今が一番、超幸福である【岩井秀人 連載 8月号】
ハイバイの「ヒッキー・カンクーントルネード」が無事に初日を迎えた。この作品は僕が10代後半に引きこもっていたことをモデルにした作品で、初演が2003年だから、もう20年近く、全国あちこちで再演し続けていることになる。若い俳優たちが、男岩井にめちゃしごかれながら頑張っている姿を、ぜひ見に来てほしい。面白いし。
それにしても「過去は使いよう」とはよく言った物だ。誰が言った? 私である。
そもそも「引きこもり」という、ネガティブにも取れる経験を、10年後に演劇にした時点で「過去の有効活用」だったし、以降、その作品を「劇団の名刺代わりの作品」としてさらに20年近くに渡って再演し続けてきた。
引きこもっていた自分に感謝したい、と共に、それを演劇にした自分にもさらに感謝したい。変わらず「とにかく新作やるぞ!」の流れが消えることのない「新作主義」の演劇界の中で、ダントツでコスパの良い活動をしているという自負がある。だって面白い作品はちゃんとお客さん来てくれるしね。
そんな稽古期間に、気づいたことがある。40年以上生きてきて「今さら…?」なのだが、この男岩井、「夏が得意」なようなのだ。
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