見出し画像

開戦と同時に降伏宣言 #4(最終話)

「異世界なんてそんなわざわざお金かけていくようなところじゃねーよ笑」
「そんなとこ行ってもどうせ先がないんだから笑」
「その場だけでしょ笑」
「おじさんかよきっつー」

私は大学の友人からかなりこれらの言葉を聞かされてきた。確かに、決して安くはない遊び方かもしれない。完全に独居老人の遊び方だし。

けれど、こんな言葉をかけてきた奴らの半分は俺たちに異世界の詳細を聞いてくる。興味あるんだろうな。なんの意地があるのか。

あそこの空間は訪れた人にしかわからない独特なものがある。落ち込んでいるときも、気分が上がっている時も、あの場所は煌びやかに迎えてくれる。そして何より、あの空間を教えてくれたあの案内人には感謝してもしきれない。
あの汚い路地でたまたま出会ってからもうだいぶ経つ。

そんな案内人ももう、今は案内人としての役目を終えて現代に引っ越してきている。とりあえず、お疲れ様でしたと心の底から伝えたい。人に笑顔や幸せを提供できるのは素直に尊敬できるところです。

今もどこかで忙しくしていると思います。あの案内人のオーラは、他の誰にも無い、花が元気に咲いている時のようなオーラがある。そのオーラに、幾度となく私も元気をもらってきました。また違う場所で、違う形で、現代人に幸せを届けているのかもしれません。

それにしても、あの空間で劣等感を感じられる自身の感性には驚く。

異世界に興味があるみんなへ。異世界はすごくいいところです。日頃の生活ではありえないような空間で、濃い時間が過ごせます。
でも、それなりに出費がかさみます。ここも、日常生活ではあまり見ない金額です。ある程度、余裕が出てから異世界に行くことをおすすめします。
余裕がないのに異世界の虜になってしまい、生活が難しくなるような人が、社会不適合者の烙印を押されてしまいます。
幸い、私はそこまで落ちぶれませんでした。安心です。

私自身も、異世界を訪れることは少なくなりそうですが、(無くなるとは言い切れませんが。)これを読んで異世界に興味を持ってくれた人たちが、異世界で<降伏宣言>ではなく、<幸福宣言>してくれると、私も嬉しいです。

_完_


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?