東風(こち)吹かば
匂い起こせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ
大宰府に祀られている学問の神様、菅原道真が詠んだ句である。
今年のスタートは、大宰府へのお参りから始まった。
もう随分前の話になってしまったが…。
実のところ大宰府には昨年秋に行く予定だった。
きっかけは夫サンの「大宰府に行けと占いで言われた」という一言。
占いなるものと全く縁がなさそうな夫サンだが、友人に誘われて出かけたらしい。その時、私とは天神様の縁だからお詣りするといい、と言われたというのだ。
15年前くらいだろうか。私は一人で大宰府天満宮へ行ったことがある。トレードマークは梅の花、時期は違ったけれどあちらこちらに梅の花があしらわれ、梅に出迎えられているようで何となく親近感を覚える場所となった。
その時おみくじを引いたら、なんと第一番の「大吉」!そして冒頭の句が書かれていたのである。おみくじで第一番を引くなんて!より太宰府天満宮を好きになったのだった。そのおみくじは今でもお財布の中でゆったり眠っている。
そんな大宰府が今の夫サンとの縁?
たかが占い、されど占い。ただただ私は太宰府に行きたくなったので「それなら行こうよ!」と夫サンに言い、感染状況も落ち着いてきた秋口に予定を組んだのだった。
ところが。8月の終わりに台風が発生しウロウロ、ウロウロを繰り返すこと数日。その後、一路九州へと進路を定めた時期が旅行日だったのである。
「またか…」(またか、という理由についてはどこかの機会で)結局、その時は太宰府行を断念したのである。
リベンジ太宰府!と自分の中では銘打ってプランを立て、今度は南岸低気圧やら爆弾低気圧やらに襲われないよう祈り続けてその日を待った。そして、せっかく行くならと事前に「菅原道真」について1冊本を読んだ。正直、なぜ道真が学問の神様と言われているのか、太宰府とどんな関係があるのかよくよく分かっていなかったからだ。
詳しい感想は書評家の方に譲るとして、一番印象に残ったのは「道真さんはただただ純粋に勉強したかったんだね」ということだ。仕事(国の政)に対し実直で熱心、さらに知識や学識も豊富。そりゃ、天皇(朝廷)で重宝されること請け合いである。結果として要らぬ嫉妬をかう羽目になってしまい最後は太宰府へ左遷となってしまったのだ。
冒頭の句は、太宰府へ赴く前に京の自宅の庭に咲いている梅を愛でながら詠んだとされている。そんな事前学習の思いを秘めて、今回は無事に行くことができた。
「私はただ学問(漢文)の道を究めたかったのです」
太宰府天満宮の梅を見ると、そんな道真の声が聞こえてならない。道真はこの地で咲く梅を見るたびに、京の家を思い、京での暮らしを思い、自分の今を思い、先を思い…さまざまな思いに耽っていたんだろうと想像した。
でも、最後は学問への思いが一番強かったのでは、と私は感じたのだった。
さて、夫サンといえば…。
そんな私の道真愛?に関心があるでもなく、蓋を開ければ占い師から「お参りすれば人脈が広がって今後の仕事に役立つ」と言われたのだと言い、むしろそれがために天満宮へ行きたかった…とまで言っていた。
自分にとって面倒な旅行の手配を私に任せ、自分の目的はしっかり遂げる。夫サンらしいし、それに乗っかってしまう私も私らしい。トホホ。
ま、そんなもんですよね、道真さん。
私はあなたの無念なる思いを抱いて首を垂れておりました。
きっとこれからも梅の花を見るたびに、そんな道真公の生きざまに思いを馳せ自分の生き先を思うのだろう。
夫さんの人脈が広がるかどうか、それはこれからのお楽しみか。。。
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