第536回 松島の名所シリーズ③

1、松島四大観 多聞山 偉観 

さて、1日空いてしまいましたが、四大観の三つ目をご紹介します。

一昨日リンクなどを貼っていなかったシリーズ②も修正しましたので

併せてごらんください。

2、景観を守らないといかん

七ヶ浜町代ヶ崎(よがさき)浜の崖頭に所在する標高55.6mの展望台です。
山の中腹に毘沙門堂(万治年間:1658~60)があり、そこに祀られている多聞天像から山の名がつけられたとされています。

本尊は全長20cmほどで、33年に一度ご開帳(次回は令和11年)されるそうです。


眼下に馬放島(まはなしじま)があり、遠く桂島、仁王島が望むことができます。

この「馬放島」という島も由緒がありまして、

同じく松島湾を見下ろす古社、鹽竈神社で役目を終えた老馬が

余生を過ごすためのしまだったとか。

わざわざ老馬を離島まで連れて行くのはご苦労なことですね。

やはりただ屠殺することが憚られた神馬ということになるのでしょうか。

さて、多聞山から湾を見下ろすと

北には地蔵島(じぞうじま)の灯台-大正七年(1918)建築の石造の灯台が、


東には仙台火力発電所が見えます。

この発電所は昭和34年に建設が始められ、当時世界最大級の発電量を誇っていました。三本の高い煙突が名物でしたが、環境に配慮した発電所に転換。天然ガスを燃料として、二酸化炭素排出量が削減される構造のものが新しくつくられることになりました。

現在では特別名勝松島の景観にも配慮した、白壁と瓦葺の建築に生ま
れ変わりました。


また、山内には深山権現(被葉衣観音)が祀られ、不思議な由来が語られています。

解説板によると、

あるとき代ヶ崎浜に見慣れない修験者が訪れました。

飢えと寒さで途方にくれた様子に同情した浜の人たちは気の毒に思い、世話を申し出ますが、遠慮がちに土間の片隅を借りただけで、食べ物や着るものの施しは固辞したそうです。

不審に思った人たちが様子をうかがうとなんと仏の姿になって後光が差していたとのこと。

その姿を模して観音像を作り、多聞山の高いところに祀ったとされています。

3、小さな半島に豊富な文化財

いかがだったでしょうか。

多聞天(毘沙門天)は四天王としては北方の守護者ですが、

ここ多聞天は松島湾を取り囲む4つの展望地点としては南方に位置します。

七ヶ浜町にも前回ご紹介した東松島市同様、

大木囲貝塚という縄文土器の標識名になった遺跡もありますし、

明治から親しまれ、かの宮沢賢治や島崎藤村などの文化人も訪れたという菖蒲田海水浴場もあります。

個人的には慈覚大師円仁が仙台市の岩切、利府町の菅谷、そしてこの七ヶ浜に残る磨崖仏を一晩で掘り上げたという伝説の場所が気になるのですが、

これはまた別の機会にご紹介することとします。

本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?