「鬼滅の刃」の魅力を未読の者たちに向けてネタバレも無く1分で解説する

「鬼滅の刃」にはあまり興味なかったんだけど、同僚がハマってて全巻貸してくれるというので一応読んでみたわけよ。

序盤は正直「絵も下手だし設定も超ありがちなバトル漫画やんけ。よく打ち切られなかったな」という感想だったのだが、中盤以降から一気に加速していくんだよね(逆にいうと10巻あたりまで読んでもピンと来ない人には合わない可能性が高い)。

その結果、途中で読み留めること叶わず一晩で最新刊(20巻)まで読み切ってしまった。いちばん好きなキャラは黒死牟だ。めっちゃ強いのに何一つ満たされない儚さがよい。

本稿は主に未読者を対象にした記事なので、あらすじだけ超ザックリ書くと「家族が鬼に殺されたので退治しましゅ!修行途中で特殊能力を覚えたり頼れる仲間たちと合流しましゅ!」という陳腐極まりないものだ。

よって、妙に目だけは肥えており、とにかく批判的で性格が捻くれている中年漫画ファンたちが求めそうなストーリーの重厚さみたいなものは無い。

とはいえ、そこは少年漫画なのでハッキリ欠点とはいえないし、むしろ長所なのではなかろうか。「鬼滅」はもともと大きなおともだちのためのものではないのだ。純粋な少年少女に向けての作品なのだ

とくに最近の「HUNTER×HUNTER」のストーリーなどは子供には複雑怪奇すぎるよね。大人でも一回読んだだけじゃ理解しきれん。おれは冨樫信者だから理解できるまで何回も読むけども🐰

話を戻そう。

他にも「鬼滅」の長所をいくつか挙げるならば

・(特に中盤以降は)話のテンポが良いし、ド派手な必殺技もポンポン出てくるし、戦闘シーンがアツくてカッコいい。少年バトル漫画なんだからここは外せないところ。
・味方キャラのみならず、敵キャラのエピソードにも分厚くページを割いて深めに掘り下げられていることが多く、いちいちドラマがある。強くて悪くて人間味があるため、感情移入がしやすい。使い捨て感が少ない。

などなど。

一言でいうと少年漫画としての弱点がほとんど見当たらず、たいへんバランスが良いのだ。売れているのもよくわかる(なお序盤には難があった画力にもやはり中盤以降には相当な向上が見られる)。

おれの少年時代においては、いくら人気作品だったとしても「本屋で買うことすら困難」みたいな漫画は記憶にない。全盛期のドラゴンボールだって発売日に本屋に行けば、おおむね普通に買えたものだ。

また、今週号にて最終回ということで「絶頂期にすんなり終わるジャンプ漫画」というのもなかなか珍しい。個人的にもピークアウトし切ってから締めを迎える作品よりは遥かに好感が持てる

近年のジャンプ漫画において、そのような終わり方が出来たのは「slam dunk」くらいではなかろうか。おれの記憶の限りでは。

そして、大抵そういう漫画は後世にも伝説として語り継がれるものなのだ。早逝したロックスターみたいなものやからね。「鬼滅」は十分その域に達しているだろう。

総合的に見ても、現在のジャンプ漫画の中では売上が示す通り頭ひとつ抜けた良作と言って良さそうだ。期待せずに読んだわりには思いのほか楽しませてもらった。あまり難しいことを考えずにスカッと読める作品を求める人にはとくにオススメだ。

てなところで、また次回!

(了)


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