初対面の孤独
誰でも悩みはある。それを誰かに打ち明けられたら、その打ち明けた数ほど少しずつ希望が見えてくる。悩みは少しずつ変容していって、打開策が少しずつ見えてくる。
その一方で、多くの悩みはモンスターになる。自分の頭と心の中でモンスターになって、自分の頭の中で複雑化して、心を締め付け、もう友達に打ち明けられないと感じるようになる。
心の中でモンスター化した悩みは、仲間を持たずに、自分を孤独へ追い込む。たった一人で思い詰める。
その孤独の果てに、とんでもない事件を起こしたり、自死する人たちもいる。
さて、「自分は、そんなに追い詰められてない」と皆が言うけど、その言葉の裏に冷酷さが隠されてはいないか?「隣りの誰かが思い詰めているかもしれないけど、関わりたくない。尚のこと、関わりたくない。」
孤独が蔓延している世界。
利己主義や個人主義が正当化されるような社会になってしまってから久しい。
孤独の中で精神的に異常をキタした人たちが、社会の注目を得ようとして、破滅的な行為に及び、社会的自殺を図る。しかし、一部の異常者が「自己責任で」破滅するのではない。社会全体が利己主義という孤独を正当化している。構造的な問題なのだ。
孤独とは、現代の悪霊が、人々の思考や精神に取り憑つく場所になっている。
孤独は危険だ。恐ろしい場所だ。
心理学が考える以上に、人知を超えた違反が、人間関係の弱者、すなわち孤独な人々を無視し阻害している。
愛を求める事も許されないし、愛する事もない。
動物より下等になった近代社会。
「一人お気楽様」を楽しむつもりだったのに、いつの間にか孤独の蟻地獄から這い上がれなくなっている貴族たち。(例えば、高級養老院の中の悲惨。大金持ちが部下に怒鳴り続けるので尊敬されない。)
一人お気楽様を満喫してきた筈なのに、もはや、出会う人々との間で起こるゴタゴタに関わる愉しみは失われた。傷付け合うだけで、出会いを愉しめなくなっている。
コミュニケーションの手段が一方向になり、双方向の関係性構築ではなくなってしまった。
とっぴもない犯罪に訴えて周知を集め、「人を殺して、自分も死刑になりたかった」と宣言するのは何故か?
夢想家が夢で見ているようなことを、「現実にやらなきゃ」人々と繋がれないと信じ込んでしまうのは何故か?。
だからといって、内閣官房が孤独対策に取り組んでいる。国の政策だ。
政策は、私たちの身近な人間関係で、日々忍耐と寛容を構築する愉しみを経験させてくれるだろうか?
孤独でないことは、経験だ。人間関係で多種多様な経験を積む人生、七転び八起きする経験が、孤独でないことだ。
孤独は受け身だが、孤独でないことは積極的に自分の人生を選ぶと言う選択だ。
そう、思い詰めた人たちが求めているのは、そういう力を子どものように取り戻すことだ。役所が支援という義務を果たしてくれることではない。
何の為にでもなく、ただ、自分が自分だという事だけで良い、と一緒にいてくれる仲間が何処にある?
夫婦関係も危うい。夫婦はこの世で最も近い友達であるとともに、この世で最も酷い敵同士でもある。
本題に入ろう。
私の苦手は、あなたに初めて会う時に、あなたに「愛されている」と感じて貰うこと。
初めて会うあなたを、貴女・貴方のことを、知りたい。けれど、貴方・貴方は私から愛されていると感じるだろうか?
あなたに「愛されている」と感じてもらうには、どうすればいいのか。
あなたは誰? 知りたい。
あなたは、初対面の私と会うと、黙っているかもしれない。
または、一方的に自分の自己紹介で捲し立てるかもしれない。
「関係を築く為には、会話のキャッチボールをしましょう」と言われるけど、そんなに上手くはいかない。どっちかだけが沢山話して、片方がずっーと黙ってる。
或いは、どっちも話してるけど、自分の独白を交代にやってるだけ。相手の話を聞かない。お互いに噛み合っていない。
私の出会いの経験は失敗だらけ。
初対面に限らず、私たちの生活は、相手をきちんと聴いていない会話にみちている。
きちんと聴かれていない会話に満ちている。
孤独。
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ところが世の中には、初対面なのに、「私のすべてを心の底から知ってくれている!」と感じさせる人たちがいる。
いや、単に「感じさせてくれる」だけではなく、本当に私の心を知っていんだ!と私は思う。
私はそういう人になりたい。
そういう人になりたい。
ところで、初対面の時から私を知っていると思わせるような人って、例えば、どんな人?
例えば、ポーリソン教授。彼は何十人、何百人、何千人という人と、大きなコンファレンスで対話する先生だ。それなのに、私と話す番が来ると、彼は、私の往年の親友のように感じさせる。
彼の研究は、人を愛する事、人の心を自分の願望より大切にする事。
今日はこれ迄。
こうごきたい。
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