大切なことはすべてNizi ProjectとJ.Y.Park氏が思い出させてくれた
文/吉田可奈
よしだ・かな●エンタメ系フリーライター。著者本『うちの子、へん?』『シングルマザー、家を買う』(ともに扶桑社)が発売中。音楽、映画、声優、舞台、アイドル、オタク事が得意。
TWICEや2PMを擁する韓国の大手事務所・JYP エンターテイメントと、日本のレコード会社であるソニーミュージックが手を組んで行われたガールズグループプロジェクト、“Nizi Project”。JYPの代表であり、プロデューサー、さらに自身も歌手としていまも活躍し続けているJ.Y.Park氏の監修のもとで行われた、世界各地から1万人を超える応募者が集まったオーディションの模様は、ドキュメンタリー番組としてHuluやYouTube、「スッキリ」(日本テレビ系)などの地上波番組でも放送され、見ている私たちの心を掴み、離さないまま、最終回を迎えました。
このオーディションに参加したメンバーは、歌やダンスはもちろん、精神的な面で大きな成長を遂げていきます。それもそのはず、ただ技術だけがあっても、グループには入れないと断言するJ.Y.Park氏は、“人柄”も重視して選考していくのです。なかでも、Part2の3話での、「才能が夢を叶えてくれるのではありません。過程が結果を作って、態度が成果を生むからです」「自分自身にムチを打って、自分自身と戦って、毎日自分に勝てる人が夢を叶えられます」という言葉は、練習生だけでなく、見ている多くの人たちにも自分を振り返させられる力を持っていました。
その言葉通り、いくつかの審査を勝ち抜け、韓国オーディションへの参加が決まったメンバーは、韓国にあるJYPトレーニングセンターで毎日時間を惜しむようにハードなレッスンを行い、自分の限界を超え、日々努力を重ねて成長していきます。その姿は、間違いなく涙モノ。さらに驚くのが、全員がまだ10代だということ。オーディション参加時は中学生だった少女が、親元を離れ、韓国という異国の地で、毎日自分や仲間が評価され、審査から落とされるかもしれないという恐怖と戦いながら、自分の夢を掴もうとする姿は、感動を生みました。
毎日が戦いで、ライバルであるはずの13人の参加者たちですが、韓国で共同生活を送るなかでその絆が深まっていきます。最高のまとめ役だったMAKOを筆頭に、できないことは教え合い、落ち込んでいたら寄り添い、相談し、支え合うことができたのは、冒頭の“人柄”審査をクリアした彼女たちだからこそ。“同じ夢を持つ仲間”として繋がったメンバーの絆はとても強く、他のメンバーがJ.Y.Park氏に褒められれば一緒にうれし泣きをし、酷評されてしまえばすぐに肩を抱きに行き慰める姿に、一緒になって泣いてしまった人も多いはずです。
そんな過酷なオーディションを乗り越え、ついに決まったメンバーを紹介します!(アルファベット順)
抜群のキュートさとスタイルの良さもピカイチ。おっとりした性格の持ち主でちょっぴり天然っぽい面もあるけど、苦手な歌やダンスにも努力で食らいつき、最後まで諦めなかったAYAKA。
手料理を振る舞ってチームワークを強めたり、自分から他のメンバーに教えたりと圧倒的なリーダーシップとJ.Y.Park氏にも絶賛されるパフォーマンス力を持ち、つねに全員の模範となっていたMAKO(マコ)。
セクシーで優しいお姉さんな雰囲気と、群を抜いた表現力の持ち主。スター性審査では『みにくいアヒルの子』の紙芝居を読み、その場の空気をガラッと変えた白鳥・MAYA(マヤ)。
地域予選では補欠合格、Part1でも最後にやっとキューブを獲得するなどスロースターターな一面があるものの、つねにステージを楽しみ、見る人を笑顔にするパワフルな太陽・MAYUKA(マユカ)。
抜群のスター性を持ちながらも、まだ10代前半という年齢だからこそ抱えてしまうプレッシャーに押しつぶされそうになりながらも、つねに光り輝いていたキュートなプリンセス・MIIHI(ミイヒ)。
J.Y.Park氏に、その才能の塊である歌声を、“ガールズグループに1人いるかいないかでまったく違う”と言わしめた天性のボーカリストで『Make you happy』のMVで見せた演技力も抜群だったNINA(ニナ)。
小動物のようなかわいらしいビジュアルからは想像できないしっかり者で、くるくる変わる表情がかわいい。そして時折のぞく、空手で培った芯の強さと正確なパフォーマンスが見る人を惹きつけるRIKU(リク)。
ZEEBRAと中林美和の娘として生まれ、輝ける才能と美しいビジュアルを生まれ持ちながらも、“自分の実力で認められたい”という謙虚な想いが、さらなる才能を開花させたトリリンガル・RIMA(リマ)。
パフォーマーとして活躍できるほどのダンスの実力を持ち、一見クールビューティーな雰囲気かと思いきや、メンバーといるときは最年少のNINAからも甘えん坊と言われるギャップの持ち主、RIO(リオ)。
個性がバラバラでいながらも、ほぼ1年間、一緒に頑張ってきた彼女たちだからこその団結力、ひとつになった時の圧倒的な爆発力はかなりのもの。そんな彼女たちにつけられたグループ名は『NiziU』(ニジュー)。すでに配信されているプレデビューMV『Make you happy』は約6600万回視聴を記録(7月29日現在)。これは圧倒的な数字。秋に控えた本格的なメジャーデビューが、いまから楽しみで仕方がありません。
J.Y.Park氏は、オーディションの中で、彼女たちに「真実・誠実・謙虚を大事にしてください。真実とは、隠すものがない人になれ。カメラの前でできない言葉や言動はカメラがない場所でも絶対にしないでください。“気をつけよう”と考えないで気をつける必要がない立派な人になってください。誠実は自分との戦い。自分自身にムチを打って歌の練習、ダンスの練習、語学の勉強などを続けていたらそれが積み重なって君たちの夢を叶えてくれます。謙虚は、言葉や言動の謙虚ではなく、心の謙虚。自分自身がつねに足りないと思って、隣にいる皆の短所ではなく長所だけを見て心から感謝をすること。それが謙虚です」と熱弁。今後の道徳の教科書にこの言葉をすべて入れて欲しいと思うほどの名言を、メンバーに、そして視聴者である私たちに教えてくれました。その教えを胸にこれから世界へと羽ばたく彼女たちは、間違いなく大きく成長してくれるはずです。
オーデイション中は、J.Y.Park氏の言葉をしっかりと吸収して、確実に成長し、夢へのチケットを掴んだ彼女たち。グローバルに活躍し、多くの人から愛されるユニットとなることが約束されているNiziUからは、まだまだ学ぶことが多そうです。
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