構造デザインの講義【トピック8:立体構造のデザインを科学する】第5講:テンセグリティの力学とフォルムの可能性
建築を超えた構造システムの革命、テンセグリック構造
東京理科大学・工学部建築学科、講義「建築構造デザイン」の教材(一部)です
トピック8:立体構造のデザインを科学する
第5講:テンセグリティの力学とフォルムの可能性(ココ)
テンセグリティ構造の発見と実用化
テンセグリティ・Tensegrityは、tension(引張・張力)とintegrity(統合)の造語です。
バックミンスター・フラー(建築家、構造家、発明家、思想家、・・・)によって提唱された構造システムです。
(バックミンスター・フラーは、「宇宙船地球号」の考えを示しました。地球の資源問題、環境問題に通ずるものです。)
テンセグリティ構造の定義と、実際の建築物
テンセグリティ構造は、圧縮材がお互いに節点をもたず、細い引張材は存在を消すことで、圧縮材が浮いたような構造体に見えます。
しかし、この定義を完全に満足する建築物を作ることは、容易ではありません。
建物の構造体とする場合、屋根や天井、壁、床などを支える必要があります。
細い線材からなるテンセグリティ構造を骨組として、これらの構成要素を無理なく構築することが難しいためです。
テンセグリティの原理・定義を完全に顕現した構造体とした建築物は、必ずしも多くはありません。
橋梁の構造体に、テンセグリティのような構造を見ることはできますが、圧縮材がお互いに節点を共有していることがあります。
軽やかさと、空間を構成する要件を持たせた、テンセグリティのような構造体は、テンセグリック構造と呼ばれることがあります。
様々提案がありますが、例えば、立方体を基本ユニットとして、外周部に圧縮材を配置して、内部の引張材が補うような構造体です。
このユニットのレイアウトにより、平面や立体、曲面などの構造・空間を作ることができます。
ハイブリットテンション構造として
圧縮材と引張材の組み合わせは、サスペン・アーチ構造、張弦梁構造、などがあります。
テンセグリティ構造、テンセグリック構造も、使用する部材は同じですが、構造の構成が異なります。
しかし、いずれも、軽快な表現、構造体の軽量化、明快な力学、そして信頼性の高い構造体として、利用されることがあります。
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