第1216回 2021/11/9〜15の歴史ニュース

1、現代社会はずっとまし

先週は酔っ払いでしたが、今週もなんだかちょっとテンションが上がりません。

ままならないことが多いのが人の世ですが、

歴史を学んでいると、少なくとも中世よりは理不尽に命を取られることはないよな、と自分を励ましている今日この頃です。

さて、今回もヘッドラインの後ろのRはコメントをつけてリツイートした際にいただいた、いいねとリツイートの件数、Cはコメントがついたことを示しています。

ちなみに前回はこちら。


2、ニュースヘッドライン

①京都市上京区の登華殿跡では794年の遷都当初とみられる建物柱穴を発見 R18 C

②南米ペルーの首都リマで行われていたガス管の敷設工事の現場から古代の墓地遺跡を発見 R23 C

③岡山県津山市の津山市桑山南1号墳から2018年度に出土した大刀の鍔に、タマネギのような「心葉文」や、アルファベットのS字のような「蕨手文」が描かれていたことが判明 R4

④戦国時代の羽黒山からの書状を新たに発見 R14 C

⑤長崎原爆の被爆瓦を浦上キリシタン資料館に寄贈へ R5

⑥宮城県東松島の赤井官衙遺跡で現地説明会 R5

⑦福島県大熊町で大堀相馬焼の窯跡を発見 R9

⑧岩手県沿岸のムール貝の貝殻の成分を分析し、日本大震災の津波の痕跡を確認 R3

⑨愛知県名古屋市の徳川美術館が、修復を終えた国宝「源氏物語絵巻」を13日から特別公開 R19

⑩日本語の元となる言語は、約9000年前に中国東北地方の西遼河流域に住んでいたキビ・アワ栽培の農耕民だったと発表 R16

3、本筋とはズレたところがひっかかる

いかがだったでしょうか。

あなたの気になるニュースもあったでしょうか。

①の内裏の建物が見つかった話題はなんと既に調査が終了して何年も経過した話題だったそうです。このタイミングで報道に乗る意味を深読みしたくなりますね。

②の話題は本筋ではなく

ペルーでは古代遺物がたびたび発見されるため、掘削作業を行う全ての公共事業会社は社内に考古学部門を置いている。

という部分に食いついてしまいました。

日本で言うと、JRや道路公社などに考古学部門がある、という形になりますでしょうか。

大手ゼネコンに考古学部門が併設されている…と言うことになると

開発と調査のバランスが崩れそうなので難しそうです。

それを考えると我が国の現状のように測量会社等を母体とした民間の発掘調査組織があり、組合的にゆるい連合も行っている、というのは比較的健全なような気がします。

問題なのは民間調査組織の監理をする能力が地方自治体にないこと…

そして個人的に最も気になるのは⑦の陶器窯の調査例。福島県で焼かれた大堀相馬焼はミヤギにも多く搬入されており、「明治から昭和にかけて」という近代の遺物は研究が不十分なので進展が期待されます。

そして続く東北の話題。

ムール貝から読み取れる気候変動はついに1日単位の情報まで引き出せるようになったということに驚きです。

また東日本大震災という特殊な1日だからこそ抽出できるのかもしれませんが、

それを基準指標にして展開することができるかもしれません。

そして⑨の話題。

こちらも本筋と異なりますが、個人的に大先輩が無闇矢鱈といい資料を

額装してしまったために展示活用に支障をきたしている事例が多く

巻物にして良好な保存状態を保てるようにする、という発想に共感することしきりだったのです。

最後の⑩の話題もコメントしているマーク・ハドソン博士が

筑波大学で教鞭をとっておられたときに私も在籍していたのを思い出したので少し懐かしくなりました。


本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。






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