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サウナブームを牽引 ドラマ『サ道』が復活! 緊急SP INTERVIEW 五箇公貴プロデューサー編

2019年7月クールにテレビ東京<ドラマ25>枠で放送され、サウナの人気を一躍全国区にしたドラマ『サ道』。タナカカツキの同名原作をもとに、当時じわじわと世の中に浸透し始めていたサウナブームを一気に加速させた立役者的な作品だ。
その『サ道』が、同年の年末SP以来、およそ1年2カ月ぶりに帰ってくる。2月14日(日)の『サ道 ~2021年冬 東京の空の下、少し離れてととのう〜』(テレビ東京ほか 後4:00~)放送直前、五箇公貴プロデューサーと長島翔監督にインタビューを敢行! まずは五箇Pからお話をうかがいましょう。今回はどう、ととのわせてくれますか?

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                  ©「サ道」2021年冬SP 製作委員会

ドラマ『サ道 ~2021年冬 東京の空の下、少し離れてととのう〜』スペシャル
2021年2月14日(日)午後4時〜午後4時55分
テレビ東京 テレビ大阪 テレビ北海道 TVQ九州放送  テレビ愛知
テレビせとうち にて放送
https://www.tv-tokyo.co.jp/sa_una37/

――単刀直入に申し上げます。続編SP、待っていました! 待ちすぎてしまったかもしれません。

ありがとうございます(笑)。我々も、『サ道』については、2019年の年末スペシャルを作り終えた時点で、2020年以降も特番なのかシーズン2なのかは分からないけど、どういうかたちであれ、新作をお届けしたいとスタッフ・キャスト一同、ずっと考えていたんです。いろいろとドラマをやってきましたけど、『サ道』、そしてサウナは、自分たちでやりながらも「ちょっと新しい面白さがあるな」って思ったコンテンツだったので。

――それは、どんなところですか?

たとえばサウナ施設の食堂とかで、若い人たちが「水風呂の温度は何度くらい」だとか「あそこ(の施設)はととのえた」なんて言い合っていたりするんですよね。レギュラーシリーズのオンエア中はもちろん、番組が終わったあともそういう声を聞いたりして。やっぱりブームってこういうことなんだな、どんどん伝播して派生していくんだなと実感したんです。『サ道』の良さって、実際にある施設を舞台にしているので、視聴者の方が見ていいなと思ったものを実際に追体験できるところにあるんじゃないかと思ったんです。確認しに行けて、その感覚を自分の体で共有できる。

――はい。当時は“巡礼”感覚で、ロケをされた施設を訪れるサウナ―が増えました。というか、私もいくつかの施設にうかがいました…。

ありがとうございます。SNS、インスタだったりTwitterだったりで、そこへ行ってどうだったかをさらに共有したりとか。一方でサウナ関係者の方々もTwitterをやられていて、施設の方の投稿を「今日は何を言うんだろう」って読んだり、それをリツイートしてみんなで共有したりというようなことがサウナ好きの方々の間で行われているんですけど、そういう部分もすごく今の時代に合っているというか。番組で描いた気持ち良さみたいなことをみんなで共有できて、語る場所があるのって、すごくいいなって思えたんですよね。

――はい。みんな語りたくなるし、知りたくなる。

皆さん、楽しそうにやりとりされていますよね。ドラマ『サ道』という番組を作っていくうちに「サウナって、施設によってこんなに違いやバリエーションがあるんだ」とあらためて痛感しまして。サウナ室の作りや、温度、湿度、水風呂の温度や水質、さまざまなロウリュサービス(熱したサウナストーンに水をかけて蒸気を発生させ、サウナ室内の蒸気を程よく保つこと)、熱波師(その蒸気をタオルであおぎ送ることを専門にしている人)…って。どの施設もいろんなこだわりとサービスを提供している。その部分にさらに興味がわいてきたんですね。いろんな切り口の掘り方ができるし、その先にはさらなる深みと広がりがある。“香り”にフォーカスしたらどうなんだろう、“サ飯”と称されるサウナ後のご飯にフォーカスしたらどうなんだろうとか、エンタメ的な要素が複合的に含まれていて、なおかつそのどれもまだまだ進化している。いったい、これは何なんだ。めちゃくちゃ面白いじゃないか、と。

――分かります。

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施設自体ももちろんですが、それを仕掛けるバックグラウンドの人たちにも興味がどんどん湧いてきて。いったいどういう思いで、こんなことをしているんだろう、思いつくんだろうと。毎回、原田泰造さん演じるナカちゃんが、施設の方や、ゆかりの方と会話する“本人インタビュー”のシーンが入るんです。それを現場で聞いていて、面白いなと思って。話せば話すほどいろんな人がいるし、皆さんすごい経験をしていて、すごい発想の持ち主。心に刺さる言葉を聞くこともあれば、正直「この原動力はどこから来るんだろう…謎だ…」と思うこともあります(笑)。ただ共通しているのは、皆さんがいかに気持ち良くなってもらえるか、いかに楽しんでもらえるかということを常に本気で追求していることです。

――なるほど。驚くような仕掛けは、ホスピタリティの究極を突き詰めて誕生している、と。

施設も、それを利用するお客さんも、いろいろな興味深い人々たちがいるなあ…と思っていたら、コロナ禍に…。大前提として、ドラマ『サ道』は実際にある施設を舞台にしているのに、その施設さん側が「どういうレギュレーションで運営していったらいいか」というところまで追い込まれてしまった。エンタメ業界もそうですが、サウナも世の中的には人が集まるところだという印象を持たれていますから、このコロナ禍を、温浴施設はどう生きていくのかっていう。昨年の1回目の緊急事態宣言のときは、我々も含めどんなお仕事をされている方もそうだったと思うんですが、サウナ施設の方々もまさしく手探り状態で。それでもいろいろ新しいことにチャレンジしようとされていた。人が集まるところに行きづらいというディスアドバンテージはあるんだけど、それをどう解消していくか、どう感染症対策を万全にして、安心して来てもらうかっていう創意工夫の仕方がやっぱりすごくて。いいな、すごいなって思いましたね。それで、我々も番組的にも少なくない社会的な影響がありますから、どう発信するかなど、いろんなことを考えて、1年を過ごしました。そうして、今回このタイミングで放送できることになったという次第です。

――そのあたりは今作の大きなテーマとして反映されていますか?

そうですね。サウナって、人によっては「不要不急」なんじゃないかと思うかもしれないですが、絶対に必要なものだという人もいるわけです。コロナ禍によってもたらされるストレスや、リモートワークによってZoomなどでのミーティングが逆に増えたりして。それこそ、1日に5、6件もリモート会議が入ってきたときのストレスって半端なかったりしますよね。そういうときに、サウナに1時間でもいいから入ってリセットすることによって、精神的なバランスをとって、明日また頑張ろうって思える人もいる。それが不要不急かというと、いや必要なんですよって人もたくさんいる。10人いたら10人、感じ方は違うと思うんです。これは何もサウナに限ったことじゃないとも思いますけれど。いまの状況の中で、どう社会や会社や家族と折り合いをつけて、きちんと自己管理をしながら、周りに迷惑をかけずにサウナを楽しむか、楽しんでもらうか。それをみんな一生懸命に考えている。ナカちゃんも偶然さん(三宅弘城)も蒸し男くん(磯村勇斗)も、たぶん我々と同じでそういうことを考えているんじゃないかな、って長島監督をはじめスタッフみんなで話し合って。

――取材に先立ち脚本を読ませて頂きましたが、3人が、いつものユルさはありながらも、少し切ないくらいに、いろいろ考えて行動していて。とくに偶然さんが…あの無邪気さが、あまりなくて、逆に切なくてエモいです。


そうですね。偶然さんも、大人ですから、実は(笑)。だから今回は、いつものスタンダードなドラマ『サ道』をやることが大事だと思っているんですけど、でも少しだけ違うのは、やっぱりみんな、昔のような付き合い方はできていない。「僕たちはこうやって、いまサウナと付き合っているよ」ということを、3人の姿を通じて描けたらいいなということがスタッフの共通認識にあって。みんなサウナ好きですから。なので、ご覧になられた方々にドラマ『サ道』はこういう風に考えています、この3人はこういう風にサウナライフを楽しんでいます、というところに共感してもらえたらいいなって思っています。たぶん今回のようなお話は2021年2月の“今”でしか描けない物語だろうなと思っています。

――決して押し付けるわけでなく、でも、抑制しながらもセリフの一つ一つ、シーンごとに、それは伝わってきました。

ありがとうございます。根本ノンジさんの書かれている脚本に、最後すごく、感動しますよね。サウナ好きの方にも、温浴施設を経営されている方にも、少しでもこのドラマ『サ道』をご覧頂くことで、ちょっと頑張ろうって思ってもらえたり、こういうサウナとの付き合い方もあるんだということを感じて頂けたら嬉しいです。そして、今まで「人が集まるようなところに行って大丈夫なの?」って思っていらした方も「こうやって工夫して付き合っているんだったら、頭ごなしに否定しなくても大丈夫か」って、思ってもらえたらと願っております。

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――とても優しい、サウナのコンテンツらしいメッセージ。ところで五箇さんご自身は、サウナとどのような向き合い方をされていますか。サウナに目覚めたきっかけなどおうかがいしたいです。

よく聞かれるので、ずっと考えていたんですけど、私は15年くらい前にテレビ東京の制作局に配属されました。最初はバラエティー班のADから入るんですけど、当時は今とは違って、ぜんぜん寝れないし家にも帰れない日もありまして。僕も『愛の貧乏脱出大作戦』という番組のADで、2週間に1回、収録で2本撮りが回ってくるんですけど、それが終わるまでは、肉体的にも精神的にもかなり追い込まれている。ずっとその繰り返しで、収録が終わると、とりあえず1日だけ休める、みたいな感じ。それで、解放されたその日にその足で近所にあった「スパ ラクーア」に行く、っていう風にしていたんですね。家に帰る時間すらもったいないと思っていたんで(笑)。で、「ラク―ア」に入って1日ぼーっとして、サウナから出てビール飲んだら1日が終わる、みたいな(笑)。原体験としては、そういう、追い込まれて疲れ切った精神状態をリセットしに行くっていうところでしたね。

――あ、分かります。我々は会社が東銀座にあるのですが、それが新橋の「アスティル」だったり、錦糸町の「ニューウイング」だったりしました。

そうですよね、やっぱり。そういう体験してる人、結構いますよね(笑)。で、もともとはそういうところから入っているので、水風呂の温度が何度じゃなきゃいけないとか、どういう入り方が気持ちいいか、とかでは最初はなくて。本当に細部に気が行きだしたのは、原作のタナカカツキさんの『サ道』以降、ここ数年なんですよね。

――なるほど。最近…それこそコロナ禍の現在は、どんな感じで向き合われていますか? 差し支えなければ教えてください。

今現在は、私もわりと、“うまく付き合い”ながら行くようにしています。近所の東十条の「やなぎ湯」とか昔からある銭湯サウナをベースにしながら、駒込駅から近い「ロスコ」(カプセル&サウナ ロスコ)とか、「北欧」(サウナ&カプセルホテル 北欧)は生活圏内ですので、よく行きます。そのあたりをローテーションしつつ、今は身近なところが多いですかね。でも出張なんかのときに泊まるのは100%サウナです。先日も九州に行ったときは「今回はキャビナスに泊まりつつ、ウェルビーの日帰り入浴行こうかな」とか(笑)。

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――ありがとうございます。実は我々も「SAUNA BROS.」というのを作ったりしていまして。さまざまな施設にうかがっているサウナ好きのはしくれなんですが、「ドラマの『サ道』がサウナ業界にとっては本当に大きかった」と、どこの施設の方もおっしゃいます。

そうおっしゃって頂けると、キャスト、スタッフ一同、大変ありがたいです。製作者冥利に尽きるなと思ったことの一つに、施設の方々から「ドラマ『サ道』の放送後、従業員たちの目の輝きが変わった」って言って頂いたことがありまして。「自分たちの仕事って、すごく人に対して楽しさや喜びを与えられる仕事だったんだと、ドラマ『サ道』を通じて、働く側も感じることができた」って。そうおっしゃって頂いたことで我々も同じ気持ちになれましたし。視聴者の方からも「悩みを抱えていても、放送を見て『サウナに行けば、ちょっと解消できるのかな』と、実際に行ってみたら…変われたんです」みたいなことをおっしゃって頂いたりもして。ああ、人様のお役に立てて幸せだなあと実感しました。

――ブームを一気に加速させたと、私たちも思っています。

ドラマ『サ道』がきっかけでサウナに行き始めたという人も少なからずいらっしゃると思います。それは大変嬉しいと思う反面、最近、2~3人で連れだって施設で一緒に過ごすというスタイルのお客様が増えたとも聞いています。僕らがドラマ『サ道』を作ったのは、コロナ禍の前でしたので、サウナ室でみんなでしゃべったり、食堂でも楽しく会話をして過ごしたりっていうシーンがあったのですが、今はそれと同じことをすると、気を付けてサウナを楽しんでいらっしゃる他のお客様のご迷惑になります。仲間と施設でいろいろ話をするのは楽しいですし、話をしたいという気持ちは痛いほどわかるんですけど。少なくとも今は控えるべきだなと私個人としては思っています。テレビの影響力は大きいので、そういう意味では少なからず複雑な思いもあります。

――分かりました。最後にもう一つうかがいたいのですが。先ほどおっしゃった、五箇さんの中で胸に刺さった施設の方の言葉をいくつか教えて頂けますか?

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