見出し画像

THE FIVE SENSES【感想】②

野良之コウモリ
Tasteより
「味って感情だし、美味いとか不味いとか好きや嫌いがあるけど、なんでみんなは判断できるの?」みたいなことを考えてたら短歌ができた件

人の手を借りて食事をしています切り取った手を切り取った手で
人の手を借りて食事をするというのは素材を調理した手、もしくは育てた手、口に運ぶまでの一連を手と手から手に渡るということだろうか。何とも難解で面白い。いままでに出会ったことのない短歌でどう味わっていこうか?未知のtaste。

生まれつき味わうことができる舌 言葉を話す口もあります
舌が初めから備わった能力であるとして言葉を話す口は言葉を覚える過程で培うもの。いやそうだろうか?

嫌いとか好きでも嫌い大嫌い色んなことがわかっています
生まれつき味わうことができていたと考える舌は色んな感情をわかっています。これも培われていくものではないだろうか?とここで考えてしまった。

苦労することが嫌いで甘やかし糖尿病になっちゃいました
なるほど甘味ばかりを求めた結果の糖尿病。苦味の必要性を問われているよう。

アニサキス 楽しみだった遠足がバス酔いしてから恐怖の行事
アニサキスと乗り物酔いを並べるところが面白い。鯖などの寄生虫。一度経験するとサバを食べることが怖くなるだろう。遠足の寄生虫としての乗り物酔い。どちらも怖くて残念。

こんなにもあなたのことが好きなのに我慢できない恐怖のクンニ
ここの「我慢できない」のは味わいたくて我慢できないのか?味わいたくないほうなのか?気になった恐怖。

「あのね」から伝わる危機を察知して豆腐の崖を飛び降りるネギ
この辺りから野良之ワールドに引き込まれている自分に気づく。何だか分からんが面白くなってきた。何だ?豆腐の崖から飛び降りるネギを想像したらプルプルしてきた。

「この味がいいね」と君に言ってからずっとゴマだればかりで飽きた
もうここで崩れた。豆腐からのこの着地。王道の俵万智先生の短歌のオマージュ。がこんなにも共感しかない短歌になるなんて。ゴマだればかりで私のことを言われてるのかとドキリとさせられる。

たくましいゴーヤと華奢なピンヒール苦く苦しい美しい美脚
ここにきて甘さだけではなく苦さの醍醐味を一気に攻めてくる。ゴーヤを持ってくるところが秀逸。美脚なのにゴーヤ。一体どんな美脚なんだろうか?マニアックな感情の味わいなのかとも。

辛いって味ではなくて痛みだと知ってさみしい夜はカレーを
カレーはおふくろの味。辛い=痛いに気づいた感情には母さんの包み込む愛情たっぷりカレーを召し上がれ。そういうことだと思った。納得。

味なんてただの感情 よく見ればまだついていた礼服に塩
味なんてただの感情 苦虫を叩き潰して駆除しています
味なんてただの感情 お酢・チーズ・ニンニク・腋臭 クセになるくせぇ〜
味なんてただの感情 クリームを耳に詰めたらグチョグチョとなる
味なんてただの感情 人柄でとったスープの旨みを啜る

礼服に塩、苦虫、クセになる癖のある食べもの、耳に詰めたクリーム。ただの感情を例える味の羅列。感情をtasteする舌。それは人間という生き物が持つ特別な力。特別な味覚。そしてその人間は千差万別。人柄のスープという旨みはその人にしかない格別の旨味。

全体を読んでまずラップというかリズムが脳内に流れた。流行りのマッシュルのオープニング曲のように踊り出しそうなリズム。面白い。なんせこんな感じの短歌を味わったことがなかったので興味深い。

インアンさんの反応
味蕾には感情がありべろちゅーで直ぐにあなたがそうだとわかる

味蕾と未来。ここでべろちゅーと出てくることであの曲がまた脳内を巡る。無問題!やられた。感が半端ない。
そしてここからインアンさんの耳healingにバトンが渡る。何とも面白い趣向。ごちそうさまです。続きは後日。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?