからず」。まずは川崎フロンターレについて考えてみたいと思います。

 川崎フロンターレが何故こんなに強いのか?もちろん、要因は一つではないとは思いますがあえて、あーえーてその強さを強引にまとめるとしたら、2対2・3対3、といった「"ミクロのユニット"の練度がべらぼうに高い」ことが挙げられるんじゃないか、と思っています。

 先日の名古屋戦の1点目などは象徴的でした。ガンバも苦しんだあのブロックを、その練度から導き出される選手配置とスペース認知の妙でいとも容易く突破しゴールを奪ってしまいました。書いてて気が滅入りますが、この練度の高さがラスト30mの「崩し」の局面で遺憾なく発揮され、ゴールを量産できているのだと思います。


 もうひとつ川崎フロンターレの特徴として「ボールを失ってから奪い返すまでのスピードが速い」ことがよく挙げられますが、これも持っている武器を最も効率よく使うには?ということから逆算されていると思います。

 「"ミクロのユニット"の練度」が秀でているということは、奪われた瞬間、その周辺のユニットの状態を相手よりも早く認知できることに繋がります。即時奪回を図ることで相手の選択肢を狭い局面に限定し、"ユニットの練度相撲”……勝てる土俵を押し付けちゃおう、というわけですね。

 恐らくは、プレーの全てが「ミクロの練度という強みを相手に押し付ける」というコンセプトに沿った形で整理されているんじゃないかな~、と思っています。言い換えればプレーモデル。ミクロの練度、フラクタル構造……と、これ以上掘り下げると長くなりすぎるので戦術的ピリオダイゼーションの本とか買ってください。

 なので(説明できたことにする)、あれだけ多彩な引き出しを持っているように見えて、選手の頭の中はひとつのコンセプトに沿ってシンプルに動いており、観るべきものが整理されている、だから判断が速い、だから強い、んじゃないかなぁ……。と思ったりするわけです。

 「分かった!ほなウチもミクロの練度上げまくって勝ったらええんやな!」と、まあそんなことがすぐにできるなら苦労はしません。というか、それができるチームが無いから川崎はこの位置にいるわけで……。じゃどないしたら勝てるんや、という訳で、一般的に考えれば「強みの裏返しが弱み」のはずです。

 「ミクロなユニットの練度が強み」なのであれば、ユニットの練度が問われないゲームを作ればいい……言い換えれば、マクロに戦うべき、ということになります。


川崎を倒す方法

 マクロに戦うとは、はて何ぞや……ということですが、ここで話をガンバに移していきましょう。

 なんだか遠い昔のことのように思いますが、一応去年2位だったガンバのテーマは「どうやって川崎フロンターレを上回るか?」。今年取り組んでいることから浮かび上がってくるのは「マクロに戦う」方法のインストール、だったのではないか?ということです。

 今年のガンバ、4-3-3、というフォーメーションの数字ばかりが象徴として取り沙汰されますが、攻撃/守備の始点における昨期との違いに着目すると、"高い位置から、広く守る(ゼロックス川崎戦等)""ゴールキーパーを絡めて、ピッチを広く使ったビルドアップを行う(リーグ福岡戦等)"という点が見えてきます。

 練度は一旦脇に置いときましょう。ここで問いたいのはこうした内容に取り組もうとしている姿勢です。

 こうした戦術で相手に押し付けようとしているのは、「ユニットの練度」という強みをいかに出させないか?ということ。

 先述のコンセプトにキワッキワに適応しているであろう川崎フロンターレ、裏返せば「広い盤面をどう料理するか?」が問われるシチュエーションは必然的に少なくならざるを得ません。川崎フロンターレの失点シーン(少ない)を紐解いてみると、サイドチェンジから前進を許すシーンが起点だったり、大外からのクロスに大外で合わせられる、など、「ユニットの外側から殴られる」ケースが多いのは偶然ではないでしょう。


 広くピッチを使い、ユニットではなく、盤面で解決を図る。これが川崎フロンターレに勝つ正道であり、それに取り組もうとしているのが今年のガンバである、と思われます。

 ※練度はともかくね!、ということでレファレンスとして神戸を取り上げてみます。彼らだったり鳥栖だったりが直近川崎といい勝負をしてるのは、こうした盤面解決の力がインストールされているからなのかな?と思ったりしてます。

(名将アツ!)


知己

 さてさて、しかし足元に目を向けると姿勢すらも覚束ないぐらいにチーム状態が悪いのが現在のガンバ。リーグ戦は未だ1勝のみ、カンフル剤として期待したダービーも内容で押されPKで辛くも勝ち点1を持ち帰るという結果に。続けてやってくるのが川崎、ポジティブ要素を見つけるのも難しい……というのが正直なところです。

 不調の要因として、やはりコロナ感染・クラスター化による中断は外せないでしょう。そこでチームの取り組みがぶつ切りになってしまい、本来ここまで積み重ねてきたかったものを捨てざるを得なくなりました。

 再開直後は、狭く守る去年のやり方を踏襲・コンディション差を隠す戦術を指向していましたが、本来やりたいのはこの戦い方ではなかったはず。前節の大阪ダービーでようやく4-3-3を持ち出したのは、上述の川崎向けの戦い方に対する下準備の意味合いもあったと思います。

 ただ、選手の反応は良くありませんでした。配置に頭を取られてしまっているのか、相手のアクションをどう受ける?自分たちからどう危険なアクションを起こす?……序盤はそれなりに見える時間もありましたが、時間が過ぎるにつれ、どんどん信念のようなものが失われていき、アクションが減り、後手に回ることが多かった印象です。

 マクロに戦うべきと申し上げましたが、結局ゴールというミクロに収束していくのもサッカーというゲームの性質(だから川崎が強いんだっちゅー話で!)。練度で勝つ、とはいかないまでも、最後の30mにおいてはそれなりのものを用意できないといけないでしょう。これについては、何がゴールに繋がる危険なアクションなのかをチームで整理して、そのアクションから逆算してやるべきことをやり続けるしかありません。

 無理やりポジティブな側面を見出すなら、新戦力であるウェリントン・シウバ。アデミウソンの退団以降、縦への推進力を個人で生み出せるカードに乏しかったガンバにおいて、スピード、縦への突破という彼の強みが組み込まれることで今年の取り組みが一気に進む可能性もあります。


予想スタメン(と、ネタばらし)

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 川崎は中3日とはいえトラブルがない限りはスタメンを大きくいじることはないと思います。という訳でそのまま前節のスタメンを予想スタメンに。一方のガンバは、大阪ダービーから3人の変更を予想してみました。

 まずレアンドロ・ペレイラ→パトリック。広く守る守備を敢行するには、ペレイラよりもパトリックの方に一日の長があるかなと。

 もう一人は福田→髙尾。今年の福田はサイドバックで起用されるケースも多いですが、川崎のストロングサイドで帳尻を合わせるためにもできれば本職に戻ってきてほしい。コンディション不良で起用が見送られていますが、ここは希望も込めて髙尾スタメンで予想してみました。

 そして小野瀬→ウェリントンシウバ。大阪ダービーでは小野瀬が務めていた右WGのポジションですが、彼が前半で負傷交代。怪我人の扱いはデリケートなのが今年のガンバなので、大事を取って休ませるか、サブからの出場となるのではないかと。

 大阪ダービーで起用されたチアゴ・アウベスが入る可能性もありますが、左利きの彼が右サイドに入る場合、カットインを選択する傾向が強くなります。川崎戦では、スピーディに攻撃を完結させたり、先述のように大外へのクロスを蹴ってもらいたいはずなので、縦に行けて右利きのウェリントン・シウバを置いてくるかも。まあ、いきなりのスタメンだとすると、ストロングサイドにぶつけることになるので、かなりの博打ですけどね……。


 まあどれだけポジティブに書いてみても旗色は悪いですが、川崎を上回ることが命題だったはずの今年のガンバ。初志貫徹して結果を掴んでくれることを期待しています!



 で、最後にネタばらし。なんで今回プレビューを書いたかというとですね、こんなイベントに呼ばれてしまったからなんですね。

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 フットボリスタ・ラボというサッカーが好きで好きでどうしようもない人たちが集まっているオンラインサロンにて開催される会員限定のイベントではあるのですが、マッチレビュアー界の巨匠(マエストロ)として名高いせこ(@seko_gunners)さんと2人で「マッチレビュアーってどんな風にサッカーを見て、書いて、伝えてますか?」についてざっくばらんに話し合うイベントをやります。今回のプレビューはその素材というわけですね。

 企画してくれた同じくラボメンバーの平岡さんは優しいので「ラボ界のレビュワー2トップ」と書いてくれましたが、せこさんがシーズン20点ぐらい取るストライカーだとしたら僕はデコイラン専門、シーズン3点(うち2点がこぼれ球)ぐらいの立ち位置なので、イベント開始早々にWho are youチャントを歌われ会場からキックされてしまうのではないかと戦々恐々しています。

 しかし人前で話すなんてなかなか無い機会ですので、自分自身が勉強する気持ちで楽しんで喋れたらなと思います!もしご参加いただけそうな方は是非よろしくお願いいたします!

(ラボについてはこちらから!新規会員募集中だってよ!)



ちくわ(@ckwisb

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