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倫理政経ポイント解説(倫理③)

こんにちは。今回は源流思想(宗教①※仏教を除く)についてやります。

ユダヤ教
人格神ヤハウェ(裁きの神)の与えた律法(トーラー)に従えばイスラエル人は救われるという思想(選民思想

旧約聖書(キリスト教側からの呼び名)によれば、律法はモーセを通じて「モーセの十戒」※が与えられた。

※十戒一覧
主が唯一の神であること
偶像を作ってはならないこと(偶像崇拝の禁止)
神の名をみだりに唱えてはならないこと
安息日を守ること
父母を敬うこと
殺人をしてはいけないこと(汝、殺す勿れ)
姦淫をしてはいけないこと
盗んではいけないこと(汝、盗む勿れ)
隣人について偽証してはいけないこと
隣人の財産をむさぼってはいけないこと 

●バビロン捕囚

イスラエル人がバビロンに連れ去られたことを預言者エレミヤが、律法を守らなかった人々に対する神の罰だと伝えたが、同時に神はイスラエル人の不義を許し、メシア(救世主)を送ると預言した。

イエスの教え

イエスの言動は「新約聖書」に記されている。

イエスはヨルダン川のほとりでヨハネによって洗礼を受けて、ガリラヤで改革の第一声「時は満ちた、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信ぜよ」(マルコによる福音書)

●神の国とは

自分の中に実現すべき世界のこと

イエスは律法の形式を守ることにではなく、律法を守るときの心の状態を重視した。
これを二つの律法で表す。
①神への愛を説く
「心をつくし、精神をつくし、思いをつくし、力をつくして、主なるあなたの神を愛せよ」
②隣人愛
「自分を愛するようにあなたの隣の人を愛せよ」
隣人愛については次のようにも説いている
「何ごとでも人々からしてほしいと望むことは、人々にもそのとおりにせよ」=(黄金律

●神の愛(アガペー)とは
完全な神が不完全な人間に対して恵む、我欲を離れた無差別平等の絶対愛

イエスはどんな罪人や悪人も神の愛の前には平等であるとした。

イエスの磔刑とキリスト教の誕生とパウロ

●イエスの磔刑
イエスは律法主義者や祭司たちによって権威を脅かすと見なされ、処刑された。

●キリスト教の誕生
イエスが預言どおり刑死の三日後に復活して昇天したという信仰が弟子の間に広まり、ペテロを中心にキリスト教が誕生。

●パウロ
パウロは元はパリサイ派の律法主義者であったが、ダマスカスへの途上、復活したイエスの声を聞き回心する。
パウロはイエスの死を人類のもつ原罪の贖罪と考えた。
信仰によってのみ人は義とされるという信仰義認論や「いつまでも存続するものは信仰、希望、愛であり、最も大きなものは愛であると」述べ、キリスト教の世界的発展の礎を築いた。

キリスト教の世界的展開

最初期のキリスト教は原始キリスト教という。当初信者の集まりの中で有力であったのはエルサレム教会であるが、やがてイエスの弟子ペテロが創設したローマ教会がトップとなり、その最高指導者は教皇(法王)とよばれた。

※三位一体説とは・・・父なる神と子なるイエスと聖霊を一体とみなす考え

●アウグスティヌス
キリスト教が世界に広まるにつれ、教父たち(協会の指導者)によって教義が整えられてきた。カトリックの教父たちの中でもっとも大きな影響を及ぼしたのがアウグスティヌスである。

主著「告白」「神の国」

アウグスティヌスによれば、人間の至福は「神を愛すること」であり、この愛をカリタスとよばれる。神を愛し、神のためにすべてのものを愛すること「愛の秩序」が人間の徳であるとした。

また、パウロの信仰・希望・愛をキリスト教の三元徳とし、プラトンの四元徳の上位とした。

また、歴史については神と地上の戦いとし、「恩寵」についても考えた。

トマス・アクィナス

アリストテレス哲学を踏まえて理性と信仰の調和を体系化しようとした。
→スコラ哲学

主著「神学大全」によると理性と信仰は相反しないとした。

また、人間は神を観想する生活の中に至福を得るとした。

イスラーム

イスラームとは唯一神アッラーへの服従を意味する。

アッラーは宇宙万物を想像し、救済のために人類が守るべき規範(シャーリア)を定めた。信徒はムスリム(帰依するもの)という。

開祖ムハンマド(マホメット)は「起きて警告せよ」というアッラーの声にしたがって新しい教えを説き始めた。

ムハンマドは偶像崇拝を批判し、平等を説いたことで支配層の迫害を受け、メッカからメディナへと逃れた(ヒジュラ、聖遷)

イスラーム教ではモーセやイエスなどを預言者と見なし、ムハンマドを預言者のうち最後の預言者であるとしている。

●イスラームの教え

シャーリアはムハンマドに下された神の啓示である聖典「クルーアン」(「コーラン」)と、ムハンマドのスンナ(言行)に示されている。
ムスリムはこれらとこれらを根拠とするイスラーム法に基づいて生活し、六信・五行※1⃣という宗教的なつとめを実践する必要がある。イスラームでは行為が重視される。また、ものは常に用いることが理想とされる。

※1六信・・・アッラー、天使、聖典、預言者、来世、天命を信じること
 五行・・・アッラーへの信仰の告白・礼拝(一日に5回メッカに向かって神を拝すること)、断食・喜捨(貧者の救済のため、財産に応じて課せられる税)、メッカへの巡礼

イスラームの拡大

ムハンマドの死後ムスリムの信仰共同体(ウンマ)はカリフ(預言者の後継者)の指揮のもとにイスラームの拡大を目指した。
家系重視のシーア派(少数)とそうではないスンナ(スンニー)派(多数)に分かれた。

アヴィセンナはイスラーム世界が排出した最高の知識人と評される学者であり、哲学、医学、音楽など多くの分野の研究に貢献した。

また、イスラーム哲学の重視した新プラトン主義の流入や、イスラーム医学の大家アヴェロスによる研究書がラテン語に翻訳され、スコラ哲学の形成に大きな影響を与えた。

長くなるので一旦ここで切ります。次回は仏教です。閲覧ありがとうございました。スキしてくれるとやる気出ます。

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