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サッカー部は嫌いじゃなかった #1

 運動部の花形と言われたら、皆さんは何部を思い浮かべるだろうか。
バスケットボール、野球、サッカー、テニス、バレーボール・・・。私は迷わず野球部と答える。そりゃあもちろん、野球部だったからね。
 サッカー部への偏見、サッカー部との対立、そして、サッカー部との和解・・・
これは、サッカー部という1つの大きな集団に向けた、ある男の物語である。

中学で野球部に所属した私だが、私が通っていた中学校ではサッカー部が強豪だった。私が小学生の頃から関東や県大会にバンバン進出するような強さだった。「名将」と言われる先生がいた影響らしい。その事実は有名だったので、私も入学前から知っていた。が、しかし。入学直後に私はある違和感を抱くことになる。

 私の中学では、前期後期の2学期制で、半年間は同じ掃除場所で掃除をすることになるのだが、私が配属されたのは、「グラウンド」という場所だった。中学校の体育の授業で使われるグラウンドであり、校舎そばに位置している。校舎から少し離れた奥の敷地に、我々野球部が使う野球場やテニスコートがある。私たちが担当するのは、その校舎そばのグラウンドである。グラウンドではそのサッカー部の名将と呼ばれる先生が見張りをし、私たちに適宜指示を送る。

 ここで、私が違和感を抱いた理由。それは・・・
「放課後にそのグラウンドを使うのはサッカー部だけ」という点だ。
なぜ、サッカー部が使うだけのグラウンドを我々一般生徒が整備しているのだろうか。清掃といっても、初夏の暑い中で、レーキのようなもので土を平らにしたり、小石を拾ったり、雑草を抜いたりといったところだ。
「この作業が自分たちのためでなく、サッカー部のためにしかならないのではないか?」という点にすぐ気がついてしまった私。

 極め付けが、体育でその日に使っていたならまだ納得いっていたのだが、全く使用痕跡がない日も、私たちは必ずグラウンド整備をさせられていた。なぜ、俺たちの肉体労働によって、サッカー部の心地よい練習の手助けをしなければならないのか。全くを持って意味不明である。

「サッカー部・・・なんか嫌だな」
そんなことを思い始めた、13歳の夏。

#2へ続く。
 


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