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ツアーガイドインストラクター    ケアリースミス渚の旅日記


さまざまな国での日々の生活で 大切にしていること


「批判しない、比べない、期待しない、自分の文化や価値観で人を信じない」。これは心地よく異文化のなかで生活する為に自然と身に着いた考え方です。異文化に飛び込んでいった先で、自分の育ってきた文化や常識と比べても当然違うことだらけで、批判したらきりがなく、知っている常識で期待しても思うようにはなりません。そこが面白い体験だと思うんですよね。危険もたくさん隠れています。上手にかわす術というか、あっさりと断ることも時にはとても大切です。地域によっては、人懐っこく笑顔が素敵な人が詐欺を仕掛けてくることがありますが、それはそこの文化であり、その人が悪人なわけではない場合もあります。こちらが、そこの文化を知らずに詐欺にかかると、マイナスの感情が湧きあがりますが、それは固定概念と期待がもたらす結果の感情だと思っています。「期待しない」というのは「自分にとっての常識」を期待しないという意味で、「あきらめる」ではないので何でも受け入れる前向きな心構えなんです。


シェアアパートの屋上で要塞遺跡を眺めながら朝ごはん




アルメリアという、スペイン南部の小さな町に移住した際、当時はまったくスペイン語が話せなかったので、文化を理解するまでは人々の感情を読むのに苦労しました。日本では、店先や郵便局の受付で、お客さんに対応する際に微笑むということは一般的ですよね。その「常識」が私の中でコミュニケーションの邪魔をしました。移住して最初の週だったと思いますが、切手の種類や郵送にかかる期間などを知りたくて、郵便局に行きました。中に入ると壁際に立っている人が沢山いたんですが、私がカウンターに歩いて行って局員に話しかけると、複数のお客さんから大声で何かを怒鳴られました。カウンターの人も怒鳴って、出ていけと身振りで伝えてきました。たどたどしいスペイン語で話しかけると、大体眉間にしわを寄せて荒々しく何かを言われるんです。新天地で何を聞いても「荒々しくあしらわれる」という経験は痛いものでした。



アパートの外で延々と続く卒業生たちの真夜中の晩餐会
素敵な音楽を奏でていたので話しかけて混じってみた



しかし、彼らが何を伝えようとしていたのかがどうしても気になった私は、勇気を出してもう一度「怒鳴られる」為に街に出かけて行きました。そして毎日いろんな店に行き、何かを質問しては相手の返し方や表情を観察するということを繰り返すうち、どうも彼らは怒ってはいないぞ、とピンときた瞬間があったんです。
後にスペイン語を理解した時、彼らは私に何をすべきなのかを教えてくれていたんだと分かったんです。郵便局では「皆順番に並んで待ってるんだよ。列の最後尾はドアの外だよ。」と。タバコ屋の人が怒鳴っていたのは、
「助けて欲しいのか。スペイン語わかんないの?それはここには置いてないよ。あそこの角の店に行ってごらん。」というような内容だったのです。すべての苦い経験が笑い話になった瞬間でした。



土曜市場ですごい人混みの中、お店の人との交渉を楽しみ安くゲットしたスイカ




コミュニケーションの取り方は文化により様々です。他人に対して笑顔で挨拶するという文化がない国や地域で、日本の常識を当てはめてしまうと、相手の表情と声の調子から彼らの本心を誤解しかねません。真剣な顔で大きな声を出して、必死に助けようとしてくれていたんですね。私のコミュニケーションの取り方に新しい1ページが加わりました。
今では、誰かに大きな声で眉間にしわを寄せて話しかけられたら、
「お、この人はどんな文化の持ち主だろう」と落ち着いて興味を示す事ができます。そんな顔で可愛いジョークを言ってくるバル(スペインの居酒屋)の常連さん達とタパスをつつきながら会話する雰囲気が懐かしいです。
私たちは、自分と違う人や、自分の知らないものに対して恐れや戸惑いを感じやすいと思います。でも、様々な価値観や文化背景を持つ人たちと接する中で、何度も感じたのが「あきらめず話しかけ続けてよかった。」ということです。少なからず持っている固定観念を打ち破ってくれるような体験はいつも私を成長させてくれます。

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