第137回 ついこの間まで伝わっていた伝統

1、夜明けを待つという楽しさ

庚申塔(こうしんとう)ってご存知ですか。

来週、公民館講座で町内のとある地域の散策をするのですが、そのテーマが庚申塔です。

元々は中国から伝わった思想で、庚申の日の夜、眠ってしまうと、体に住み着いている三尸(さんし)という虫が出てきて天帝に悪事を伝えてしまう、というものがあります。

寝なきゃいいじゃん!

とのことで60日に一度回ってくる庚申の日は朝までどんちゃん騒ぎすることが平安貴族たちの間で流行っていたそうです。

2、変哲もない石碑が語り出す

しばらくは上流階級の風習でしたが、江戸時代も後半になってくると、庶民も習うようになりました。

一年は365日なので60で割り切れず、通常6回の庚申の日が5回だったり7回だったりする年もあります。

その年は凶作になる、という俗信が残っているところもあり、

「五庚申」

「七庚申」

と刻まれた石碑を建てて、供養することで翌年の豊作を願ったとも言われています。

庚申塔には仏像が描かれているものもあり、青面金剛という姿をしています。

庚申の申はサルの意味なので、猿田彦神の信仰と結びついたり、見ざる言わざる聞かざるの三猿も表現されていたりと

バリエーション豊な信仰形態で、観察すると興味深いです。

3、変わらないことの魅力を伝えられるか

都市化された地域では道路の拡張などによって石碑は移動され、ひどい時は廃棄されてしまうこともあります。

一方で、今度町歩きしようとしている地域には比較的もとの位置をとどめているような石碑が多く

江戸時代から明治・大正・昭和初期の農村風景がよく残っています。

例えば集落の端だったりとか、旧道の交差点だったりとか、そういうところに石碑が時代を越えて建てられています。

参加者の皆さんにこの魅力を伝えることができるでしょうか。

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