見出し画像

バラシファイト。

昨日予告を見て気になった「バラシファイト」という映画を見てきました。
大阪ではステーションシネマでしかやっておらず、しかも2週間という短い公開日数。さらに朝8時台からの一回のみ。
最終日というのを聞いてこれは行かねばという次第です。

あらすじはバラシ後の打ち上げをかけたスタッフの戦い。
普段舞台の裏方をしている人間からすればこんな面白そうな話はありません。
バラシ中にほかの部署を邪魔して倒して打ち上げに行く話なのかな?と思っていましたがどうやら違いました。

全体的にはコメディアクション。そこに少しエッセンス的なストーリーが入っていて、個人的にはとても楽しめました。
最初は淡々と進んでいくのですが、後半はなんだか特撮映画を見ている感覚に。カメラワークが似ているのかな?と見ながら色々考えていました。
だがそれよりもなによりも。

ツッコミどころが多すぎる!

作った人はスタッフのことを本当に考えてくれてると思うのですが…仕事しているからこそ「それはないやろ!?」的な部分が多く見えてしまったのです。
以下ネタバレを含みますのでこれから見たい方はご了承ください。






始まりは公演が終わったところからでした。
出演者が舞台を終え、お疲れ様でしたとみんなが劇場を後にしたところからこの映画の本質が始まります。
僕が思ったバラシ中に戦う、ではなく、バラシが終わった後、バラシファイトの火蓋は切られました。
座組のスケール的にはよくある感じの人数。
舞台監督1人、美術1人、演出部が2人。
音響2人、照明4人、映像1人。
ヘアメイク3人、衣装1人。
物販5人、受付2人、制作3人。
それにプロデューサーとその補佐が1人。
各々が自分の仕事道具を武器に戦うのです。

バラシファイトのルールは3つ。
備品を壊してはならない、原状復帰が鉄則。
死人を出してはいけない。
時間は22時~24時。退館時間厳守。

まずここでツッコミポイント。
普通の劇場は22時退館時間が多いです。
今回の劇場は地方の公共ホールっぽいところだったのできっとそれは揺るがない。
22時以降使えるなんてほぼないんです。
そんな仕事してたら次から使わせてもらえなくなります。延長料金払ってるってことなんですかね?

最初の戦いは受付対ヘアメイク。
何故かずっと受付さんがドライヤーを当てられてました。
それは逃げられるんちゃうか?と思いながらみているとヘアメイクのトップの武器はなんとかつらを被せる顔だけのトルソー。
それで殴打しまくりです。
受付がやられて相手は物販に変わりました。
手持ち金庫で応戦する物販の男性。
もう武器が強いのか弱いのかわかりません。
そこに制作チーフ(中ボス)がポットと拡声器をもって現れます。
ポット対手持ち金庫対トルソー。
勝敗はポット。
まぁ一番重いしね。

場所は変わって調整室。
ブースが同じ照明と映像の戦い。
照明増員らしき3人の手には灯体。見た感じ500wの凸。もしかしたら一人くらい1kwだったかも。
チーフはなんとピンを担ぎ出した。
映像がプロジェクターの明かりを4人に当てひるませた好きに身を隠す。
出て行ったと思った照明はブースを後に。
いやそんな機材軽くないから!ピン(たぶん1kw)なんか一人で持ち上げるのやっとだから!
待ち受けるは音響、チーフはスピーカー(ZXみたいな感じ)とマイクケアは優先マイク。鎖鎌みたいに振り回していたけど何故かマイクとマイクがつながっているという不思議な代物。
ピンとスピーカーで戦うチーフ同士、音照が普段思ってることをぶつけあいます。
思わず笑ってしまいましたが前に見ていたお客さんも同じ場所で笑ったので、きっと音響か照明を生業にしている方なんでしょう。

そんな感じで各部署が戦う武器に心でツッコミをいれながら話はどんどん進んでいきます。
ストーリーとかに関してはまぁ見てもらった方が早いので割愛。
その中で「奈落には可哀想な化け物がいる」というセリフから、美術さんとアルバイトの演出部の二人が奈落に行ったということを知る舞台監督(主人公)
奈落へと向かうと裏ボスである美術と捕らえられたアルバイト。

その場所がどう見ても奈落じゃない。

明らかにシーリング。
地方のホールでよく見るシーリング。
ぶっちゃけ照明しか知らないであろう場所です。
その前の映像では階段(しかも仮設のような)ところを降りていく映像があったのに一番上に上ってきちゃってるよ!!
そこで戦うのかと思いきや、きっと狭すぎて動けないから諦めたんだろう一睨みで美術が逃げ出しました。
なんやったんやこのシーン!!
この劇場に奈落が無かったんだとしたら会場選びをミスってる。
もしくは奈落だけ使えなかったのか…だからといってシーリング行くのおかしくない?
この映画一番のツッコミポイントでした。

最後はまさかの請求書から打ち上げ台がスタッフ全員分払われていたということが判明。
本当は制作もみんなで打ち上げしたかったんじゃないかというのがバレてみんなで行こう!というところにプロデューサー(ラスボス)がゴルフクラブをもって登場。
いやそれは普通に死人でるやろ!
みんなで力を合わせてプロデューサーに立ち向かうその構図はスーパー戦隊や仮面ライダーの映画で見たことあるやつ!
ゴルフクラブ無双を続けるPの前に颯爽と現れたのは一台のトラック。そこから降りてくるトランポのおじちゃん。
荷物に積んでたガチ袋を渡され、恩師のナグリを装着。
ゴルフクラブVSナグリ。
なぜ死人がでないのか不思議な凶器対決。
形勢が悪くなったPは家族に危害を加えようとします。
だが奥さんも元々バラシファイトの参加者でした。
まぁ…わかったよね、それは。

戦意喪失したPと共に打ち上げ会場に向かう一行。
何も知らない座長はびっくり。
一緒に飲もうと声をかけるが「我々は挨拶だけで、お疲れさまでした」と出ていこうとする皆に座長としてそういうわけにはいかないと、一升瓶を割る座長。
次は打ち上げファイトだ!でおしまい。

ちょっとあまりにも言いたいことが多くて長くなってしまいましたが、監督が舞台を馬鹿にしているのではなく、スタッフをしている人間に思い入れがあるというのはとても分かりました。
面白おかしく茶化してはいますが、コロナ禍でエンタメ業界が止まった時に一番あおりを食らったのはスタッフだと声を上げてくれたように思いました。
最近はようやく普通に公演ができ、普通に打ち上げに行けるようになってきましたが、これが普通なんだという感覚はどこかまだ自分の中ではありません。
この普通がもっと日常に戻るようになるのは、もう少し先かもしれませんね。

まぁ僕は打ち上げ苦手なんであまり行きませんけどね。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?