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息子の4ヶ月健診へ。まさかの展開に。


半月ほど前、息子の4ヶ月健診を受けてきた。
ベビーカーを押しながら、小児科へ向かう。

コンクリートの照り返しが辛い。まるで鉄板の上を歩いているみたいだった。
ベビーカーには、冷凍しても固くならない冷却枕を置いている。歩いて5分くらいだし大丈夫だろうと分かっていても、息子が熱中症にならないか不安になってしまう。

今年の6月はほとんど雨が降らなかった。
代わりに早めにきた猛暑。あっという間に最高気温が30度を超えた。

腕に湿度がまとわりつくような日々が続く梅雨。あまり好きじゃないけれど、今年ばかりは雨が恋しかった。


つられ泣き


小児科に着いて、クーラーが効いた室内にほっと息を吐く。

問診票、息子の保険証、小児科のカードを受付に提出し、待合室のベンチに座る。
息子は機嫌が良かった。ほっぺたをくすぐるように撫でたり、待合室に貼られた大量のお知らせを眺めながら、待つ。

扉が開く音が聞こえ、大音量の泣き声が待合室に響き渡った。「あぁ、注射が痛かったのね」と待合室の大人たちは一瞬で理解して、空気が少しだけゆるむ。



病室から出てきた赤ちゃんは、お母さんの腕の中で、「うわぁぁぁぁ」と口を大きく開けて泣いている。
必死に痛みを訴える姿がかわいくて、ふふふと笑みがこぼれてしまう。

すると先ほどまでご機嫌だった息子が、「うわぁん」と泣きはじめた。両手を握りしめ、目を強くつぶって、泣き叫んでいる。つられ泣きだ。

「いや、まだ何もしてないでしょ」と心の中でツッコミを入れて、ベビーカーの留め具を外し、抱っこする。嘘泣きだったのかと思うほど、すぐにピタリと泣き止んだ。

大声で泣いている赤ちゃんを抱いたお母さんと目が合う。「ごめんなさい」と苦笑している。私もつられて笑った。


すくすく育っている息子


息子の名前が呼ばれて、病室に入った。

ベッドの上には、小学校でよく見るような身長計をコンパクトにし、寝かせたものが置いてあった。指示に従いながら、息子を寝かせたり、服を脱がせたりする。看護師さんが息子の足を伸ばし、測定バーを動かした。

身長の数値を聞いて、驚く。出生時から15センチも伸びていた。
そのあとはメジャーで頭位、胸囲を測る。
続いて息子を抱き上げ、隣にあった体重計に乗せる。こちらは出生時から2倍以上になっていた。

ミルクしか飲んでないのになぁ、すごいなぁ。と体重計の数値を見つめる。



そのあと、男の先生がやってきて、裸になった息子を触診した。一見、無愛想な印象を受けるけれど、とっても優しい声であやしてくれた。息子に腕を掴まれて「いたいいたい」と言っている姿は、なんだか面白かった。

両足をぐいぐいと動かしたり、脇あたりを抱えて持ち上げ、首のすわりを確認したり、オムツを外して異常がないか調べたりする。

「うん、全然問題なさそうですね」という言葉に、安心して息を吐く。


紹介状を書いてもらった


「ただ一つ気になるのが、お尻ですね」と先生の言葉に、「あっ」と声が漏れた。

息子のお尻の付け根は、Yの字に割れているのだ。
風呂に入れる際に、主人と「不思議な形だね?」と言い合っていた。

「シッポみたいですよね〜」と呑気に言ったら、「紹介状書いときますね」と答えが返ってきた。一瞬、何を言われたか分からなかった。

てっきり蒙古斑や赤あざのような、赤ちゃん特有のものだと思っていた。これは違うのかと冷や汗をかく私に、先生は穏やかな声で言った。

「お尻の上に穴が空いている子はいるんだけどね。こういう形は珍しいから。まぁ何もなければないで、いいと思うから」

要するに「念のため」に紹介状を書くらしい。「お尻の上に穴が……」と驚いて言葉を繰り返す。そこから細菌が入ってしまう子がいるらしい。
そのあとはハンコ注射を打って、お礼を言って、病室を出た。

なんだか大変なことになってしまった。

注射で泣いている我が子を抱きながら、思う。
まさかお尻の形で紹介状を書いてもらうとは予想していなかった。今日帰ったらすぐに予約しようと考えながら、主人にLINEをした。


大学病院に電話する


家に帰り、案内された大学病院へ電話をする。

オペレーターの方に、紹介状がないと受診できない旨を説明されたあと、もらった紹介状の特徴を伝えてくれと言われる。「そこまで聞くんだ」と驚きつつも、指示通りに答えていく。

自分自身、紹介状をもらった経験が人生で1度しかない。厄介な親知らずを抜くために、街の歯医者から紹介状を書いてもらったのだ。
だから紹介状に関して「大きな病院に診察を依頼するもの」くらいの認識しかなかった。

調べてみると、(全てではないが)大学病院では紹介状がないと、受診することさえもできないらしい。なくてもお金を払えば受けられるらしいが、5000円以上かかることもある。目玉が飛び出そうになった。

そして直近で予約できるのが1ヶ月後。

ずいぶんと予約が入っているんだなぁと思いつつ、一番早く予約できる日にお願いをした。


不安が倍増する


予約が終わり、主人からLINEが入っていることに気づく。文面からして不安そうな様子が伝わってきた。その日は有給を取るとまで言っている。

大学病院はなかなか辺鄙なところにあったため、車を出してくれると助かる。遠慮なく休んでもらうことにした。



「赤ちゃん お尻 Yの字」

LINEを返信したあと、息子の症状について調べる。「二分脊椎」という怖い疾患がヒットした。脊髄が背骨で覆われず、足が動かなくなったり、変形したりするらしい。

胸の中がモヤモヤと、黒い霧のようなものが湧き上がる。大学病院の記事、ブログの体験談……タップしてはスクロール、タップしてはスクロール、と繰り返している自分に気づき、慌ててスマホを置いた。

目をつぶって、深呼吸をする。

ここで色々と調べて、自分にメリットはあるだろうか。静かに問う。

症状の知識が深まったところで、私には何もできないだろう。
同じ症状で問題なかった体験談を見ても、「自分の息子は違うかも」と考えるだろう。

私にできることは、診察日まで待って、息子を無事に受診させること、それくらいだ。


元気いっぱいの息子


不安で淀んだ胸の内。ちらりと息子を見ると、楽しそうに遊んでいた。

太陽が差し込んだみたいに温かくなる。赤ん坊って不思議だ。見てるだけで癒されるし、元気になれる。

息子の傍に行き、膝をついて顔を覗き込めば、嬉しそうな笑みが広がった。私まで頰がゆるんでしまう。

一緒に寝転ぶと、位置が悪くて、お腹を何度も蹴られた。元気いっぱいのキックは、なかなか痛かった。「いたいいたい」と訴えても、何度も蹴り続けてくる。仕方ないので足が届かない位置まで体をずらした。

両手を握りしめて、一生懸命に足を蹴っている息子を見ていると、「多分、何もないだろうな」と思えてきた。不安はあるし、自分に医療の知識は全くない。でも、1人の母親としてのカンは、「大丈夫」と言っていた。

大学病院に行くまでは、あまり深刻にならず、笑顔で遊ぼうと決めて、息子の脇をくすぐった。


病院へ行きました ↓




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