【詩の森】眉唾

眉唾
 
今の世の中
健康で長生きしたいと願うなら
できるだけ安全なものを食べ
ストレスから遠ざかることだろう
しかし安全な食品の入手が簡単じゃない
自給自足ならいいのだが
僕らの殆どは農業を離れて
いまや消費者だ
 
僕らの購入する食品は
世界中からやってくる
放射能・農薬・食品添加物
ＧＭＯ・ゲノム編集
いちいち気にしていたら
きりがないけれど
いずれも手放しで安全とは
いいがたい代物なのだ
 
しかし
背に腹は代えられないから
だれしもできるだけ安全なものを
探し出そうとするだろう
しかしコーンや大豆は殆ど輸入品で
おまけにＧＭＯだし
この国の単位面積当りの農薬使用量は
世界一ときている
 
この国は国民の健康には
とんと無頓着のようなのだ
食品ラベルにも
知らせないための工夫が
至る所に施されている
この国は統治の原則
「由らしむべし、知らしむべからず」
を地で行っているのだ
 
ゲノム編集なんて
端から表示しないと決めてしまったし
遺伝子組み換えでないという表記も
条件を厳しくして
葬り去ろうと算段中だ
アミノ酸等の「等」のなかに
どれだけのものが入るのか
だれが分かっているだろう
 
そこで賢い人は
生協と契約したり
有機農家と直接契約したりしている
安全な食材を入手して
せめて調理だけでも自分ですれば
不要な添加物の採取だけは
免れることができるからだ
命は自分で守るしかない
 
それにしてもと僕は考える
財政難で医療費を抑制したいなら
病気の対処よりも
むしろ病気にならないための
予防医学に力を注ぐべきだろう
世界ではがんが急減しているのに
日本では二人に一人といわれるのは
いったいどうしたことだろう
 
食品や農薬の安全基準は
むしろ厳しくすべきではないだろうか
蜜蜂の大量死からＥＵが
ネオニコチノイド系農薬の
禁止へと動いたとき
なんとこの国は
その規制基準を緩和しているのだ
化学企業を守るために―――
 
気になることを
一つでも調べてみたら
すぐに分かることだ
スマホを疑問解消ツールとして使えばいい
だれもいわないけれど
賢い人はそれをやっている
国のいうことは眉唾だと
もうとっくに知っているのだ