第1236回 2021年の歴史ニュース その3 日本国内 その他調査成果編

1、年の瀬らしく

昨日仕事納めということで、晴れて年末年始の休暇と相成りました。

その解放感たるや。一年でこの時期が一番好きです。

先ほど少し街をぶらついて来ましたが、人の出も相当多くなっていたように感じています。

私自身が町場に出るのが久しぶり、ということもあるかもしれませんが。

人混みは疲れてしまう方ですが、コロナ禍を経験すると人が多いことになんだかホッとする気持ちもあり、不思議な感覚です。

さてニュースまとめも3日目になりました。

前回説明したとおり、発掘調査以外でも新たな資料が見つかった報道が多かったので、こちらで紹介します。

2、新資料発見!

①京都府の清水寺で大規模修理に伴い江戸時代の巡礼札を発見

②奈良県斑鳩町の成福寺に伝わる国重要文化財「聖徳太子立像」をX線CTスキャンし、胎内から木造の菩薩半跏像を発見


③山梨県甲州市の恵林寺に伝わる「武田不動尊」の年代を特定

④熊本大永青文庫研究センターが刊行した細川家文書の資料集に関ヶ原の戦いで連れ去られた「被害者リスト」を掲載

⑤大阪大学などの研究チームが「開かずの薬瓶」の中身を素粒子で特定

⑥宗像大社の大宮寺家の子孫の家から新資料を発見

⑦広島県立歴史博物館で中国・清朝皇帝がかつて所有し、関東大震災時に焼失した巻物「海洋清晏図」の写本が所蔵品の中から見つかったと発表

⑧長野県中野市の旧家から明治時代の枢密院に関係する資料を発見

⑨幕末の志士、川村恵十郎の日記を京都市西京区の子孫の家で発見


⑩沖縄県の首里城扁額についての新資料発見


3、資料が残ってくれたことを寿ぐ

いかがだったでしょうか。

かたやCTスキャン②、かたや素粒子⑤を使ってと非破壊で内部を調べる手法も進んできています。

技術が進歩して調査のハードルが下がることで件数が増えれば、必然的に新たな成果が上がる可能性が高くなります。

まだまだ期待が持てそうですね。

⑥や⑧のように旧家や寺社で、これまで知られていなかった膨大な資料が見つかることもありますし、⑨のようにとある人物が大河ドラマで脚光を浴びた時に資料が見つかる、というのはよくあること。

①のように修理を契機に見つかることもあれば、⑩のように再建に向けた調査の中で新たな事実が見つかることも。

歴史に関する資料は昨日よりも今日、今日よりも明日に生きる人の方が多くのモノを見ることができる、という意味ではポジティブになれるのかもしれませんね。

一方で⑦の話題に見られるように関東大震災で失われた資料が膨大にあるというのも事実。

先日最終回を迎えた大河ドラマ「青天を衝け」でも、関東大震災に遭っている場面が描かれていました。

その時までは存在していた資料が、今は見られなくなってしまった、ということもあるのです。

記憶で新しいところでは東日本大震災でも資料館が被災したところも少なくありませんでした。

⑩の首里城にしても火災前、平成の復元の時にはわからなかったことが、偶然判明して、本来の、創建当初の姿により近づけるということもあります。

現在に生きる我々だからこそ知れること、逆に当時を生きた人にはわからなかったこともあるはずです。

そう考えると歴史はまた面白味を増すことになりませんか。

本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。



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