第609回 今年の歴史関連10大ニュース日本編その2 発掘調査成果

1、2019年振り返り企画第4弾

今年の10冊、

10大ニュース海外編

10大ニュース企画展示編

ときまして、本日は発掘調査成果を10件選んでみました。

すでに大晦日になってしまったので

最後もう1記事だけ2019年振り返りをしたいので、年明け1月2日に続きます。

2、選ぶことで興味関心がどこにあるかまるわかり

①大阪府大阪市中央区の豊臣期の大坂城三ノ丸跡で大名屋敷とみられる大型建物跡を発見。瓦の文様から佐竹氏の屋敷跡と推定

家紋を軒瓦の文様に取り入れる早い例という点でも貴重な成果だと思います。

関ヶ原の際の曖昧な態度から鎌倉時代以来の本領から秋田へ転封され、

大坂の陣では徳川方についた佐竹氏。

かつて自分が城内に屋敷をもらっていたことを感慨深く思ったのでしょうか。

②京都市上京区で個人住宅建築に伴う発掘調査で「花の御所」の西端を示す遺構を初めて確認

③奈良県桜井市の纏向遺跡で祭祀土坑とみられる遺構から大量のカエルの骨が出土

記事によると儀式の際に食べたというだけで、日常的に食べていたかは検討の余地があるとのこと。

現代でもついこの間まではカエルは食用でしたからそれほど不思議なことではないのかもしれません。

④滋賀県栗東市の下鈎遺跡で「環権」という青銅製分銅を発見

一つの研究成果によって、これまで用途不明とされてきたものを考えるヒントになることは往々にしてありますよね。

弥生時代に度量衡制度がどれだけ普及していたのかが次第に明らかになっていくのでしょう。

⑤三好長慶が居城とした大阪府大東市、四條畷市の飯森城跡で石垣を発見

織豊系城郭と言って織田信長の先進性を示す根拠の一つとして語られることが多かったお城に石垣を用いることに対して、一石を投じる発見。

信長より先に「天下人」となった三好長慶がもっと注目されるようになるかもしれませんね。

⑥大阪府大阪市の難波宮跡からノモンハン事件に関わる機密文書が出土

当該地は陸軍関連施設だったことがあるようで、終戦時に米軍の接収を免れるため焼却処分された燃え残りとみられるとのことで、よほど慌てていたのがわかりますね。

機密文書を燃やせと指示されたのに、70年後までしっかりと残してしまう杜撰さのおかげで歴史のある事実が明らかになるという皮肉。

⑦京都市鳥辺野で11世紀半ば~12世紀半ば頃の墓跡を発見

中世人の死生観に迫ることのできる素晴らしい調査成果ですね。

すでに単独の記事で触れています。

⑧青森県三戸町の三戸城跡で現地説明会。16世記後半から17世紀前半の大規模な盛土跡を公開

中世の拠点であった聖寿寺城も発掘調査が進められており、南部氏の資料がかなり蓄積されてきています。

調査成果が整理されるのが楽しみですね。

⑨静岡県の駿府城でしゃちほこ状の金箔瓦が出土

関東に移封された徳川家康を包囲するように金箔瓦のお城があるという「金箔瓦の城による家康包囲網説が散見されますが、お城研究の第一人者である千田嘉博さんが一刀両断していますね。

確かに隣の国お殿様が金箔の貼られた瓦を葺いたお城に住んでいたからどうだ、という感じはしますよね。

千田先生も書いていますが、結果からの類推に過ぎないのかと。

⑩奈良県大和郡山市の郡山城三の丸跡で豊臣政権時代と思われる武家屋敷を発見

豊臣政権時というのは秀吉の弟、秀長が城主だった時のことでしょうか。

遺構を保存するのが前提の調査であれば難しいでしょうが、さらに遡って筒井氏時代の遺構まで調べられたら面白いことがわかりそうですね。

3、今年も発掘お疲れ様でした

いかがだったでしょうか。

個人の独断と偏見で選んでいますので、どうしても中近世の成果が多くなってしまいました。

来年はもう少し、時代・地域ともに幅広い視野で情報を集めたいと思います。

順位をつけるのは難しいですが、インパクトの大きさでいえば、やはり⑦の鳥辺野の成果でしょうか。

ぜひ貴方の今年一番の発掘調査成果の話題など教えてください。


本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

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