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倫理政経ポイント解説(政経③)

現代政治の統治機構について

国会
国権の最高機関で唯一の立法機関
※例外として両議院や最高裁判所の規則制定権

●地位と構成
衆議院(任期4年※(1))と参議院(任期6年※(2))の二院制
※(1)解散あり
※(2)3年毎に半数が改選するが解散はない

●国会議員の特権
歳費特権 :お金もらえる
不逮捕特権:国会の会期中は逮捕されない
免責特権 :議院内での政治活動について院外で責任を問われることはない

●国会の権限
立法権
予算の議決権
条約の承認権
弾劾裁判所の設置権
内閣総理大臣の指名権
憲法改正の発議権
議院の資格に関する訴訟の裁判権
議院規則制定権および議院懲罰権
国政調査権
内閣不信任決議(衆議院特有)
※弾劾裁判所によって裁判官を裁く弾劾裁判

●国会の運営
・常会
→毎年一回1月に召集され、会期は150日
・臨時会
内閣が必要と認めたときorいずれかの議院のうち総議員の1/4以上の要求があったときに召集
・特別会
衆議院解散後40日以内に衆議院総選挙を実施、その日から30日以内に召集
・(参議院の)緊急集会
衆議院解散中、緊急事態が起こったら開かれる。

●両議院

委員会制度を採用しており、議院は常任委員会に所属し議案を審議する
有識者の意見を聞くために公聴会を開く(予算は必ず)こともある
委員会で議決された議案は本会議に報告され、各議院の総議員の1/3以上の出席で本会議が開かれる(原則公開)基本的には過半数で可決だが以下の場合は出席議員の2/3以上の賛成を要する
・議員の資格訴訟の裁判によって議員の議席を失わせる場合
・秘密会の開催
・議員の除名
・衆議院での法律案の再可決
※憲法改正の発議は総議員の2/3以上の賛成を要する

衆議院の優越

国会の両議院の議決が一致しない場合には

内閣総理大臣の指名(10日以内に参議院が議決しない場合)

予算の先議権・条約の承認(30日以内)

法律案の議決(60日以内)

で衆議院での議決が国会の議決となる。

※クエスチョンタイムとは

1999年に成立した国会審議活性法に基づき、政府委員の廃止とともに導入された党首討論のこと。国会の審議が形骸化しているとの批判を受けて導入。

内閣の仕組みと公務員

●内閣と国会
内閣は国会の信任を基盤とするため、衆議院で不信任決議案の可決か、信任決議案の否決がなされた場合、内閣は10日以内に総辞職するか衆議院を解散する必要がある。

●内閣の仕組み
内閣総理大臣(首相)とその他の国務大臣

●内閣の仕事
一般行政
法律の制定、執行
外交関係や条約の処理
予算の作成と提出
天皇の国事行為に対する助言と承認
最高裁判所長官の指名
恩赦の決定
※恩赦とは・・・新天皇の即位などに際して行われる刑罰の減刑や資格剥奪の復権

●行政の仕組み
府・省・庁・委員会などがある
1府22省庁制から1府12省庁制へ(2001)
独立行政法人・・・各省庁の仕事の効率化、透明化を図る
副大臣・・・大臣補佐
大臣政務官・・・特定の政策における大臣補佐
内閣官房・・・内閣総理大臣の直接補佐

●公務員
「全体の奉仕者」
憲法尊重擁護義務を負う。
近代は行政国家化が進行し公務員数が増大。

●行政国家化の弊害
官僚制(ビューロクラシー)や委任立法により汚職や腐敗が起こる。
この事態に対して行政手続法や国家公務員倫理法、行政監察官(オンブズマン)制度の導入を行う

●行政改革
1981電電公社(NTT)、専売公社(JT)、国鉄(JR)の民営化
2005道路公団民営化
2007郵政民営化

裁判所

●司法権の独立
大津事件・・・1891年に大津で巡査がロシア皇太子を傷つけ、政府から死刑にしろと圧力を受けたにも関わらず罪刑法定主義に基づいて法律の通りに被告を裁き、司法権の独立を守った事件
規則制定権
裁判官の身分保障・職権の独立
→裁判官は心身の不調か弾劾裁判所によらない限り罷免されない

●裁判制度
最高裁判所と下級裁判所(高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所)からなる。特別裁判所(皇室裁判所など)は禁止。
三審制

●裁判の種類
①刑事裁判
被告人には弁護人依頼権がある。
罪刑法定主義に基づき、「疑わしきは被告人のために」とされる。
※少年法
13歳以下の子どもには刑事罰がないが14〜19歳の子どもは少年法に従って処罰を受ける

②民事裁判
和解によって決着をつけることができる。そのため裁判ではなく調停という方法もある。
行政裁判(国に対する訴訟)もその一種。
知的財産権にかかわる訴訟は知的財産高等裁判所によって行われる。

●権利保障
冤罪防止のための再審
被害者のための被害者参加制度などがある

●有名な裁判
とりあえず名前だけ

尊属殺人重罰規定
薬事法訴訟
衆議院定数訴訟
森林法訴訟
愛媛玉ぐし料訴訟
書留郵便免責規定
在外日本人選挙権制限規定
国籍取得制限規定
北海道砂川政教分離訴訟
婚外子相続差別訴訟
女性再婚禁止期間規定

●違憲法例審査権
基本的にない。高度な内容になるとだいたい統治行為論使われる

●裁判員制度
3人の裁判官と6人の裁判員
刑事事件の第1審
基本的に辞退不可

地方自治

●地方自治の本旨
住民の身近な問題を住民自ら解決するものであり、目標は住民の福祉の実現
イギリスのブライスによると、「地方自治は民主主義の学校」である。
意味は民主主義が地方自治の伝統によってできたものであって、国民は地方自治への参加によって主権者としての意識を高めてきたということ。

団体自治→地方公共団体による自立的な自治
住民自治→地方公共団体の政治を住民が行うこと

●権限と仕組み
議会と首長による二元代表制
任期はともに4年

①首長の権限
条例の執行
議案予算の提出
規則の制定
議会の決定を再議に付す
自治事務※1と法定受託義務※2の処理
※1法定受託義務以外の仕事
※2本来は国の仕事だが、効率化のために地方公共団体に任せる仕事

②地方議会の権限
条例の制定・改廃
予算の決定
決算の認定

●住民の権利
住民投票※1による特別法の制定(過半数により可決)
※1法的な拘束力なし

直接請求権
条例の制定・改廃/有権者の50分の1/首長/首長が議会にかける
事務の監査の請求/有権者の50分の1/監査委員/議会、首長に報告
議会の解散の請求/有権者の3分の1/選管委員/住民投票で可決されれば解散
解職(議員or首長)/有権者の3分の1/選管委員/(同上)
解職(上以外)/首長/議会で3分の2以上の出席、4分の3以上の同意で執行

●地方分権の推進
地方分権一括法の成立(1999)
機関委任事務の廃止
特別区域の成立
→構造改革特区(2003)、国家戦略特区(2014)
市町村合併の促進
広域連合
→地方公共団体が事務処理などを共同で行う
道州制
→都道府県の廃止という思想

●地方自治の課題
自主財源は三割自治(四割自治)と言われてきた。
そのため多くは国から地方交付税や国庫支出金による支援を受けてきた。
また、地方債による財政破綻などもあった。

これらを改善するため、政府は地方交付税の見直し、国庫支出金の削減、税源の移譲によって三位一体の改革を行った。

しかし、独自課税のあり方や限界集落の増加など地方自治には様々な問題がある。


今回は以上です。閲覧ありがとうございました。スキしてくれると励みになります。次回は政治と選挙制度です。


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