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微調整

思い切り暗い音楽を聞いたり、毒づいたり、お酒の力を借りたり、もやもやを晴らす方法は人それぞれあるのだろう。合う対処法をいくつか自覚的に持っているだけで随分と楽だ。

元々、涙腺の栓はないに等しく、蓋というにも頼りない。なみなみ水の入ったペットボトルにキャップをのせてある程度の緩さ。そんなものでも、人前で開栓することがなくなってからどのくらい経つだろう。困ることはないので気にしたことがない。ただ、平らかでいるためにとても役立つあたり、備わった緩さに感謝したいときもある。

とくに悲しいわけではないけれど、ちょっと疲れていたり、しけた気をもらってしまったような日は、塩を大量に入れた湯舟で、本を読みながら泣く。泣けるセンテンスを片っ端から拾っては泣く。ひたすらもう、自分でひくくらい、べしょべしょのずるずるになるまで。本を閉じると泣く気は収まる。あとはもう、洟をかんですべて洗い流すだけ。湯上りにはほかほかに温まり、適度に疲れてぐっすり眠れる。

他には、掃除をする、洗濯をする、野菜をきざむ、不要なものを捨てる、植木に霧吹きをかける。たいてい家のなかで、ひとりで出来ること。平衡も快適な環境も保てるので一石二鳥だな、と思う。

東京は好きだけど生きづらい、とざっくり言えばそれまでだ。ただ、心が健康でさえあれば、いつだって嬉しいことや面白いことを見つけやすい自分でいられる。


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