第1235回 2021年の歴史ニュース その2 日本国内 発掘調査成果編

1、どんどん増えていく

昨日に引き続きやっていきますよ。

日本国内のニュースはさらに分割します。

昨年は調査成果編と展示公開編、その他と三分割しました。

今年はそれでも絞りきれなかったので、調査成果編をさらに発掘調査とそれ以外で分けてみました。

まずは発掘調査編から

2、あえてメジャーどころじゃないものを中心に

①京都府城陽市の芝山遺跡・古墳群にある古墳時代中期から後期(5世紀後半~6世紀前半)の埋葬施設で、刀身が波打つ「蛇行剣」が出土



②鳥取県三朝町で、中世の「氷室」跡とみられる石組み遺構を発見


③沖縄県嘉手納町の野国貝塚から出土したイノシシとされる骨の形を分析した結果、大部分が家畜化したブタだったと判明

④京都府井手町の井手寺隣接地に五重塔の基礎を発見


⑤福岡県糸島市の御床松原遺跡から硯とみられる板状の石が約50点出土していることが判明


⑥奈良県奈良市の菅原遺跡で円形建物跡を発見

⑦広島市のサッカースタジアム建設予定地の中央公園広場で進めている発掘調査で、旧陸軍の輸送部隊「中国軍管区輜重兵補充隊」施設の被爆遺構を発見


⑧千葉県の九十九里浜で1000年前の津波痕跡を発見


⑨沖縄県名護市の嘉陽上グスクで500本以上の柱穴を発見

⑩熊本市の国指定天然記念物「藤崎台のクスノキ群」の折れた枝の内部から、西南戦争(1877年)で薩軍が撃ったとみられる銃弾2発を発見

3、保存はなぜできないのか

いかがだったでしょうか。

トップはなんと言っても⑥の行基に関連すると言われた六角堂でしょうか。

これだけの希少性のあるものでも保存することができない、という日本の文化財保護制度の限界を示すものにもなりました。

関連して⑦の被爆遺構について。

昨今では近現代の遺構についても「地域にとって特に重要な」ものであれば埋蔵文化財として扱い、丁寧な調査が行われるようになって来ました。

するともう一つ先、保存すべきではないか、という考え方にもなってきます。

確かに原爆ドームはすでに世界遺産として周知のものでありますが

昨今では文化財は点でなく面で捉えるべきものだ、という考え方が主流になってきました。

であるならば遺存状態のよいもの、希少性が高いもの、歴史を語らせるにふさわしいものであれば被爆関連遺構も計画的に保存を図っていくべき段階にきているのでしょう。

この地域の特殊性、と言って終えばそれまでですが、長い目で見れば近現代の遺構をどう扱うか、という方向性に関わってくることは間違いありませんので、トップランナーとしてどう進んでいくのかを注視していきたいと思います。

さらに関連するとすると⑩の話題。

発掘調査ではありませんが、近代の戦争の痕跡が残っているのであれば、それは調査すべきですし、良好な状態で残せるものであれば活用も図れるというもの。

近現代史の文化財をどのように守っていくのかは今後もホットな話題になっていくことでしょう。


本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。


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