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「テンポを決めるのはどちらか」2023 J1 第2節 ガンバ大阪×サガン鳥栖 プレビュー

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 サッカーをよりうまく分析できるようになるにはプレビューをやったほうがいいよ!ってこの業界のインフルエンサーが言ってた気がする。ので、試しにやってみます。今シーズンは日程が割と緩いので助かります。

直近の対戦成績と情報の整理

・過去5年はガンバ5勝、鳥栖4勝、1引分
・うち、Homeではガンバ3勝、鳥栖1勝、1引分

・このカードはホーム優勢の傾向が強いが、昨年は鳥栖がダブル達成。
・川井健太監督はガンバに全勝中。
・ポヤトス監督は徳島時代に鳥栖と1勝1敗。


予想スタメン

前節との変更予想

・ガンバ
 山本(悠)→ネタ・ラヴィ:後述。
 ダワンは負傷交代だが次節は問題なさそう。
・鳥栖
 中野→田代:中野はU-20代表参加のため不在(後に負傷離脱)。
 


展望

 開幕戦で大敗を喫した鳥栖と、手ごたえを掴みつつも最後に引き分けに終わったガンバ。前者は仕切り直しのために、後者は得た手ごたえを確信に変えるために、どちらもシーズン最初の勝利が喉から手がでるほど欲しいタイミング。

 大敗した鳥栖の方が変化を起こすインセンティブは高くなるとみられるものの、筆者としては「あえて変えてこないんじゃないか」と予測。というのも、昨年の鳥栖はガンバにシーズンダブルを達成しており苦手意識はなく、自分たちのやりたいことをもう一度思い出すにはうってつけの相手のはずだからです。


論点① ウイングの高さをどこまで保てるか?

 鳥栖の開幕戦をざっと見てみました。特徴的なのは前線に送り込む選手の数。3バックでビルドアップを開始するものの、ある程度安定できた後はGKも最終ラインのパス回しに参加させ、CBの一角を敵陣に送り込み、パスをつけるコースをたくさん作ろうとしていました。

 この試合は湘南の対策が見事でした。守備の際は5-1-4のような形を志向。高い位置を取りに来るWBはマンマークで抑え、前線とIHの4枚で中央に壁を作ります。鳥栖としてはサイドに流しにくくなるので中央に誘導されていきます。が、いくら人数が多くなったとはいえ4枚で作る壁の間に通して真ん中で受けるのはかなり難易度が高いプレー。トラップやパスがおぼつかなくなったところを刈り取ってしまえば湘南にとっては前に数的優位の局面ができている状況なので、ダイレクトにつないでカウンターでドカドカ点を取っていました。

 ただ、ガンバはそもそもの守備のオーガナイズが4-4-2なので湘南と同じように守れるわけではありません。鳥栖目線で見れば、湘南戦よりサイドに通しやすくはなるものの中央はより使いにくくなる、ということになろうかと思われます。ガンバとしては、サイドをうまく使わせないためにも配球役であるCBへのプレッシャーを強くしたいところです。

 ダメならウイングを下げて対応することになると思われますが、そうなるとカウンターの怖さが減ってしまうので、前線の守備で鳥栖の攻撃サイドを限定し、ウイングが高い位置を維持できるかどうかが重要になりそうです。


論点② 最初の15分をしのげるか?

 前節の柏戦を振り返りましょう。柏はCBにあまり強く来ず、サイドに流したところでスイッチを入れて捕まえにくる設計でしたが、鳥栖は恐らくCB・GKまでガンガン追い回してくるとみられます。というのも、前線にたくさん人を送り込むコンセプトなので、自分たちが背走する機会を減らすためにもなるべく敵陣でプレーしたいはずだからです。

 湘南はそんな鳥栖のハイプレスに対してその裏に浮き球を通して起点を作り、数的同数の局面を生み出して疑似カウンターのような状況を作っていました。相手がGKまでプレスに来るというということは、当然ながら必ずどこかは空くことになります。そこを使えたり、プレスを1枚剥がせれば大チャンス。逆にガンバの選手が「隠れて」しまい、空くところを見つけられなければプレスの餌食になります。積極的なサポートが必要ですが、下がりすぎると前進は難しい。特に鳥栖の選手がガンガン走ってくるであろう最初の15分がキーポイントになるとみられます。そこで「相手を観察し、空いているところを見つける」ことができるか。キャンプでの取り組みの真価が問われることになりそうです。


論点③ テンポを決めるのはどちらか?

 上述の通り、広く守り広く攻める鳥栖のコンセプトによって、相変わらず鳥栖の選手はめちゃくちゃ走ります。

 双方が取ったゲームプランから導かれる相対的な指標になるので単純比較はできないものの、スプリント数・走行距離ともにガンバを大きく上回る数値。そして湘南はさらにそれを上回るスプリントを記録。ポジティブトランジションで走り切って大量得点に繋げました。

 ガンバとしては、柏戦で見られたコンセプトを読み取る限りでは、トランジションの多いハイ・インテンシティな試合は避けたいはず。鳥栖のハイプレスをいなし、パスを繋ぎながら全体で押し上げ、敵陣に押し込む時間をどれだけ作れるかが重要になりそうです。鳥栖の川井監督も、ガンバ戦のポイントとして「テンポ、ペース」に言及しています。

 鳥栖の望むテンポ・ペースで試合を進めさせないようゲームをコントロールしていきたいですが、一方で、鳥栖のコンセプトを考えれば縦に早くシュートまで行ききってしまうことで得られるチャンスもありそうなゲーム。「押し込む」と「縦に早く攻め切る」。チームとして共通認識を持ってスイッチを切り替えられるかが重要になりそうです。


注目選手:ネタ・ラヴィ

 私が次のゲームで注目するのはネタ・ラヴィ。前節は30分ほどの出場時間でしたが、相手のプレスをいなすターン、サポートの積極性、一歩目のミドル・ロングパスの絶妙さなど、非凡なオーラをビンビンに発していました。ここまでの論点を踏まえれば、ネタ・ラヴィは「押し込む」と「縦に早く攻め切る」の局面を判断し、シームレスに繋ぐ役割で存分に活躍してくれるはず。超期待です!



参考サイト

・Soccer D.B. : サッカー・出場記録データベースサイト
https://soccer-db.net/
・Sofascore
https://www.sofascore.com/



ちくわ(@ckwisb

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