第1350回 2022年の歴史ニュース その2 日本国内 発掘調査成果編
1、個人的「発掘された日本列島」
昨日に引き続き、今年のニュースのまとめ。
国内の発掘調査等での成果で、個人的な興味関心があるものを集めてみました。
時代的な偏りもありますし、「大発見」よりもちょっと気になる、面白いものを意図的に集めるようにしたつもりです。
ちなみに昨年はこんなラインナップでした。
2、今年の10大発掘調査成果
①栃木県足利市の法楽寺で池跡を発見
②鹿児島県種子島にある西之表市の下之平遺跡で7400年以上前の地層から遺物が出土
③京都市内の堀跡で江戸幕府が鋳造した銀貨「慶長丁銀」に押された偽造防止用の公印「極印」の鑽が出土
④慶長奥州(三陸)津波が東日本大震災の津波に匹敵する巨大津波だったことを示す痕跡を確認
⑤奈良県田原本町の宮古平塚古墳で完全な形の太鼓型埴輪が出土
⑥文化庁が水中遺跡の保存推進へ
⑦神奈川県鎌倉市の大倉幕府周辺遺跡群で発掘調査現地説明会を実施
⑧岩手県盛岡市の薬師社脇遺跡で出土した「ガラス小玉」が、ローマガラス」だったと推定
⑨新潟県柏崎市で金箔が押された木製塔婆が出土
⑩奈良市の平城宮跡から、奈良時代の「女官」の勤務評価に使われていた木簡を発見
3、時代が変わっても変わらないもの
いかがだったでしょうか。
今年は何と言っても水中考古学関連が注目ですね。
文化庁が『水中考古学ハンドブック』を公開し、諸外国に遅ればせながらですが、調査・保存・活用への機運が盛り上がってきました。
各地で関連遺跡の調査成果が報告されることも増えてきました。
⑤の太鼓型埴輪は非常に面白いですよね。
本当に今の太鼓と形がそっくりで、グッツ化したくなるような。
③の貨幣偽造防止用のハンコも考えれば考えるほど面白味が増す話題。
持ち出しは禁止だし、廃棄も厳密に管理されるべきもの。
それが出土する、ということは…
という公式発表も。
⑩の古代の人の暮らしがリアルに想像できる好資料です。
ことがわかる女官の勤務評定に係る木簡、だなんて信じられませんね。
本人は1000年以上先の人に見られるなんて想像もしてなかったでしょう。
そして現代人も顔負けのハードワーク。
社会の形は変わっても土台を支えているのはこういう名もなき人たちの努力なんだろうな、としみじみ思ってしまいます。
皆様のお近くの遺跡でも「こんな成果がありましたよ」というのがありましたら、ぜひコメントで教えてください。
発掘調査が多い、ということは一方で開発のために遺跡が壊れてしまっているということですが、
今後も新たな出土資料で語られる歴史が興味深いのは紛れもない事実。
来年はどんな成果が発表されるのか、楽しみです。
本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?