第183回 教養が武器になる時代

1、読書記録14

戦国武将と連歌師 (平凡社新書) / 綿抜 豊昭 #読書メーター https://bookmeter.com/books/8746545

中世社会は一種の異能者が重宝され、歴史の表舞台から少し外れたところで重要な役割を果たしていることが多くあります。

連歌師もその一つ。

表面上は連歌という芸能を体現する存在として、文学的教養を伝授する立場ということになっていますが、

全国を渡り歩き、要人達の歌の指導をしながら機密性の高い情報を得ることもあり、それ自体が価値になってきます。

本書では武将がなぜ連歌を必要としたのかから説き起こし、連歌が求められなくなった社会情勢まで解説がなされています。

2、連歌とはなにか

連歌は和歌から派生した文芸の一つで、まず上の句を5・7・5で詠むと、次の人が7・7の下の句を詠む、ということを繰り返していく形を取ります。

前の人が詠んだ句の世界観を生かしつつ、新たな展開を、なんてことを即興で続けていくので参加するためにはかなりの教養が必要です。

その場を取り仕切り、全体としていい作品に仕上げる連歌師はなおのこと並大抵の才覚ではないのではないか、と素人の私なんかは思ってしまいます。

ところが、本書では

紹巴という当代随一の連歌師が

人は三十歳のうちに名を挙げなければ、立身出世はできない。世の中を見渡すと、連歌師はやすき道と見えて、町人出身でも貴人に繋がれる

という言葉を残していると紹介されており、驚きです。

一芸として極めれば容易に立身出世できる道として認識していたというのです。

3、どんな時に連歌を行なうか

私のnoteでも以前紹介しましたが、

寝てはいけない夜、庚申の日に行われることも多かったようです。

本書でも

徹マン(徹夜麻雀)ならぬ徹レン(徹夜連歌)

と冗談めかして紹介されています。

あとはなんといっても

明智光秀が本能寺の変の直前に催したという「愛宕百韻」。

ときは今 天が下しる 五月かな

と詠んで後から下克上を予告していたのではないかと物議をかもしたものです。

その成否は是非本書をお読みください。

さらにもう一つ

伊達家の正月恒例行事であった七種連歌の始まりについても、独自の考察されていて興味深いものでした。

さしずめ現在に例えると

徹夜でつい見てしまうTwitterでしょうか。

つぶやきの質で教養がバレてしまいますね。

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