第1326回 2022/8/30〜9/5の歴史ニュース

1、秋が来た!

ようやく9月に入って過ごしやすい日が多くなりましたね。

もう暑さは勘弁です。気を緩めたときにくる猛暑はこたえます。

それはさておき、本日も気を取り直して、今回もヘッドラインの後ろのRはコメントをつけてリツイートした際にいただいた、いいねとリツイートの件数、Cはコメントがついたことを示しています。
ちなみに前回はこちら。

2、ニュースヘッドライン

①秦野市は、「金剛寺木造阿弥陀三尊立像」1式を市重要文化財に指定 R15

②浜松市立中央図書館は「市文化遺産デジタルアーカイブ」の紹介の一環で、撮影見学会を開催 R11 C

③京都市の国宝「妙法院庫裏」で、16世紀末から17世紀初めごろのものとみられるかまど跡を発見 R3

④奈良市の平城宮跡から、奈良時代の「女官」の勤務評価に使われていた木簡を発見 R3

https://news.yahoo.co.jp/articles/367a05cad159949c80e84654c4a29b7425cda65c

⑤齋藤道三が京都の油売りから身を起こした「国盗り」の記述が、17世紀後半の史料にあることが明らかに R7

⑥レバノンのベイルートで破損した古代のガラス容器8点が修復を終え、英ロンドンの大英博物館で展示 R

⑦トーマス・グラバーの晩年の姿が映った古写真を発見 R10

https://news.yahoo.co.jp/articles/4af758510febe98a7afc69a5017fd1dddb9bd5cd

⑧青森県南部町の国史跡「 聖寿寺館 跡」で出土した建具が、金メッキされていたことが判明 R20 C

⑨大阪府河南町の近つ飛鳥博物館で特別展「献ずる器―横穴式石室を彩るものたち―」を開催。9月25日まで R10

⑩中国北京市の箭扣長城に関する考古学的新発見を発表 R5

3、思い込みが問題

いかがだったでしょうか。

今回コメントを多くいただいたのは⑧の話題。

金メッキ、アマルガム法で金の装飾を施す技術がいつからあったのか、という話。

なぜか金の精錬に用いられる灰吹法と混同してしまって

多くのフォロワーさんに、奈良の大仏だってメッキじゃないか?

などと指摘されてしまいました。

有識者が多いTLに救われますね。

続いては③の話題。

寺院で「庫裡」といえば僧侶たちの食事を作る台所。

当然火どころがあるのですが、現在国宝や重要文化財に指定されているモノであれば「火気厳禁」ですから現役で使っているものはほとんどないでしょう。

今回の報道では庫裡の中から23基ものかまどが見つかったとのこと。

何度も作り替えられ、多くの僧侶たちに食事を提供してきたのでしょう。

しかも

このうち、10基について、土の年代や食器の破片などから16世紀から17世紀初めに設けられたものと判明した。

というのがキモです。

じつは妙法院では1595年に秀吉が先祖の供養のために約千人の僧を集め、

その後は豊臣家が滅亡する直前の1614年までほぼ毎月「千僧供養会」が開かれていたとの記録にあるそうです。

それだけの人が毎月集まるのであれば、食事を提供する方も大変ですよね。

数多くのかまどがフル稼働していたことが想像できます。

文献が豊富に残る畿内であればこそ、一つの儀式と直結する遺構が特定できる、と言ったところでしょうか。

本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。


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