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仕事と女性③

私の今の職場には尊敬する大先輩の社員がいた。

その人はずっとひとつの部署にいて周囲から信頼されていた。

60歳で定年再雇用され任期を満了して辞めて行った。

定年再雇用制度をご存じない方に。

定年再雇用は60才から65才の誕生日前日までの契約期限となり更新はわが社の場合は1年毎となる。

再雇用の年齢からは毎年給与が下がり(もとの給与の60%~80%)上限は24万までになる。

下がった部分は雇用保険から一部補填される。

この雇用保険からの補填は、本来定年でやめていた場合即10ヶ月分支払われるものを分けて貰うことになる。

つまり64才までは会社と雇用保険から、65才からは年金を100%貰うと言う考え方になっている。よく考えた国の制度のひとつ。

自分で関わっているから知っているが案外と知らない人も多いのではないかと思って書いてみた。

彼女は私が配属が変わりこちらに赴任してからほとんど年間の有休を捨てていた。(今年からは5日は必ず国の決まりで休暇を取らなければならなくなったけど当時まだそこは問われていなかった)

彼女は誰よりも永く支店にいて受払いのプロフェッショナルだった。また彼女は誰よりも女性の味方だった。

私も何度も助けて貰った。

前上司がパワハラまがいだった時も

私にだけ特に厳しすぎる

と言ってくれたり、今の上司が派遣のやりたがらない仕事を私にするように指示しキャパオーバーになった時には仕事の配分をもう一度考え直してほしいと進言してくれた。

これは私にだけではない。誰でも出来る雑務も嫌がらずひとりでしてくれた。逆にいつもお世話になっているのでこちらが手伝いたかったが手を出さないでいいという雰囲気だった。

少し意地悪な見方をすれば、彼女は他の人にさせないことで自分が便利な存在として他から出来るだけ長くいて欲しいと思わせる感じを装っていたところもある。

しかしそうであっても抜群の記憶力を持っていて過去の出来事も遡って覚えていた。

定年再雇用で同じように働く男性はのんびりとして責任のない仕事をしていたが、先輩は長年の経験で聞かれたことを全て思い出す力があったと思う。

いつも朗らかで笑顔の先輩。

私が悩んでいると慰めてくれた。以前先輩に理不尽なことに腹が立って思い出してしまうと悩みを打ち明けると

悩んでばかりいると頭が痛くなるから悩まない

と言われた。先輩に話して笑ってほしくて私はちょくちょく先輩に話をした。

先輩は逆に男性社員に厳しかった。

誰も文句は言えなかった。仕事は完璧だしいうことはまともだし、休みも取らず仕事一筋だった。そして気前が良かった。

誰も先輩のことを悪くいう人はいず、最後に寄せ書きを集めて贈ったが彼女は自分が部署を異動した訳ではないが80人近くの人たちが彼女との別れを惜しんだ寄せ書きに協力してくれた。

私にはこの先輩に追いつくことは出来ない。多分だれも出来ないだろう。



まだまだたくさんの記事を書いていきたいと思っています。私のやる気スイッチを押してくださーい!