第572回 ナスカの地上絵最前線

1、鳩サブレは古代の遺物だった!?

鳩サブレそっくりなナスカの地上絵が発見されたとの話題を見かけました。

実はこれはフェイクニュースらしいですが

山形大学と日本IBMが共同で実施したAI(人工知能)を活用して空撮写真を処理する実証実験で新たに地上絵143点を確認したとの報道がありました。

こちらはフェイクではありません。

今回はこの話題を少し掘り下げてみたいと思います。

2、まずは基本をおさらい

まずナスカの地上絵とはなにか、というところから。

南米はペルーの乾燥した大地に描かれた、巨大な絵のこと。

その大きさゆえに空から出ないと全体像が見えないことから

謎のモニュメントとされていますが、

人はいつも合理的な行動をとるわけではないので

自分たちには全体像が見えなくても、神に向けて描かれた

とかであれば全然問題ないようには思います。

日本の古墳時代だって異様に大きな墳丘を築いていますし、

現代人だって…

それはさておき

地上から全体を目視できないほど大きな絵をどのように描いたのか、という点については

地上絵の原図と思われる縮小図と地上に残る杭跡などから、

原始的な数学を用いても相似拡大することが可能であったろうと考えられています。

物理的には赤茶けた岩石を特定の部分だけ取り除くことで

上空から見た色を変えるという方法が用いられているので

理論的には難しくはないようです。

まあ「できる」こと「やる」ことは一致しないこともありますが。

実際に地上絵の近くから出土した土器などから

紀元前200年から紀元後800年ころまでに栄えたナスカ文化の人々が

作ったと考えられています。

3、山形大学ってすごい

しかし現代文明の侵食とでも言いましょうか、

車社会がペルーにも及ぶと道路開発が進みますし、

巨大な送電線を地上絵と見間違えてしまうこともあったようです。

そんな中にあって新たな地上絵を見つける、しかも143もというのは

すごいことですね。

冒頭で紹介した山形大学は現地にナスカ研究所を設置し、

立ち入り調査が認められた唯一の機関となっています。

その甲斐あって次々と新たな成果が次々と上がっているということですね。

特に地上絵の描き方についてもほぼ解明されているようで、

下記の動画の28分あたりから地上絵の書き方を解説しています。

道具も使わず、原寸大のハチドリの地上絵を学生さん二人で描いてしまいます。しかも一時間ちょっとで…

4、それにしても143もあると

まあ今回は航空写真とAIで解析したものですので、

実際に一つ一つ現物を確認すると

前述のように道路や送電線を見間違えていることもあるかもしれませんし

(AIの精度によりますかね)

動画の作り方のように容易に作れるのであれば

最近作られたものと区別が難しいということもあるでしょう。

今後の研究に期待ですね。

それとやっぱり知識のアップデートは常に意識していかないと、ということですね。

本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

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