第148回 効率化だけでは解決しない課題

1、考えることを続けて

友人に誘われて

『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』の著者、河合雅司氏の講演会に行ってきました。

500人規模の会場で7〜8割くらいは埋まっていたようでしたので300人は来ていたでしょうか。

この『未来への年表』は続巻と合わせて累計70万部を超えているようですので、

人口減少社会について、漠然とした不安を抱えている人が少ないくない事を示しています。

2、形やシステムを変えること

主催者は乾杯KANPAI株式会社というコンサル会社で、

はじめに代表の松尾公輝氏が自らの生い立ちも交えながら趣旨説明を行なっていました。

また講演には、未来の話、ということで若い世代に聞いてほしいとの想いから地元の高校生を多数招待しているとのこと。

講演内容は基本的に著書の内容をなぞるような話。

過去最低の出生数で、戦後最大数の死亡者数となっている現在は、間違いなく人口減少社会であり、誰も経験したことのない激変期である。

とのことですが
社会の課題は常に新たな問題であり、誰も経験したことはないのでは?と思いつつ

意識を変えれさえすれば人口が減っても必ずやっていける。

という前向きの姿勢には共感を持てます。

よく自治体の首長や議員にこの話をすると、自分の町がどうやったら生き残れるか、という発想になるが、社会全体が機能しなくなっては意味がないので、住民の取り合いをするような施策ではダメだ。

というところも激しく同意できます。

ただ、次に来るのは

一部自治体がなくなっても仕方ない、むしろ自治体の形は変わっていく。人々の暮らしを守っていくことの方が重要である。

という部分で、ハードルが上がります。

確かにちょうど150年前に起きた明治維新では、自立性の強い藩というような共同体から、県や市町村制に変わりました。

その際には戊辰戦争と、各地で起きた士族の反乱を経て変革できたのではないでしょうか。

自治体の形を変えるほどの変革が人々の意識だけで変わるのでしょうか。

また、有権者の、特に投票率の高い高齢者の支持を必要とする現代の政治システム上で、

居住エリアを絞って集約化できるのでしょうか。

戦略的に国を畳むことができるのでしょうか。

河合氏は内閣官房有識者会議や厚労省、農水省の委員も務められているので、政治的な部分への働きかけも同時になされているのでしょう。

3、少なくなるからこそ個人が重要

河合氏も講演で触れていましたが、

移民を増やしても、働き方改革を進めても

人口推計は大きく変わることはないでしょう。

科学技術の進歩で労働力不足を補うことについては、個人的には大いに期待していますが、先を見通すことが難しいものでもあります。

そこで自分がなにができるのかを考えてみました。

講演の中からヒントを探ると、小さなコミュニティ単位での充実、というところでしょうか。

町単位なのか、複数の町が集まった経済圏なのかは考える余地がありますが

その中でできるだけ完結できるような仕組みを整える必要があるのでしょう。

産物もコストをかけて遠くから運んでくるのではなく、地元産を使うようにする。

これも言うほど簡単ではありません。

例えば学校給食で地場産品を使うように、という理想論は度々言われますが、低価格で同質の食品を安定的に供給するほど大きな産業になっていないものが多いのが現状です。

人材も長い通勤時間をかけて都市圏に行くのではなく、地元に十分な雇用があれば、と思います。

これに関連して、産業構造も変えなくてはいけません。

町のブランド力を上げて、付加価値の高い特産品を開発し、域内で加工
全て完結するような仕組みを作ることが必要になります。

講演の中で

効率化を推し進める時代から、人に寄り添うことが価値を持つ時代へ変化している。

という指摘がありました。

自治体のあり方、自分の進むべき道、

まだ消化しきれない課題です。

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