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平成初期の教育実習生

わが職場には、現在教育実習生が来ています。
なつかしいなぁ。私が教育実習行ったのって…もう30年以上前かー。

母校は新築したばかりでよそ者顔

私の母校は公立の女子校。当時、順番に校舎の建て替えがあり、私が高校3年生の時に近所のプレハブ校舎に引っ越し、卒業式のときには校舎は工事用フェンスに囲まれていました。
そこから4年経って実習生として戻ってきた校舎は全くなじみがなく、お世話になった先生方も、ほとんどいない状況だったので、知らない学校に実習に来たみたいでした。

10人超の実習生

そんな環境下で、多分20人とまではいかないまでも結構多くの実習生とともに2週間過ごしました。我々は第2次ベビーブーマー世代なので、生徒として在籍していた時も、400人超の同級生がおり、まして女子校なんで知っているようで知らないような。
でもそこは女子校、なんであれ控室で一緒になれば仲良くなるのです。

授業は黒板。そして模造紙

Windows95が巷に千巻するのは、そこからまだ数年後のこと。
教材はワープロで作ってました(パソコンですらなかった)。
プリント(ワークシートとすら呼ばなかった)はそれでよいとして、今みたいに視覚に訴えるようなスライドも当然なく、でも板書じゃなくて、もっとわかりやすくカラフルにしたい…研究授業の準備をしながらそう考えて、行き着いたのが模造紙。
図案を考え、どうやったら伝わりやすいか考え、指導担当の先生にも意見を聞き、資材の準備がどうしても土日になりそうで…と悩んでいたら、「あら、私の(準備室)の鍵、貸してあげるわよ。土曜日に学校来てやってもいいわよ?」と。
管理上のいい悪いの議論はおいといて、今思うと、たった2週間しかいない、しがない実習生の私に鍵を貸してくださることの意味を考えた時、「先生は私を信用してくださってる。だったら、できるだけ迷惑かけないように、集中して短時間で、きちんとしたものを作ろう。」と奮起して作り上げたものでした。作ったものを教室実際貼ってみて確認したり…今思うと、結構真面目にやってたなぁ。今の私に見習わせたいくらい(笑)。
そうまでして作った模造紙教材。確か本文に則した年表だったのですが、生徒にも「あの模造紙のやつ、よかった」と言ってもらえたのが嬉しかったな。

結果を見る前に知る結果

採用試験の最終結果の通知がまさにこの実習中のことでした。
当時はネットで発表などなく、すべて郵送だったわけですが、実習の忙しさで発表のことはすっかり忘れてました。
当時はバブル崩壊後で、女子学生にとってはふってわいた氷河期の就職難だったので、不合格になったら改めて就職活動かフリーターか、のかなり切羽詰まった2択がまっていたのに、暢気なものです。
その日は体育祭。職員の打ち上げに実習生も参加させていただきました。和やかな雰囲気の上品な酒席にて、実習生がかわるがわる校長先生の下に御挨拶に伺う中、私がご挨拶すると、「お!おめでとー。よかったねぇ」と。
ん?なんのこと?
「あ、私、まだ1次合格なんで、まだ結果わからないんです」とにっこり微笑んで返事をすると、校長は”しまった”という顔をし、「まー、ね。人生いろいろあるから」と何かごにょごにょ。ん?
帰宅した自室の机の上には、教育委員会からの封筒。なんだろうと思ったら「2次合格」(つまり採用予定者)の通知でした。えー!!!
次の実習日に校長先生に改めてご報告すると、「ほら、あの時僕言ったじゃん」と好々爺はおちゃめな笑顔で返されました。
こんなこと言ったらあれですが。
まさか合格するなんて、思いもしなかったんですもの。就活で不採用慣れしすぎて(笑)。

今振り返ると。
何事にもおおらかな時代だったなぁ。
先生方もゆったりして優しい方ばかりだったし、一緒に実習した同級生たちも、決して甘えることなく一生けん命頑張ってたな。

あれから30年超。
受かったのが意外過ぎる私が、教員として勤め、今では自分が実習生に関わる立場になったのが、時の流れの速さを感じます。

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