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香港大規模デモ直前③ 〜 香港島での出来事 〜

2019. 6.16  9:20  a.m フェリーは10分程で対岸の香港島に到着しました。
乗り場の近くにはMTR(地下鉄)の香港駅もありますが辺りはとても穏やかな日曜日な感じ。この後この周辺で本当に大規模デモが起きるのか…。
それはあまり想像ができない感じでした。とりあえず右も左もわからないままグーグルマップを頼りに立法会がある方に向かって歩いて行きました。


その通り道には遊園地みたいな場所があり、対岸からも見える大きな観覧車がありました。

少し乗ってみたいなと思いながらも遊歩道のような海沿いの道を歩いていくと目の前に見えてきた広場のような所に何だか人だかりが出来ていました。なんだろう…と思ったのは一瞬で、それがすぐにデモに参加する人たちだというのはわかりました。何故なら黒い服装の人が多かったからです。


5年前の雨傘革命では名前の通り「雨傘」が象徴的でしたが、今回のデモは「黒いTシャツ」が象徴的になっていました。

丸い植木に囲まれたスペースの中に、続々と人が集まってきます。
私が目の前に着くと主催者らしき女性が何かを話し始めました。
残念ながら何を言っているのかさっぱりわかりませんでしたが、これから
始まるデモに向けての集会だということは察することが出来ました。
そしてよく見るとキリスト教(カトリック)の司教さんらしき人たちもいて、しばしお話をされた後にお祈りの儀式をしたり、誰かがスピーチしたりその合間合間にとにかくみんなでいろんな歌を歌っていました。

その広場の向かいには大きな道路があり、その向こうにはバリケードと共に警察官が警備し、警察車両も時間と共にどんどん増えていきました。そこは立法会横にある中国人民解放軍在香港駐留所です。イギリスの植民地時代にイギリス軍が使用していた場所でもあります。
賛美歌の向こうで警察官がこちらを見ている感じ。何だかとても不思議な光景にいる気がして何処からともなく湧いてくる緊張感に、これからデモが始まるのだなと実感しました。

道路には警察の車両が次々と並んで行きました

     

少しだけ集会の場所から離れてしばらく辺りを見回しているととても耳に残る歌が聴こえてきて、その歌につられるように自然と足がまた集会の場所に戻っていました。「Sing Hallelujah To The Lord」
実はこの曲は今回のデモのテーマソング的な存在だったと言うことを日本に帰ってきてから知りました。

そしてしばらくするとカトリック教で有名なパンと葡萄酒の儀式があり、最後は「アメイジング・グレイス」が会場を包みました。その瞬間、何か胸に込み上げてくるものがありました。

歌が終わると皆が肩を抱き合ったり、声を掛合いながら笑顔で集会を終え、一方向に向かって歩いて行きました。それはとても穏やかな雰囲気でした。



16日の前に行われた12日のデモでは警察との衝突によりデモ隊に負傷者が出るなど、過激な映像の報道が日本でもなされていました。しかし、ここに集まっている人たちが醸し出す雰囲気は怒りや争いではなく、穏やかな中に込めた強い意志というもので動いている印象を受けました。私はその流れとは別に立法会の方へ向かいました。気がつけば1時間が経過していたのです。

                         ④につづく

② 「香港の歴史」はこちら

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