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【映画『実りゆく』公開記念】主演・竹内一希(まんじゅう大帝国) 特別寄稿「松尾農園での日々」

長野県のりんご農園を舞台に、父と共にりんご農園で働きながら、お笑い芸人への夢を諦めずに生きる男の葛藤と挑戦を描く映画『実りゆく』が新宿武蔵野館などで公開中だ。
本作はTV Bros.連載陣・爆笑問題を擁する芸能事務所「タイタン」のマネージャー・八木順一朗が脚本・監督を務め、主演はその所属芸人、竹内一希(まんじゅう大帝国)という、異色の布陣で完成した1作だ。作品には、大自然を舞台にした清々しさと、夢を追いかける人間臭さが描かれ、それが適度なコミカル要素で包まれており、一見の価値は十分。しかし『ENGEIグランドスラム』などで活躍する“第7世代”のまんじゅう大帝国が出演し、所属事務所のマネージャーがメガホンを握るという説明だけでは、なんだかわかりにくいし、伝わらないのももったいない。
ということで、このたび、主演の竹内、そして監督・八木氏にご登場いただき、作品の魅力、もとより、どのようにしてこの作品が完成したか、ということを語っていただいた。
まずは、竹内一希の特別コラムから、どうぞ。

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“りんご”と“笑い”の青春映画
映画『実りゆく』
監督・脚本/八木順一朗 出演/竹内一希 田中要次 田中永真 橋本小雪 鉢嶺杏奈 島田秀平 小野真弓 三浦貴大 爆笑問題 山本學
●長野県のりんご農園に跡取りとして生まれた実は、母の死後、父親と二人で農園を切り盛りしつつ、お笑いライブに出演して夢であるお笑い芸人への道を模索していた。父親の思いに背きながらも、父親を笑顔にしたいと願う実は、人生をかけたステージに臨む。
(2020年/日本/87分)
新宿武蔵野館ほか全国順次公開
配給/彩プロ
(C)「実りゆく」製作委員会

※なんと!タイタンの現役マネージャーが映画監督デビュー! 本作の監督・八木順一朗のインタビューはこちら


コラム『松尾農園での日々』

文/竹内一希(まんじゅう大帝国)

どうも、竹内一希です。
まんじゅう大帝国というコンビで芸人をしています。首と頭が長い方です。
ひょんなことから10月9日公開の映画『実りゆく』の主演をさせていただきました。
それを記念して是非という事で、舞台となった松尾農園でのりんご農家研修の思い出を書き留めたコラムを書かせていただきました。
映画の主演をやるとコラムも書かせてもらえるんですね。漫才のネタも書いてないのに。そもそも読書も出来ないのに。
そんな人間が書くものなので、とっ散らかり大スペクタクルコラムになると思うので心してお読みください。

まずは少し僕の話を。
僕は小さい頃から勉強が苦手でした。いつも謙遜だと思われてしまいますが、違います。ガチの方です。
テストの点はプロ野球選手の背番号で言うと、大体王貞治か長嶋茂雄あたりでした。そうです、大スターですね。
しかし僕は不良だった訳ではありません。遅刻もなく、制服を着崩したりすることもありませんでした。ノートもしっかり書き、真面目に授業を聞いていました。それなのに勉強ができない。ほら、ガチでしょ?
その真面目さだけで中学時代は学級委員を任されました。テスト赤点の学級委員。奇跡のバカサイドからのリーダー誕生。素晴らしい授業態度で補修を受けていました。

バカなのに目立ちたがり屋なもので、人前で間違ったり恥ずかしい姿を見せることなんて日常茶飯事でした。恥をさらしているばかりで最悪かと思われるかもしれませんが、案外良いこともあるんです。出来ないなりに頑張っているといつも誰かが声をかけてくれました。変に目立ってるもんだから。
中学時代は野球部でキャプテンとして頑張っていたら、後に進学することになった日本学園という高校の野球部から「ウチで野球をしないか」と声をかけてくれました。
高校の文化祭で友達と漫才をしていたら、その姿を見ていたある先生が「日本大学藝術学部に行ってみてはどうか」と声をかけてくれました。
大学では落語を一生懸命やっていたら、後に相方となる田中永真が「漫才をやらないか」と声をかけてくれました。
僕はこうして声をかけてくれた人に導かれるようにして生きています。
そして芸人になりタイタンという事務所でご機嫌で漫才をしていたら、マネージャーである八木順一朗さんに「僕の映画の主演をやりませんか」と声をかけられたのでした。

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りんご農家研修

映画『実りゆく』で、りんご農家の青年である松尾実を演じるにあたり、撮影の前にこの映画のモデルとなった先輩芸人の松尾アトム前派出所さんのりんご農園で4日間、りんご農家の研修をすることになりました。
松尾さんは常に冗談を言っている人で、早口で滑舌が悪く造語が多いという忙しい人なのですが、そんな人がどんな風にりんご農家をされているのか興味がありました。
けれど僕は東京出身で元来インドアなので、高速バスに乗り、景色を眺めているとどんどん建物が無くなっていき、不安になっていました。人工建造物がないと不安になる生粋の都会っ子ですね。期待と不安を抱え、まるで上京するかのような顔つきで長野に向かいました。

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