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【やさしい】排卵障害への対応【不妊症ガイド】

たなかゆうすけです。

今回も排卵障害のお話です。

この続きです。

排卵障害の原因を以下の3つに分けます。

・排卵するものがない:卵巣性
・排卵するものはあるが、排卵させる力が足りなくて排卵しない:中枢性
・排卵するものも排卵させる力もあるが、排卵しない:その他

これらへの対応をお話しましょう。


卵巣性への対応

卵巣性は、卵巣に卵子があまり残っていない状態です。月経周期に問題が出てきて排卵障害が顕在化したり、FSHやLHレベルが上昇したりすることは、卵子数がかなり減少しないと起こりません。そもそもの問題は卵子数がかなり少なくなってしまっていることなので、残っている卵子でどう勝負をするかをすぐに考えていくべきです。小手先の排卵誘発をしてみたり、FSHやLHを見かけ上低下させることにはほとんど意味がありません。

卵子が少なくなっている場合でも、自然妊娠率が低下するわけではありませんし、赤ちゃんの異常率が上昇するわけでもありませんし、体外受精を行ったら必ず妊娠するわけでもありません。決まった対応や方法があるわけではありませんが、少なくとも現状の評価としっかり作戦を練ることは必要でしょう。後は信じてやることをやるしかありません。


中枢性への対応

中枢性は、FSHやLHの分泌量が低下しているため、卵胞の発育と排卵が起こらない状態です。原因として、先天性の障害(Kallman症候群)や頭蓋咽頭腫などの視床下部腫瘍、出産後の大量出血(Sheehan症候群)、極度の体重減少などがあります。

これらは排卵誘発などだけでは対応できないことが多いため、中枢性を疑った場合は専門施設の受診を勧めることが多いです。極度の体重減少などは、そのまま妊娠してしまうと危険なケースもあります。


その他への対応

その他は、卵子がある程度以上残っているし、FSHやLHの分泌も保たれている場合です。よくある排卵障害の原因である多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)もここに分類されます。これらに対する対応は、基本的に排卵誘発になります。排卵誘発を行えば、最終的には排卵させることはできます。

まずは内服の誘発剤から開始していき、卵胞が発育して排卵がしっかり起こせればOKです。なかなか発育してこない場合は、注射で排卵誘発を行います。少ない投与量で卵胞発育と排卵が起こせれば、これもまたOKです。

ここで排卵がうまく起こせない場合にはどうするかというと、注射薬の量を増やしていきます。注射の量をどんどん増やしていけば、大抵の場合は、『最終的に』卵胞の発育と排卵は起こすことができます。

ただし、この場合にはある問題が起こってきます。この問題をクリアできなければ、安全に妊娠することは難しくなることがあります。

次は、高用量で排卵誘発を行った場合に問題になることをお話しましょう。一つは以前お話した卵巣過剰刺激症候群です。もう一つは…後日お話します。



妊娠を希望される皆様が、幸せな結末へたどり着けますように…

たなかゆうすけでした。

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