第1238回 2021年の歴史ニュース その5 その他編

1、どんな年でもリセットできるような気分

ついに待ちに待った大晦日がやってきましたよ!

ってこんなに楽しみにしている中年男性は多くないのでしょうか。

相方さんの仕事がシフト制になって、大晦日の家事も主担当になって慌ただしくなったとはいえ、それでも一年に一度の特別感は何にも変え難い。

そして今年の連載も最終回です。

今年は毎日更新のモチベーションもあまり高くなかったので、

更新が途切れがちでしたがニュースまとめだけは継続してできたのは幸いでした。

これもひとえに読者の皆様のおかげです。

どうぞ来年もよろしくお願いいたします。

2、その他が一番10件に絞るの大変だったかも

①文化庁委託事業「博物館異分野連携モデル構築事業」の一環として「『戦国無双』博物館応援プロジェクト」を、全国11の博物館で開催


②和歌山県立博物館で 目が不自由な人が触って理解できるように点字や特殊な印刷を施した文化財図録の製作を継続中

③群馬県板倉町で発行した文化財関係の書籍を希望者に期間限定で無償配布や格安で販売

④イコモスが北海道・北東北の縄文遺跡群を世界遺産にするよう勧告



⑤萩生田文部科学相が鉄道遺構「高輪築堤」(東京都港区)のような開発区域で出土した埋蔵文化財について、保護制度の見直しを含めた議論をするよう文化審議会に要請

⑥国重要文化財の絵巻「紙本著色拾遺古徳伝巻第八」(西脇家本)がオークションにかけられ2億4390万円で落札


⑦新潟県の小学生が作った真田丸の模型が「お城EXPO2021」で展示へ

⑧「縄文ドキドキ総選挙」の第一位は南アルプス市の鋳物師屋遺跡から出土した「人体文様付有孔鍔付土器」

⑨「佐渡島の金山」が世界文化遺産の国内推薦候補を選定する国の文化審議会に諮問


⑩奈良県田原本町の唐古・鍵考古ミュージアムでNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)を活用へ


3、「過去」と「未来」

いかがだったでしょうか。

まずはなんと言っても世界遺産ですよね。

早速来場者が増えた関連施設もあるとか。

地域の史跡活用に弾みがつくよいですね。

⑨にあるように次は佐渡と続いていけると盛り上がりそうです。

一方で、

国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は、英国リバプールの世界遺産登録抹消を決定

という話題もあり、登録後に再開発がされたり、適切な維持管理がなされない場合は認定を取り消すことも辞さないという姿勢が改めて示されました。

こういう場合って「世界遺産」を謳っていた看板とかはどうなるんでしょうね。

⑤の高輪築堤も今年を代表する話題と言えるでしょう。

さまざまな思惑や事情が絡み合って、最終的には異例の速さで一部を国の重要文化財として指定して、それ以外の部分は「記録保存」というところに落とし所を見出したようです。

その賛否はまた時が経って歴史が判断することになるでしょう。

「過去」の施策評価、ということでいえば③の話題はいたたまれませんでした。

「記録保存」として紙にしか残されなかった遺跡。

地域の歴史を記録した貴重な記録であっても残部があればそれは不良債権。

そんなふうに扱われてしまうのはなんとも悲しいですね。

と言いつつつい最近の話題では国の最先端を担う機関がまだまとめきれていない成果を「報告書」として刊行したことにしていた、という報道もありました。

さまざまな事情があるのは察するにあまりありますが、結果として業界の信用を毀損してしまったことは間違いありません。

「未来」を感じることのできる取り組みとしては

②のバリアフリーについては、特に文化財分野では遅れている気がしますのでこの事例に追随して業界に浸透していくことが望ましいですね。

そして⑩。仮想空間での活動がいよいよ現実的になって来た昨今の情勢にあって「文化財資料」の真正性を担保しつつ、バーチャルでの活用を図る、というものです。

そもそも「文化財資料」と仮想空間は親和性が高いと思いますので、この流れにうまく乗って

「文化財」って面白いじゃん、価値があるんだねって思われる方向に持っていきたいものです。


今年一年間、本当にありがとうございました。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?