第635回 日本近世における教養の源流
1、湯島聖堂とは
東京文京区は湯島にある 史跡 湯島聖堂に行ってきました。
JR・東京メトロ御茶ノ水駅どちらからでも徒歩2分という好立地にありますが、一歩敷地に入ると別世界が広がります。
聖堂というのは儒教の開祖、孔子を祀った廟所であることを指しています。
そもそもは林羅山が徳川家光から上野地に学文書を設けることを許され、
その一角に孔子廟もありました。
徳川綱吉の代になって、現在の場所に移転。
宝永・安永・天明と18世紀中に3度、弘化三年(1846)、関東大震災でも火災に遭いますがその度に再建されてきました。
明治になると現在の東京国立博物館の前身として陳列館、
国立国会図書館の前身としての書籍館、
筑波大学の前身として師範学校であったこともあり、
まさに日本の公的学問の源流であった場所です。
2、独断で選んだ見所
建造物としては度重なる火災で創建当初のもの入徳門を残すのみですが、
大成殿というメインの建物の屋根の上に鬼龍子(きりゅうし)という霊獣がいたり、
宥座の器という儒教の教えを体現する装置があったりとか。
(もっと大きなサイズで試すことができるものが外にありましたが、人がずっといたので写真撮れず)
吊り下がっているツボの中に入る水の量が多すぎても少なすぎてもバランスが取れず、こぼれてしまうことから
過ぎたるは及ばざるが如し
ということをイメージさせるものということでしょうか。
不思議な形をした金属製水鉢がいくつもあったりとか。
楷樹という孔子の墓所にも植えられているという大木も目立ちましたね。
大成殿の内部には孔子像の他、
「四配」として東に孔子の弟子である「顔回」と孫にあたる「子思」
西に「孟子」と「曾子」が祀られ十哲と呼ばれる弟子たちの位牌もあります。
さらに「釈奠器(せきてんき)」と呼ばれる儀式の供物が配置されているのが非常に興味深いものでした。
古代の青銅器のよう。
3、教養の代名詞
いかがだったでしょうか。
黒を基調とした落ち着いた雰囲気の建物の中に
金銅と朱色を中心とした装飾がなされている様は
唐風とでもいいましょうか、禅寺とはまた違った趣があります。
またここでは論語や漢詩などの各種講座のほか
漢字文化振興協会主催による「漢文検定」も開催されているそう
検定料も良心的なお値段なので、いつか挑戦してみようかな。
そこまでどっぷりハマらなくても
中国古代の漢詩文化や、江戸時代の教養となっていた学問の雰囲気を味わうことのできる場所としておすすめできます。
本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
追伸 フォロワー(Y.S @rekishi53)さんが教えてくれた、
路面電車の線路跡が露出している箇所、近くまで行ったのに見逃してしまったのは一生の不覚でした…
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